神奈川、山梨県境(月夜野、道志、秋山) 乗車日 2005.2.26(土) ...ダイヤは乗車当時のダイヤです

 

2005年当時、自分は勤務の都合で神奈川県相模原市に単身赴任していた。休日にはバスであちこち乗りまわったりしていたが、中にはもう乗れない路線もある。そんな過去の乗り継ぎを記録しておく。

 

ルール①徒歩と路線バスだけで移動 ②徒歩の距離は不問
時刻は実際の時刻 ただしダイヤと10分以上前後した場合は注記する
なお、以下に示す乗降区間は原則としてバス停のポールの表示にのっとって記載し、 運転区間は原則としてバスの側面表示にのっとって記載した。
また区間距離は各社ホームページ等によるほか、一部は地図上で測定したものもあるので 目安程度の意味しかない。

なお、乗車当時は津久井、相模湖、藤野、城山の各町は独立した自治体だったが、 市町村合併により旧津久井町、旧相模湖町は2006年3月に、旧藤野町、旧城山町は2007年3月に相模原市となった。 また山梨県上野原市の旧秋山村は乗車時点ですでに上野原市となっていた。

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バス関連のホームページを見ていると、富士急行のホームページで道志方面のダイヤが 2005年2月14日から改正になっていた。山梨県の道志村から富士吉田市に抜けるバスが毎日運行されている。 前後のダイヤを確認すると、土曜日には神奈川県津久井町の三ヶ木から富士吉田まで国道413号線(通称 道志みち)を バスで抜けられることが判った。 昔は踏破可能なルートでありインターネット上にも乗車体験記がいくつもあるが、 私の認識ではいつからか踏破できなくなっていた。それが乗り継ぎ可能であることが判った。
帰りは同じ道では帰れないけれども山梨県都留市を通って(山梨県上野原市となった)旧秋山村を 抜けて神奈川県に帰れそうだ。さっそくこのルートを試すことにした。

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アパートから神奈川県相模原市の橋本駅までは徒歩。空は薄曇りで満月がぼんやり見える。 その近くに一つだけ光っているのは木星か土星か、瞬いていないから惑星には違いない。
少し風が強い。一昨日(木曜日)の夜から翌朝にかけて雪が降り、植え込みの中などには溶け残った雪も見える。
橋本駅まで歩くうちに雲が取れてきた。満月が輝いている。今まで見えなかった恒星もいくつか見える。 朝から歩くので普段より一枚上着を少なくしてきたが、寒い。歩いても全然暖かくならない。
橋本駅前の牛丼チェーン店で朝食。自販機でペットボトルのお茶を買ってバス乗り場に行くと ちょうど入線するところだった。このバスは「三ヶ木」(みかげ-津久井神奈交のターミナル)から橋03系統で 5:30に出てきたバスの帰り便。

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橋本駅北口(6:20)-三ヶ木(6:49)  神奈川中央交通  (420円) 12KM  (橋01系統)
(私は神奈川中央交通から地域神奈交への路線委託に関する知識を持っていないので、 神奈中か神奈交かは乗車したバスの側面表記をそのまま記載しています。以下同じ)

バスは橋本駅から旧城山町を抜けて旧津久井町の「三ヶ木」へ行く一番のバス。 「三ヶ木」は旧津久井町の交通の要衝で津久井神奈交の営業所がある。東の空が朝焼け。ちょうど日の出の時刻だ。 乗客は自分を入れて6人。国道413号線をひたすら西に進む。 413号線は混雑するので近辺では有名だが朝の7時前はまだ空いている。 もう少し季節が良くなればこの時刻でも車の往来が激しいはずだが今の時期ならばまだ行楽客は少ない。
空が晴れ渡り丹沢山系がくっきり見える。国道を西に向かうのでちょうどバスの正面に満月がある。
道は空いているが一番のバスにはポツリポツリと乗車がある。街へ行くには逆方向のはずだが皆どこに行くのだろう。

6:39に城山ダムを越えて旧城山町域から旧津久井町域に入った。右手の津久井湖には湖面に雲がかかっている。 乗り降りもあって終点の「三ヶ木」に着いたのは自分を入れて4人だった。一日乗車券を見せて下車する。
神奈中の一日乗車券は1000円だが少し遠くに行くとすぐに500円を越える路線が多いので使いでがある。 ネックは車内売りをしていないことで、普段から常時1枚は手元に置いておくようにしている。 橋本や相模原に行ったときにバスのサービスセンターで購入しておくのだ。乗車年月日を表示する部分が スクラッチ式になっているので、前もって購入しておいて乗車する日に銀はがしすればよい。

(補足)スクラッチ式一日乗車券は2011年12月31日で取扱が終了となった。 一方で2011年11月19日からPASMO・SUICAに記録する方式の一日乗車券(1000円)の取扱いが開始された。

ところでこのバスは、手元にあるJTB版の時刻表に拠れば「橋本駅」発6:20で「三ヶ木」着は6:54。次に乗る予定の (山梨県道志村)「月夜野」行きは「三ヶ木」発6:50なので公式には乗り継げない。 実はインターネットの某巨大掲示板に実際に橋本駅発を待った、という話が乗っていたことと、 今の季節はまだ行楽客が朝早くから動かないのでもしかしたら道が空いていてバスが早着するのでは、という期待から この乗り継ぎをやってみた。 もちろん100%の自信があったわけではないので乗り継げなかった時にはこの行程を止めて別の バス旅を行う予定でその場合のダイヤもメモしてきたのだが、幸いにも第一希望が叶ったわけ。
これから気候が良くなると道路が混んで乗り継げなくなる可能性が大きいのではないだろうか。

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三ヶ木(6:52)-月夜野(7:26)  津久井神奈交バス (540円) 17KM (三56系統)

「三ヶ木」から「月夜野」まで行くバスは1日2往復だが平日と土日では時刻が違い、平日はこの時刻に走っていないので 乗り継ぐ「月夜野」発のバスに間に合わない。
バスには先客が1名いた。ハイキングの格好をしておりバスFANではなさそう。 バスは2分遅れで、ではそろそろ行くか、というような雰囲気で発車した。
相模川の支流の道志川に沿って国道413号線を西に向かう路線で終点の「月夜野」は山梨県道志村に入った場所だ。 413号線は青山交差点を右折してそこから先が道志みちと呼ばれる。バスもここから自由乗降区間となる。 山が近くなった。木々が雪をかぶっている。道路脇の山の斜面には雪がいっぱい残っているが、 路面にも路肩にも雪はない。除雪は完璧だ。
「梶野」からは青野原大橋を渡らずに旧道を進む。それはそうだよ青野原の集落は旧道沿いにあるんだもの。 旧道は路肩に雪があった。この辺りはさすがに一昨日はかなりの降雪だったのだろう。 バスがガタガタしているのはスノータイヤを履いているのだと思う。
路傍に白梅が咲いていた。
「焼山登山口」で(バス停の前にお宮さんがあった)もう一人が下車したので乗客は自分だけとなった。 西野々の集落までを旧道で抜けて413号線に戻りさらに西に進む。 バスの右手には道志川が流れている。道路は川の南岸に付けられているのだ。 川の北側には集落が見えるが、今走っている川の南岸にはほとんど家がない。 考えてみればこんな山の中だから日当たりの良い南向きに家を建てたいはず。必然的に川の北側に家を建てるはずだ。

ところどころ新しい橋やトンネルで旧道を付け替えて新道にしている。旧道が柵で通行止めにしてある箇所もあった。

7:18に「平丸」と「橋津原」(はつばら)の間で国道413号線の最高地点を越える。川はさらに上流に登っていくが、 道路は必ずしも川のすぐ脇を走っているわけではなくて川からはるか高いところを走る箇所もある。 そんな訳で本当の峠はまだずっと先なのに早くも最高地点があったのだろう。

7:21に東野の集落を旧道で抜ける。ここから旧藤野町の町営やまなみ温泉(注-乗車当時の名称)まで 藤野町営バス(当時)が走っているが今日は乗れない。
最後に両国橋を渡って「月夜野」に到着。ここから山梨県道志村だ。

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「月夜野」には目の前にドライブイン(というか食堂)があった。入漁料の販売も兼ねている。 バス停付近は日陰なので寒い。河原には日が当たっているので河原まで降りていく。 やはり少し暖かい。水面には氷も張っていないが魚は冬眠中だろう。
こんなところでもケイタイは2社とも圏外ではなかった。

神奈中バスは7:40に帰っていった。道志から三ヶ木へは接続していないのだ。

「月夜野」からは国道413号線をさらに南西に走り、分水嶺を越えて山中湖村から富士吉田市に行き、そこから引き返す予定だ。 ずっと富士急山梨バスのお世話になる。 その後に富士急のバスが到着するのを待ってバス停に戻り、バスに入れてもらう。 車内で5000円のバスカードを購入。5600円分使える。とても一日では使い切れないが、 一つ下の3000円のカード分以上には乗る可能性がある。

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月夜野(8:08)-道志小学校(8:28)  富士急山梨バス  550円 8KM  運転区間は月夜野-長又

平日と土曜だけ走っているバス。したがってこの日の乗り継ぎは土曜日限定ということになる。 (注:乗車当時)
発車まで運転士といろいろ話をする。プライバシーに関することは書けないが、 いわく、「①雪が降った翌日には山に登る人が多い。雪景色が写真に撮れるからと聞いたことがある。 ②道中に湧き水を引いているところがあっていろんな人が汲みに来る。山から水を引くパイプの整備などのために 気持ち程度のお金を入れていってほしいと募金箱を置いているが思いのほか皆お金を入れているようだ。 ③途中にバスの正面に富士山が見える場所がある。④富士吉田駅行きに乗りかえるには始発の「道志小学校」がいいだろう。 ベンチも置いてあるし、始発だから発車前にバスに乗って待つことができる。」
いろいろ参考になりました。
413号線を西に進む。残念ながら西の山からは雲が湧き始めており富士山は見えなかった。結局お客は自分だけだった。

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「道志小学校」の表示では8:55のバスは土日祝は運休になっていた。時刻表が平成16年(2004年)の日付のままだ。 時刻改正後まだ2週間だから貼り替えが間に合っていないのか。
辺りをぶらついているとバスがやってきたのでバス停に戻る。

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道志小学校(8:55)-富士吉田駅(10:08) 富士急山梨バス 1420円 33KM

運転士票には33年間無事故無違反継続中と書いてあった。出発前にタイヤ回りなどを 見て回っていた。

道志村は山に挟まれた谷あいに開けた集落だった。余所者にとってはキャンプ場と釣りと温泉が 見るべき場所だろうか。あるいはこの辺りの山に登る登山基地という方がいいのか。 この辺りはバスのポールは片方だけ。中学校に給食センターが併設されていた。
途中に道の駅どうしがあった。ここで乗換えることもできたが、開店が9時なので外で待っている時間の方が 長いことが判っていたため乗換には不適当と判断していた。
バスは時速40KMで着実に走り、時々後続車をやり過ごす。9:16に「長又」を通過。 先ほど乗ったバスの終点なのでどんなところか、と興味を覚えていたが、そこから先が集落がなくなります、 という場所だった。先ほどのバスが停まっている。運転士は車で都留の営業所に帰ると言っていた。

「長又」から先は登りにかかる。少し眠かったのが一挙に目が覚めた。両側の山肌は雪に覆われている。 川もせせらぎに近くなった。雪が舞い始めた。

山伏峠を山伏トンネルで抜けて9:23に山中湖村に入る。川の流れの向きがこれまでと逆に なっているはずだがほとんど雪に覆われて水面が良く見えない。
空は完全に曇っており雪も少し強くなってきた。富士山を見るどころではない。 路面に少しずつ雪が残り始め、トラックとのすれ違いでは徐行した。
山をくだって周囲が開けてきた。両側の山もすぐ傍の山は見えてもその向こうの山は雲で見えない。 山の天気の変化はやはり恐ろしい。

9:31に「平野」を過ぎる。やっと人里に降りてきた。雪は止まない。
「○○屋前」、「○○荘前」などと民宿や会社の保養所名を採ったバス停が続き、一人お客を乗せる。 「京王山中湖バスターミナル」で運賃が1000円を越えた。 「富士急旭日丘バスターミナル」には何人かがバスを待っていたがこのバスに乗る人はいなかった。
山中湖のほとりを走る。湖面が右窓に見える。西から青空が見えてきた。
山中湖の南岸を半周して「ホテルマウント富士前」で時間調整する。雪が止んだ。
「内野入口」は紅富士の湯への入口。富士山に登った帰りに立ち寄ったことがある。 晴れていれば富士山が良く見えるのに。

国道138号線を北西に向かう。走っている間に雲が晴れてきた。富士山の右手面が頂上近くまで見えるようになってきた。 車の前方に富士山ドームが見えるのはレーダードーム館だ。まだ開く時間になっていない。

10:00に「浅間神社前」を通過。富士山の登山口だ。ちょうど富士山が頂上近くまで全部見えてきた。 浅間神社から見ると富士山まではまだ道のりがあるように思える。ただ良く見ると辺りの道は 富士山に向かって登っているから、遠方からやってきた人はすでに山を感じているのだろう。 そういう意味でもここが区切りでいいのだろうな。

そんな坂を下って大鳥居を裏から表にくぐった。交差点の名は金鳥居だ。鳥居の額は富士山の文字だった。 ちょうど鳥居の前から富士山が正面に見えるはずだ。

富士吉田駅に入る前にちょうど都留市駅行きのバスが走って行った。ターミナルではバスFANが写真を撮っていた。

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インターネットでは富士吉田市と都留市の間のバスのダイヤが確認できなかったが現地で見てみると1時間に1本が 基本で時間によっては2本ある。次のバスは11:00。これならその後も予定通りのバスに乗れる。
予定ではここから東に引き返し、都留市からは山越えして旧秋山村(上野原市)を経て神奈川県相模原市 (旧藤野町域)に戻り、旧相模湖町域を通って帰る予定を立てている。
できれば待ち時間を利用して河口湖まで行きたいとも思っていたがちょうどよいバスがなかった。 河口湖まで行って帰ってくるとその後の予定が立たなくなるので諦める。
待ち時間を利用して暖を取ることを兼ねて駅ビルのハンバーガーチェーンで間食を取る。
その後先ほどの金鳥居まで行ってみる。確かにちょうど鳥居の間から富士山が覗けるようだが あいにく雲に隠れてしまった。

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富士吉田駅(11:00)-都留市駅(11:37) 富士急山梨バス 670円 14KM

富士吉田駅と都留市駅を結ぶバスは富士急行に沿って国道139号線を北東に走る。 乗車時の車内アナウンスはしきりに「市立病院前」行きと言っているが、行先表示も運転士が持っているダイヤも 都留市駅行きである。発車時の乗客は自分を入れて5人だったが途中からもちらほら乗車がある。 街中を抜けて行くうちに道も坂でなくなった。国道139号線は開けた谷あいを富士急行の線路と並行して走る。 坂を下ったりまた平坦になったりしながら少しずつ山を下っていく道だ。
西桂町まで下ると路肩にはほとんど雪はなくなった。ただ畑には一面雪が残っている。 富士山を背にして帰るのがもったいない気がするが振り返っても富士山は雲の中だ。南、北、東の山並みは くっきり見えているのに西方向だけが雲に隠れている。
うとうとしているうちに都留市に入っていた。

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都留市駅はこじんまりした駅だった。ちょうど特急が通過するので外から眺めてみたがフジサン特急ではなかった。 ちょうど一編成が定期点検中とのことで一部の特急は代替編成が走っているのだ。

バスを待つ間に非常食用におにぎりを買っておく。待合室にバスのダイヤが貼ってあったので時刻を確認する。 2004年4月の改正時刻から変わっていないようだった。
今朝、「月夜野」から乗ったバスの運転士がちょうど都留市駅のターミナルにいて挨拶を交わした。

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都留市駅(12:25)-秋山釣場(13:07) 富士急山梨バス 900円 20KM

都留市とその東にある上野原市の旧秋山村を結ぶ路線。途中でひな鶴峠を越える山越え路線だ。 お客は自分の他におばあさんが2人。運転士は運転席脇にカウンター(数読み器)を置いていた。 乗客数を数えたりしているのだろうか。
バスには途中から乗る人もいる一方で早々に降りる人もいる。見ているとバス停前のスーパーマーケットに入っていった。 富士急行の禾生駅前から先は右に折れて東に聳える山に分け入って行く。ここから自由乗降区間となる。 駅前で2人乗ったので乗客が自分を含めて9人となった。
正面右手に山がある。往路ではあの山の南面を見たが今度は北側を見ていることになる。 あの山の左手の谷を分け入っていくはずだ。
自由乗降区間だが、降車の際には皆律義にバス停のポールの場所で降りて行く。

「曽雌」(ここまでで折り返すバスもある)から先はまた道が険しくなり、異常気象時通行止めの区間に入る。 通行止めを行うためのゲートが設置されているがこの日はもちろん開いている。

突然大きな建物が出現した。この路線のハイライトの一つ、リニアモーターカーの実験路線の 東の端の折り返し場所の建物だ。バスがちょうどカーブを切って坂を登ったので、 リニアの線路がトンネルから出てきて建物に入るのを真上から見ることができた。

ひな鶴峠をトンネルで抜けて都留市から上野原市(旧秋山村)に入る。ここまで来たのは自分以外に2人。 山の東側は晴れていた。

山を下ると「無生野」。上野原駅からのバスの終点なのでどんなところか興味があったが、 結局はここまで集落があるからバスを走らせます、といった場所だった。
「原」で最後の2人が下車した。ちょうど掲示板があったので見ると、ヤマメ、イワナの解禁は3月1日とのことだ。 ところどころ道の付け替え工事箇所がある。

小学生が道端に一人で立っていた。自由乗降区間なので乗客かも知れず、バスはスピードを落として様子を見る。 どうやら乗車するのではなさそう。
終点で降りたらちらちらと雪が舞っていた。

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「秋山釣場」には本当にマス釣場しかなくてシーズンは賑わうらしいが今は誰もいない。 この後は上野原駅方面へバスで行くつもりだが1時間以上もこんなところでバスを待つのは寒いので 「無生野」の方向に歩いて引き返すことにする。 どうせなら始発のバス停から全区間乗りたい。バスの所要時間が12分だったから 時速30KMで走っていたとしても長くて6KM。1時間ちょっとで歩けるだろう。もし歩けなくても途中で バスに拾ってもらえばいい。自由乗降区間なのだから。(実際は5KMほどだったようだ。)
途中のバス停は上野原方面へのバスの時刻はきちんと表示されていたけれど先ほどのバスが折り返す 都留市駅行きのバスの時刻の表示はなかった。
時々車とすれ違うだけの道を淡々と歩く。日が射していることだけが救いだ。 歩いていると時々頭に雪が落ちてくる。頭上の枝から落ちてくるのだ。また土石流注意の掲示板が出ていたりする。 確かにこんな場所で土石流に飲み込まれたら、自分がこんなところを歩いていることを知る人は誰もいないから 行方不明扱いになってしまう。そう考えると恐い話だ。

途中で汗をかきそうになりスピードを落としながらも14:15に「無生野」に到着。灯篭があったので 石垣に腰を下ろして買っておいたおにぎりを食べる。さらに時間があるので近くのお寺を覗いてみる。 宝積寺という臨済宗の禅寺で後ろにはお墓が並んでいた。

ここのバス停も時刻表が修正されていない。平成11年(1999年)の日付になっている。地元の人はいいとしても 登山者が利用するときは混乱すると思うのだが。

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無生野(14:41)-本町三丁目(15:30) 富士急山梨バス 950円 18KM

上野原の市街地と上野原市となった旧秋山村を結ぶバス。バス停の付近にはバスが転回できそうな場所がなかったので どうするのか興味があったが、「無生野」行きとしてやってきたバスはそのまま峠の方向に走り去り カーブを曲がって見えなくなった。 かなり時間がたったと思った頃に戻ってきたから思いのほか遠くまで行って折り返したらしい。

 

※この件につき過去の読者の方から、バス停2つ分先の「赤倉岳」に折返場があってそこで折り返している、という 情報をいただきました。

 

「無生野」からの乗車は当然のように自分だけ。今歩いてきた道をスムーズに下っていき、「釣場」には14:50に着いた。 バスの運賃表は「無生野」から330円を示していた。
旧秋山村の役場は「釣場」よりも下流の側にあった。役場の先の「中学校前」から一人乗車した。
空がいつの間にか曇っている。乗ったときには日が射していたのに。

15:04に小さな川を渡っていったん神奈川県相模原市(旧藤野町域)に入る。とたんに道が悪くなった。 すぐに「奥牧野」のバス停がある。あとでここまで引き返して神奈中バスに乗り継ぐ予定だ。
その先はさらに道が狭くなり、バスは時速20KMで静々とドライブする。 上野原市域に戻ってもすぐには道が良くならなかった。
バスの右手前方、川向こうに大きな建物がある。老人保養施設かどこかの企業の研修センターかと思っていたが、 帰って調べるとふじの温泉病院となっていた。

15:17に上野原の市街地を見通せる場所に出た。すぐの「清〆村入口」で乗車があった。 ここまで来れば開けた人里だ。15:20に相模川を渡る(ここでは桂川と言っている)。 富士吉田市辺りを流れていた頃と違ってここではもう充分大河だ。

都留市駅のターミナルに掲示してあったダイヤによればこのバスは上野原駅止めではなくて 市街地の「本町三丁目」行きなので駅で下車せずそのまま乗車する。思ったよりも市街地までが遠かった。 それでも早着。駅に着くのも早かったのだろう。

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次のバスは駅始発で30分の余裕があるから大丈夫と思って終点まで乗ったのだが、駅から市街地までが思ったよりも 遠かったので早足で歩いて戻る。途中のバス停でダイヤを見るとこの時間に5分おきくらいに駅行きのバスが あることになっているがとても納得できず何かの間違いだろうと歩きつづける。 ただ時々後ろを振り返ってバスが来ないか確認をすることは忘れない。本当にやってきたので途中で乗る。

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関山(15:42)-上野原駅(15:45) 富士急山梨バス 150円 1KM  運転区間は井戸-上野原駅

バスは山を下ってきたバスで、山帰りの人と地元の人を乗せていた。

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上野原駅にバスの待合室があったので入ってみるとパンフレット入れにバスの時刻表が入れてあったので一部いただく。 それを見て納得できたことがある。先ほど下車した「本町三丁目」の先の「新井」(たぶんそこが営業所なのだろう。 そして上野原の市街地でもある)と駅を結ぶバスがピストン運行されているためにこの区間はバスが多いのだ。
上野原でバスに乗車した文章を読むとほとんど例外なく、駅前の狭い回転場にバスが絶えずやってくるという 記述があるのが信じられなかったがやっと理由が判明した。 転回するバスを誘導する誘導員が配置されていたが、これほどバスがやってくるのなら誘導員も必要だ。

待合室にいた先客の老人男女も同じバスに乗るそうでしばらく話をする。おばあさんから 昔バスがなかったころの話を伺った。駅の少し上の道に人力車がお客を待っていて、それに乗りたい人は 駅から急いで坂を登っていったそうだ。駅前には今でも割烹旅館の看板を掲げた建物が数軒あったが 今でも営業しているのだろうか。

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上野原駅(16:07)-奥牧野(16:28) 富士急山梨バス 380円 5KM  運転区間は上野原駅-無生野

先ほど乗った路線を引き返す。乗客は自分を入れて8人だった。先ほど待合室で話を交わしたおばあさんは 5分ほど乗って降りた。それなら歩けば、というのは手前勝手な考えで、 たぶん一旦町から駅までバスでやってきて駅でバスを乗り継いでいるのだろう。
また北の山並みが曇ってきた。雪になっているのだろうと思う。

天神トンネルの手前で前方からの車列が途切れるのを待って進入する。その先で旧秋山村への道が分かれていた。 地図で見ると長いトンネルを抜けてその先で再びこのルートと合流している。 神奈川県相模原市(旧藤野町域)になる奥牧野を通らずに上野原市街地と旧秋山村を直結する道があるのなら、 奥牧野を通るこの道がこれ以上整備されることはなさそうに思える。
予定通りの時刻に「奥牧野」に到着。下車する。

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また雪が舞う中を乗り継ぐバスの到着まで付近をぶらぶら歩いて過ごした。

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奥牧野(17:14)-やまなみ温泉(17:25) 津久井神奈交バス (230円) 5KM  運転区間は奥牧野-藤野駅(野12系統)

折り返しのバスからは3人が下車した。ところが話をしてみるとこの3人連れは、 どうも「やまなみ温泉」から(JR中央本線)藤野駅に戻ろうとして反対行きのバスに乗ったらしい。 終点に着いて運転士にそのことを告げると、運転士がバス停を指して、「あそこでバスを待っている人(私のこと)が いるので一旦バスを降りて折り返しを待ってほしい」と言われて下車したとのこと。 見たところでは正規に運賃を支払っていたようだった。 運転士はもしかしたら、誰もバスを待っていなかったら誤乗車扱いにするつもりだったのか。 そうだとしたらこちらは一日乗車券で乗り回っているのに何か申し訳なかった。

「奥牧野」からはその3人と自分。先ほど乗った上野原市街地と旧秋山村を結ぶ路線は山越えだったが、 この路線はいったん丘を登って隣の谷に下り、その後はずっと川に沿って下る道で、 川に沿って集落がずっと続いている。
やまなみ温泉に寄る便なので、「賽の神」から「やまなみ温泉入口」を経て「やまなみ温泉」で下車。

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町営やまなみ温泉(注-乗車当時の名称)は「やまなみ温泉入口」バス停の真ん前だった。停留所一つ分歩いて戻る。 所要2分程度だ。約30分しか時間がないが、ここで一風呂浴びることも行程に組み入れてあった。 限られた時間の中で体を洗い、それでも数分は湯につかることができた。露天風呂もあったが 地元の方らしい年配者で一杯だった。中には山帰りらしいグループもいた。

「やまなみ温泉」に戻ったのは発車7分前だった。

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やまなみ温泉(18:00)-藤野駅(18:12) 津久井神奈交バス (220円) 6KM (野11系統)

「賽の神」までは先ほど来た道を引き返す。先ほどの3人連れが乗るバスを間違えたのは、 「やまなみ温泉入口」では「奥牧野」行きも藤野駅行きも同じポールで待つからのようだ。 それにしてもどこ行きに乗ったらいいかくらい確認しておいて、乗るときには行先を確かめて乗ってほしい。 「あそこのバス停で待っていなさい」などと言われただけでバスを待って乗るなんて。

このバスにも「やまなみ温泉入口」から何人も乗ってきた。曇りだし山間を走るし、もう真っ暗だ。 ここは初めて乗る路線で道路自体を走るのも始めてなのに残念だ。

神奈交バスでは、路線の収入確保のために車内の物品販売にご協力をお願いしている旨がテープで放送される。 一日乗車券で乗り回っている身には申し訳ない話だ。 せめて一日乗車券を買ったのが「三ヶ木」(津久井神奈交)であればとは思うが、これは相模原で買った券だ。
ただ車内で売っているのはお菓子の類がほとんど。 ダイエット決行中のために間食は控える(と買わない言い訳をする)。

バスは日連大橋で相模川を渡って藤野駅に入る。結局「やまなみ温泉入口」からはノンストップだった。

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次のバスが出るまで、藤野駅の待合室からホームを眺める。上りの特急かいじが走っていった。 下りの大月行きは中央線オレンジの201系だった。もうここは山の中ではないんだ。

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藤野駅(18:46)-相模湖駅(18:58) 津久井神奈交バス (220円) 5KM  (湖23系統)

先ほどと同じバスで(JR中央本線)相模湖駅まで戻る。湖23系統は国道20号線を走る路線で、 「三ヶ木」を起点に藤野駅付近の路線を走るバスの入出庫も兼ねているらしい。 とするとまさかこのバスはこの先「三ヶ木」まで戻るのでは、と運転士のダイヤを覗き込むと果たしてその通りだった。 先ほど下車の際に一日乗車券を見せたから運転士も私のことを、 「こいつとこのまま三ヶ木まで付き合うことになるのでは」と思ったろう。
ここから先は国道20号線で車で何度か走った道だから暗くても構わない。
藤野駅を発車時は他にお客が2名いたが「勝瀬橋」で下車して自分だけとなった。 相模湖インターチェンジの出口もスムーズだった。道は混んでいなかったためかバスは早着。

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相模湖駅(19:05)-三ヶ木(19:19) 神奈川中央交通 (290円) 7KM  (湖21系統)

ダイヤ通りだと乗り継ぎ時間が1分しかなかったバスに余裕で乗り継げた。先ほどのバスは この後湖28系統で「三ヶ木」に帰るダイヤのようだ。その路線の方が本数が少ないし面白そうではあるが、 同じバスに3度も続けて乗りたくないし、どうせ真っ暗なのでさっさと帰ることにする。 自分はどちらのルートも車で走ったことはあるのだ。 この先の関心は道が混んでいるかどうか、ということだけ。

国道412号線を通って相模湖駅と「三ヶ木」を結ぶ路線で、途中に相模湖ピクニックランドという娯楽施設があるので 時刻表にも載っている路線だ。
19:10に相模湖大橋を渡る。ピクニックランド前の交差点では右方向に牧野と表示があった。 後で地図を見ると確かに県道相模湖牧野線というのがある。抜け道に使われたりするのだろう。
道路はガラ空きだった。19:17に道志橋を渡り、「三ヶ木」には早着した。
最初から最後まで乗客は自分だけだった。実は10分ほど前にも1便「三ヶ木」行きがあったのだ。運用の都合で バスの間隔が狭かったのだろう。

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「三ヶ木」で発車を待っていると橋本駅からのバスがお客を乗せてやってきた。皆ここで それぞれの方向にバスを乗り継ぐのだろう。

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三ヶ木(19:31)-橋本駅北口(20:01) 神奈川中央交通 (420円) 12KM  (橋01系統)

朝乗った橋01で引き返す。「三ヶ木」を出た時点でお客は自分の他に1名。途中からも時々乗車があった。 最初は道路も空いていたが城山町まで戻る頃には信号では前に車が何台か待っている状態になってきた。

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この後バスでアパートの最寄りまで帰った。

(終)

 

今回の行程を略図で示すと以下の通り。