あのH.I.S.にて、航空券が通常の半額程度で買える福引に見事当選し、ハワイに行くことになったのが1998年6月のこと。
その時、私には、ぜひ叶えたい夢がありました。
30年以上前の創刊以来、今に至るまで欠かさず買っているハワイ旅行専門の雑誌(もちろん日本語)があるのですが、1990年頃の号に「オアフ島にかつて走っていた鉄道が復活した」という記事が載ったのです。
(ハワイはいくつもの島からなりますが、ホノルル国際空港やワイキキビーチなどがある観光的に最もメジャーな島がオアフ島です)
そして、掲載写真と文章に目を奪われました。

観光ポスターなどで既におなじみ、ガイドブックでも「ハワイ唯一の鉄道」と紹介されることも少なくない、マウイ島のサトウキビ列車(『ラハイナ・カアナパリ&パシフィック・レイルロード』が正式名称、2014年にいったん運行終了、現在はごくたまに運転されるらしい)は皆さんご存じだと思いますが。

華やかないでたちの蒸気機関車が走るマウイに比べ、オアフの鉄道は、いかにも郷愁を誘うというか、ありし日のノスタルジーがたっぷりと伝わってくる車両とか、車窓風景(正確には、ガラス窓のないオープンエアの客車)の写真が載っていて、それまで知らなかったハワイの鉄道の存在に私は目だけでなく、心までも奪われ、いつか機会あれば乗ってみたいと思っていたのです。

ハワイ旅行が当たる懸賞や福引は、結構たくさんありましたが、無料で行ける「招待」旅行はなかなか当たりませんね。
実はそれ以前にも、半額優待旅行を近所のスーパーの福引で当てたことがあったりしたのですが、当時はいかんせん、阪神大震災の直後で、直接の影響は受けなくても、「同じ国民で、悲しい目にあった人がいるんだから旅行は控えましょう」みたいな空気もあって…。
私も「こんな時に(半額とはいえ)金をかけて行かなくても」と家人からたしなめられ、結局断念したものですから。

そんな我慢(?)の末、やっと叶ったハワイ旅行の夢。
ダンナもいちおう同行したのですが、あくまで私主導ということで、オアフの鉄道のほか、マウイ島のサトウキビ列車や、その他鉄道関係の物件をできるだけ訪ねる、という計画を立てました。
この4泊6日の旅程をわかりやすく書くと、

1日目:羽田発(当時は唯一、羽田から出ていた台湾の航空会社、チャイナエアラインを利用)、日付変更線を経由して、同日午後ハワイ着。
フラダンスのコンテストを見る

2日目:私はオアフの鉄道に、ひとりで乗りに行く。
その間ダンナは、オアフ半周サイクリング

3日目:ふたりでマウイ島1日オプショナルツアー。
この時にサトウキビ列車に乗る

4日目:バスでのんびりオアフ島めぐり。
ドールパイナップルパビリオン、ビショップ博物館など

5日目:空港に直行、午前中に帰国便に搭乗

6日目:日付変更線通過、羽田に到着

さて、この旅行で最初に乗った鉄道(正確には軌道)というのが、オアフ島、ホノルル空港の西側(ワイキキとは逆方向)にあるショッピングセンター「パールリッジセンター」敷地内の袴座式モノレール「スカイキャブ」。
2棟の建物を結び、所要時間は約3分。
そして有料(当時は片道25セント、その後50セント→1ドルに)。
赤や黄色など、派手にペイントされた4両編成の車両が、単線の軌道を単純に折り返します。

モノレールが走るくらいだから、結構大規模なショッピングセンターなんですが、いかんせん観光客にとっては、ロケーションがちょっと中途半端というか、あと日本人好みの高級ブランドショップも少ないし、ということで、もっぱら地元の人御用達という位置づけです。

モノレールからの眺めは、遠くにパールハーバー、高層ビルがちらほら、そしてなぜか高架下には「水田」のようなものが見えたんですが、「これは何なのか」と、長い間謎のままでした。

その後、あらためて調べたら、これもパールリッジセンター敷地内にあるその名も「スミダファーム」という農場で、ここでなんと、クレソンを栽培しているそうです。
名前からして日系人経営なんでしょうが、ハワイでクレソン!? は驚きでした(今もあると思います)。

 

*掲載のデータは、原則として当時(1998年6月)のものです。