本日の
【初香の煙32】では、
本年7月4日から熊本県南部を襲った大雨で甚大な被害を受けた、
「肥薩線」で運行されている、
58654「SL人吉」
を取り上げます。
まず最初に肥薩線の現状について触れる事にします。
7月4日からの大雨では、
・ 鎌瀬 ~瀬戸石 間の「球磨川第一橋梁」の流失。
・那良口 ~ 渡間の「球磨川第二橋梁」 の流失。
・瀬戸石駅での駅舎、ホーム、線路等すべて流失。
・球泉洞駅でも駅舎の一部を除き原形をとどめていないほどに破壊。
・その他、盛土・路盤・道床流出等、多数の線路災害が発生。
球磨川沿いの風光明媚な路線がことごとく破壊されてしまいました。
沿線の皆様に対し心よりお見舞い申し上げます。
JR九州では今後の復興をどのように進めるか検討中との事で、廃止も含めて検討されているようです。一方地元からは、
「肥薩線がなければ観光や生活は元に戻らない」
と鉄路存続を望む声が上がっています。
橋脚の流出なども含めて甚大な被害であることで1年以内での再開は無理という事はわかっています。しかしながら風光明媚な球磨川沿いや、日本三大車窓の矢岳越え ×矢立峠←D51338に教えて頂き修正いたしました。ありがとうございます。 など観光資源の多い線区とともに、沿線も肥薩線を中心とした観光地であることから、人吉市等沿線にとっても大変重要な路線になっている事は疑いのない事実です。
大雨からの復興というのは「只見線」と似ていますが、重要度は肥薩線の方がずっと高いものがあり、
「只見線」の事例のようにぜひとも鉄道での復旧を、
と心より願っております。
今回の【初香の煙】ではその「肥薩線」の美しい姿を紹介させていただきます。
私が「肥薩線」を訪問したのは2018年4月7~8日で、本来は山口線へD51200「SLやまぐち号」を撮影に行く事にしていました。しかし当時
「D51200の不調でDL牽引に変更になるかもしれない。」
との情報があり、それならば、とご一緒した「TAKAさん」に相談。急遽「SL人吉」の撮影に行く事になったのでした。
初めての肥薩線でしたので、撮影経験のあった「TAKAさん」に案内をお願いし、私は着いていくだけの「おんぶにだっこ!」撮影行でした。
まず最初に撮影したのは「白石駅」でしたが、その後渡駅先に向かいました。
1、58654 8241レ「SL人吉」 渡~西人吉 2018.04.07。
機関助士さんがこちらを見て手を振ってくれました。
この写真は国道219号線のオーバークロスから撮っています。すぐ左側を球磨川が流れ、渡駅がある球磨村の被害も甚大でした。
立ち位置の国道付近は水没していませんが線路部分は水没。ここから見える部分はすべて水没の被害が出た場所です。
人吉駅で「58654」の入替の様子を見て、SL人吉で一番の撮影地に向かいました。
2、58654 8242レ「SL人吉」 瀬戸石~鎌瀬 2018.04.07。
雨が雹になって降って来ました。白い点になって写っているのは「雹(ひょう)」です。
この美しい「球磨川第一橋梁」は1908年(明治41)の架設。近代化産業遺産に指定されたこの橋梁も今回の水害で手前のトラスとガーダー部分が流出してしまいました。
3、58654 8241レ「SL人吉」 瀬戸石~海路 2018.04.08。
球磨川沿いを走るこの辺りも大変風光明媚な場所です。
この辺りも甚大な被害を受けた場所。奥の1本桜も流出。瀬戸石駅も完全に流出してしまいました。
この水を湛える瀬戸石ダムも被害を受け、現在堰き止められてないのでこの辺りは水が溜まっていないようです。新潟福島豪雨後の「第一只見川橋梁」のようですね。
4、58654+50系3Bを真横から。
煙はわずかですが、美しい光景です。
5、58654 8242レ「SL人吉」 一勝地~球泉洞 2018.04.08。
一勝地の駅を発車して良い煙でやって来ました。
この辺りも甚大な被害が出て、ほとんどの家が床上浸水になったようです。
6、58654 8242レ「SL人吉」 瀬戸石~鎌瀬 2018.04.08。
最後の撮影も「球磨川第一橋梁」でした。本当に美しい橋ですのでぜひとも復旧して欲しいです。
※これらの写真の場所を行く58654「SL人吉」の動画です。6’12”
美しい球磨川沿いを走る「肥薩線」。
沿線の復興も大変な困難があるものと思いますが、肥薩線の一日も早い復旧も心より願っております。