みなさんこんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。
昨日に続き、キハ58系模型と実車の相違を検証する第2回目です。本当に重箱の隅をつつくようですみません。
私の研究対象はキハ58系ばかりで、他の気動車もある程度は把握してはいますがキハ58ほどではありません。ましてや電車や機関車など、知らないことは山ほどあります。例えば165系電車で(特に外観に影響を及ぼすような)変化がどの程度あるのか、模型ではどの程度再現されているのかなどは全く知見がありません。ただ、私の個人的な意見かも知れませんが、キハ58系は本当に増備車ごとの変化や新製後の変化が多いと思います。電源の関係もあり一系列で比較的車両の分布が偏っている電車と違い、それこそ本当に北から南まで日本全国にいたキハ58系、地域差が多いのは当然ともいえます。
そんなキハ58系を模型化するのですから、すべてを実車に忠実になんて最初から無理で、特定車番を言い出すと大げさに言うと1926両全部別々に作らなければなりません。しかも年代で形態が変わってきますから、もうそれこそ不可能に近いでしょう。しかも差異といっても模型にしたら米粒以下、虫眼鏡を持ってこないと分からないようなものも多いです。模型メーカーも商売ですので、むやみに金型を増やすのもコスト増ですので、目立つところは新しくし、特に床下など目立たないところはパーツ共用でコストダウンしたいというのは当然でしょう。ですので模型はあくまで「標準型」ととらえ、これと違うものが欲しい人は自分で作りなさい、というしか無いと思います。
昨日お伝えしたものは(標準車としては)実物にも存在しない間違い的なものでしたが、本日お伝えするものは「実車にはこのようなバリエーションもある」ということで、興味のある方は加工するという程度で良いのかもしれません。ただモノによっては私的には何とかしてほしいというモノも無くはないんですが…。
1.キハ28 2300の床下(機関予熱器・水タンク)
2エンジン車であるキハ56・57・58の床下は、機関周りの計器や機器箱形状に若干の違いはありますが、模型としてはほぼ同じといっても差し支えないでしょう。(本当はモデルチェンジ車と平窓車の機器箱の差は分けてほしかったですが…) しかし1エンジン車であるキハ27・キハ28・キロ26・キロ28は床下のバリエーションが模型再現上無視できないレベルになってきます。まずはキハ28から見てみます。
模型ではキハ28 2300番台の床下パーツは1種類しかなく、他のロットや年次を再現しようとするとちょっと差が大きくなり過ぎかなという点があります。それは機関予熱器と水タンクです。まずは機関予熱器です。
↑まずはTomixさんが模型化しているキハ28 9次車(357~397)です。イラストはキハ28 2394の国鉄時代です。9次車は、運転席側窓のバランサー点検蓋が設置され、側面の給水口が前位寄りにある形態です。模型と一致します。
床下には機関予熱器があり、ちょうと前から3枚目の窓の下にあります。そして2枚目の窓の下に機器箱?のようなものがあり、そこへパイピングが伸びています。これは1次車から9次車まで同じ形態です。また、後位側床下の水タンクは鋼製(アルミ)で、円筒のドラム缶状のタンクの下部を建築限界に掛からないようにナイフでスパッとそぎ落としたような形状です。
Tomix単品模型のキハ28です。床下の表現は概ね良さそうです。
↑写真は8次車のキハ28 2345ですが、1-3位側の形状は9次車と同じです。機関予熱器の表現は模型と同じです。
では、これが給水口が車体中央付近に移った10次車以降になると…
↑機関予熱器の位置は9次車以前と同じながら、前位側より2枚目窓下にあった箱?が無くなり、配管類も少なくなって1位側の床下がすっきりしてしまいます。
12次車のキハ28 2446です。10次車から12次車までは床下は同じです。(車体は変更がありますが) 機関予熱器は前位側から3枚目の窓下にありますが、それより前の機器や配管がすっきりしています。
Tomixではこの10次車を再現した模型があります。「氷見線セット」のキハ28です。給水口が車体中央付近に移った姿を再現しています。では床下を見ると…
↑9次車以前と同じ床下です。細かい配管類や箱の違いまでは再現されていません。
これが更に13次車・14次車になると…
↑機関予熱器は大型(WH250)になり、位置も前位寄りから2枚目の窓下に移ります。この形状はモデルチェンジ車と同一です。
↑これがキハ28 2479の実車です。機関予熱器が前から2枚目の窓下=JRマークの真下にあります。
Tomixでは14次車に相当する模型があります。先日発売された急行「のりくら」セットのキハ28 2493です。便所窓が横長になった14次車を再現していますが床下は…
↑残念ながら9次車以前と床板は同じようです。この場合モデルチェンジ車の床板を付けた方がより実感的になります。
↑ちなみにこれがモデルチェンジ車の床下です。イラストと比べると、こちらの方がよっぽど似ています。というか1-3位側に関してはほぼ同じです。
というように1エンジン車の床下は非常に難しいです。「模型でそこまで追求しないよ!」というレベルかも知れません。しかしせめて「のりくら」セットのキハ28はモデルチェンジ車と同じ床板にしてもらいたかったです。
次は水タンクです。
上で紹介した3つの模型、「単品」「氷見線セット」「のりくらセット」ともに床板が共通ですので、アルミ製のタンクが付いています。
↑4VKの隣が水タンク。アルミ製タンクが付いています。
しかし実車では1980年代以降急速にこの水タンクのFRP製への交換が進み…
盛岡・秋田・仙台・水戸局…ほぼ交換の実績なし
新潟局…ほぼ全車交換
長野局…ほぼ交換の実績なし
名古屋局…多くが交換済み
金沢局…多くが交換済みもペースは遅い
大阪・岡山局…大半が交換済み
福知山・米子局…大半が交換済み
広島局…大半が交換済み
四国総局…ほぼ全車交換
九州…大半が交換済み
となっています。
先ほどと重複しますが…
↑キハ28 2446 水戸から小牛田に移ったが、両区とも交換しないため当車もアルミタンクのまま。
↑キハ28 2385 名古屋の車でタンク交換済み
↑キハ28 2479 米子の車でタンク交換済み。
↑キハ28 2039 初期車であるがタンク交換済み。
↑飯山線のキハ28 2364 長野ではあまり交換実績は無いが、当車は元新潟配置のため、新潟時代に交換済み。
しかし交換のペースは遅くJR化後も換装は続いていました。よって廃車時には換装済みの車両でもJR化直後にはアルミタンクであった可能性もあります。ただし1990年代に入って新潟以西で原形タンク車を見つけるのは困難でした。
よって、特に塗り替え等でJR化後の比較的晩年の姿を再現したい場合、どうしてもこの原形の水タンクが気になってしまいます。どうしても我慢できない方はモデルチェンジ車の床下から水タンクを切除して平窓車に移設すると良いでしょう。
サラっと書こうと思ったら、結構なボリュームになってきましたので、続きは次回とします。では皆様お楽しみに!!
是非私のホームページ
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にも各車の解説がありますのでご覧になってください。