地下鉄有楽町線、副都心線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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1970年代から存在する地下鉄有楽町線。そして、東京メトロで一番新しい地下鉄副都心線。都心部で見ると異なる地下鉄路線のように感じられますが、実は兄弟路線ともいえます。そんな両線のダイヤを紹介します。

写真1. 飯田橋に停車中の電車

ダイヤパターンとは?

都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。

例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ上り、日中時間帯、夕方ラッシュ下りについて述べます。

なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。

直通運転と停車駅について

写真2. 西武線内を走る地下鉄車

地下鉄有楽町線と副都心線は私鉄と相互直通を行っています。

  • 有楽町線:小竹向原で西武鉄道、和光市で東武鉄道
  • 副都心線:渋谷で東急電鉄(新横浜から相模鉄道)、小竹向原で西武鉄道、和光市で東武鉄道

この全体像がわかる路線図はなかなかありませんが、東武鉄道が有楽町線、副都心線と東急線と直通している路線図を公式サイトに掲載してくれています。本記事でも東武鉄道に敬意を示して掲載いたします(図1)。

図1. 地下鉄有楽町線と副都心線の路線図(東武鉄道公式サイトより)

地下鉄有楽町線は全て各駅停車というのはわかりやすいです。一方、副都心線では各駅停車の他に急行通勤急行があります。

東急電鉄、西武鉄道、東武鉄道、相模鉄道に直通し、行先は多岐にわたります。しかし、本記事では地下鉄線内のダイヤ解析を主眼に置く目的上、直通先の行先には立ち入らず、直通する鉄道会社のみ立ち入ることにします。

地下鉄有楽町線、副都心線の朝ラッシュ時のダイヤパターン

写真3. 朝ラッシュの飯田橋の光景

有楽町線は和光市から都心に向かう流れが主体ですが、副都心線は両側からの流れがあります。そこで、本記事では両方向について述べることにします。

和光市から都心への流れ

だいたい15分サイクルのパターンダイヤで運転されます。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 有楽町線:西武線から2本、東武線から1本、和光市始発3本
  • 副都心線:西武線から急行1本、東武線から通勤急行1本、西武線から各駅停車1本、東武線から各駅停車1本

有楽町線は2.5分間隔で各駅停車が運転されます。副都心線は7.5分間隔で通勤急行(急行)1本と各駅停車1本が運転されます。つまり、有楽町線は15分に6本、副都心線は15分に4本の運転です。副都心線は都内の地下鉄の割には本数が少なめです。路線名が示す通り、都心部には向かわないので、この程度で良いとされているのでしょう。なお、相鉄直通に合わせ、15分に1本程度新宿三丁目始発が増発されています。

※2023年ダイヤ改正より通勤急行も明治神宮前(原宿)に停車するようになり、西武線方面は急行通勤急行の停車駅に違いはありません(通勤急行は急行の停車駅に小竹向原以北の各駅を加えたもの)。そのため、2023年ダイヤ改正から西武線方面からの通勤急行急行に名称を変えています。

両線合わせて15分に10本運転されます。これらが西武線から4本、和光市方面から6本設定されています。計算上、西武線→副都心線、和光市→有楽町線で勘定が合いますが、そのようなことにはなっていません。和光市方面、西武鉄道側の双方から都心方面と副都心方面に向かうニーズがあるためです。

本数の内訳を見ると、西武線から有楽町線副都心線を各2本設定し、東武から有楽町線副都心線通勤急行副都心線の各駅停車を各1本確保し、残りを和光市からの有楽町線が補っているイメージです。

これだけ見ると、東武からの有楽町線が15分間隔と少なさそうに見えます。しかし、東武線内には多くの電車が運転されていて、和光市で始発の有楽町線に同じホームで乗りかえられます。このため、東武からの有楽町線は無理して多くの本数を確保する必要もないのです。

小竹向原での接続は特に意識している部分はなさそうです。朝ラッシュ時は本数が多く、接続に気を配らなくとも、すぐに次の電車がやってくるのです。特に、副都心線は2.5分間隔ですから、接続をことさら意識する必要もないことはわかります。

ただし、2023年ダイヤ改正から有楽町線を一部減便していますので、最ピーク時の前後では微妙に間隔が開いています。

渋谷からの流れ

基本的に15分サイクルのパターンダイヤで運転されます。全て東急からの直通で、渋谷始発はありません。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 通勤急行:2本(西武直通は急行という名称)
  • 各駅停車:2~3本

15分に2回、通勤急行各駅停車が運転されるのが基本です。ただし、各駅停車の間隔が大きく開く箇所には救済のために規格外で各駅停車が追加されます。追加の各駅停車の多くは和光市や西武線には向かわずに、池袋行きです。相鉄直通に合わせて15分間隔程度で新宿三丁目行きが運転されています。

地下鉄有楽町線、副都心線の日中時間帯のダイヤパターン

写真3. 東急線内ですれ違うメトロ車

30分サイクルのパターンダイヤです。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 有楽町線:新木場-西武線2本、新木場-東武線1本、新木場-和光市2本
  • 副都心線急行2本(15分間隔、東急線-西武線1本と東急線-東武線1本)、各駅停車5本(相鉄線-和光市1本、東急線-和光市2本、東急線-西武線1本、東急線-池袋1本)

基本的に有楽町線は6分間隔、副都心線は15分サイクルのダイヤを採用しています。それが小竹向原以北で和光市方面と西武線方面に分岐します。

新木場からの西武線方面は12分、18分の交互で、その間に和光市方面が入ります。有楽町線小竹向原以南は非常に単純なダイヤです。

副都心線は15分間隔の急行を軸にその間に各駅停車が2本入るのが基本です。ただし、30分間隔で池袋以南の各駅停車が挿入されます。急行は和光市方面(東武線直通)と西武線直通に分かれます。興味深いのは西武線直通・東武線直通ともにそちらでは快速急行になるということです(2023年ダイヤ改正以前は東武線内は急行だった)。

小竹向原-和光市では30分あたり副都心線急行1本、有楽町線各駅停車3本、副都心線各駅停車3本が走ります。有楽町線の都心部よりも本数が多いのがやや皮肉です。時刻表を見る限り、小竹向原での接続はそれなりに考えられているように見えます。

地下鉄有楽町線、副都心線の夕方ラッシュ時のダイヤパターン

朝ラッシュ時と同じく、都心から両方向への流れがありますので、それぞれを記します。

都心から和光市方面と西武線への流れ

池袋断面で18時台の本数の内訳は以下の通りです。

  • 有楽町線:15本(S-train1本含む)
  • 副都心線:12本(急行2本、通勤急行2本、各駅停車8本)

有楽町線は平均4分間隔で運転、副都心線は平均5分間隔で運転されます。副都心線は15分間隔で速達列車が運転され、半数は西武線方面の急行、もう半数は和光市方面の通勤急行です。その間に各駅停車が2本運転されます。西武線方面は8本(S-train1本含むと9本)確保されていますが、東武線方面は5本しかありません。和光市に着けば東武線の電車がそれなりに運転されており(毎時3本の準急や川越市方面の普通も2本ある)、和光市さえ着けば良い、そんな割り切りも見えます。

本数の少ない西武線方面は有楽町線副都心線の交互が理想ですが、現実には有楽町線副都心線が2本続く箇所があります。小竹向原での乗りかえがある程度の前提になっていることがうかがえます。

副都心から渋谷への流れ

基本的に15分サイクルのパターンダイヤで運転されます。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 通勤急行:1本
  • 各駅停車:3本、そのうち1本は新宿三丁目始発が基本

ただし、例外があり、新宿三丁目断面で17:54~18:09の間や18:54~19:09の間は各駅停車が2本しかありません。これは新宿三丁目断面で18:09~18:54が最ピークと判断されているのでしょう。新宿三丁目始発を設定して、新宿地区からの着席チャンスを提供しようという心意気を感じます。

有楽町線と副都心線のダイヤパターンまとめ

有楽町線と副都心線は経由地こそ異なるものの、兄弟路線として関係が深い路線です。その証拠に、両線で使用する車両が同じです。全体的な印象ですが、有楽町線は東武線や西武線から都心への流動を重視し、副都心線は東急線から副都心への流動を重視している印象があります。

有楽町線も副都心線も多くの鉄道会社と直通し、さらに小竹向原で相互の系統が入り乱れるという複雑なダイヤとなっています。これだけ複雑だと全ての要求を満たすダイヤを組むのは大変困難でしょう。現在は、ある程度完成度が低い部分もありますが、なかなかの完成度を誇るダイヤです。これからも複雑なオペレーションを組んで、国際都市東京の動脈を担うことでしょう。

過去のダイヤ改正についての考察

過去のダイヤ改正について、改正前後の時刻を比べるなど、詳しく考察しています。

2020年3月ダイヤ改正における地下鉄有楽町線と西武池袋線の変化

地下鉄有楽町線、副都心線の過去ダイヤ

過去のダイヤパターンを簡単にまとめました。

地下鉄有楽町線、副都心線(過去ダイヤ)

地下鉄有楽町線と副都心線のダイヤを2001年からまとめます。
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