今夏8/8-10にE257系で運転される「踊り子57号・58号」は、多客期のみ運転される「踊り子51〜58号」の中でもピーク期間のみ運転され、また踊り子号の中でも特に遅い時間帯を走る列車でもある。
本記事では、運転初日となった8/8(土)に実際に乗車してみた感想等も踏まえて、踊り子57号・58号について紹介したい。
※2021年2月追記
・2〜3月の河津桜シーズンの土休日は、踊り子58号がE257系で運転予定だったものの、河津桜まつり中止に伴い運休が決定。(踊り子57号は年末のみ58号とセットで運転。)これに伴い、河津桜まつりシーズンの伊豆急下田発最終は踊り子20号(土休日185系・平日E257系)に。
・2021年5月のゴールデンウィーク(連休)もほぼ同時刻にE257系で運転予定。
運転概要
今夏の運転日
8/8(土)-8/10(月祝)
※ちなみに、結果的に運休となったゴールデンウィークは5/2-5/5の運転予定で、51-56号とは違って連休最終日の5/6は運転予定日に入っていなかった。
充当編成
E257系9両編成(指定席6両・グリーン車1両・自由席2両)
運転時刻と停車駅
踊り子57号 伊豆急下田行き
東京15:00→17:54伊豆急下田(所要時間2時間54分)
途中停車駅:品川、横浜、小田原、湯河原、熱海、伊東、伊豆高原、伊豆熱川、伊豆稲取、河津
2020年春のダイヤ改正時点で踊り子号の中で、通常時に一番遅い時間に設定されている下り踊り子号は、平日は東京13:00発の踊り子15号、土休日は東京13:30発の踊り子17号である。それと比べると、この東京駅15:00発というのはいっそう遅い時間に運転されるのが分かるだろう。終点に18時前に着くということで、イメージとしては沿線のホテルにチェックイン・そのまま夕食といったような流れでの利用が想定されているところだろうか。
なお今春のダイヤ改正直前では、東京駅14:30発のスーパービュー踊り子9号が多客期に、15:30発のスーパービュー踊り子11号がさらに限られた日程で運転されていた。東京駅15:00発というのは、実質的にそれらを統合した新規設定のスジとも言えるかもしれない。
停車駅は、全踊り子号が停車する駅+小田原・湯河原である。
踊り子58号 東京行き
伊豆急下田18:18→21:15東京(所要時間2時間57分)
途中停車駅:河津、伊豆稲取、伊豆熱川、伊豆高原、伊東、熱海、湯河原、小田原、横浜、品川
伊豆急下田18時台発・東京21時台着というのは、近年無かったレベルでの遅い時間の設定である。ダイヤ改正前は多客期運転のスーパービュー踊り子14号が伊豆急下田17:57発・東京20:43着で設定され、また年度によっては新宿着のスーパービュー踊り子12号として設定されていたこともあるが、下田発18時以降発の踊り子号は少なくとも近年は走っていないはずである。
57号・58号共に前ダイヤでは存在しなかったスジでの運転となったが、「踊り子57号→折り返しで58号という運用を前提に、極力遅い時間の運転」と考えることも出来なくはない。
踊り子58号の停車駅は57号と全く同じで、湯河原・小田原に停車する便である。小田急方面等への帰路にも使いやすい設定となっている。
乗車レポート(踊り子57号)
以下、踊り子57号・58号に実際に乗車して見たこと・考えたことなどを記す。すれ違う列車等については全てを記したわけではないので、あらかじめご了承いただきたい。
土休日運転で東京駅「9番線」14:18着となるE257系踊り子6号が、そのまま折り返し踊り子57号として運転される。ちなみに、実際に踊り子57号に乗車できたのは14:45頃であった。
8番線に14:49着の踊り子8号が入線して新旧踊り子車両が並ぶ。また発車直前の14:57には、同じく伊豆方面へと向かう「普通 伊東行き」(後5両平塚止)が入線し発車していった。
定刻15:00に東京駅を発車。途中、大船で先行の伊東行き、国府津で熱海行きを追い抜く。
また、(品川手前の上り線と離れる部分で踊り子54号、)横浜で踊り子10号、さらに踊り子12号、サフィール踊り子2号、踊り子14号と数々の踊り子号とすれ違っていく。熱海駅では増結作業中の踊り子16号を眺めることができ、伊豆急行線内に入り川奈での運転停車中には同じE257系充当の踊り子18号池袋行きが通過していった。また熱海でリゾート21黒船電車、網代でリゾート21キンメ電車の横を通った。
伊豆高原駅ではサフィール踊り子4号と交換。停車時間は双方やや長めに取られているが、停車位置的に下りホーム側からだと並びを撮ることはできない。(逆にサフィール踊り子側のホームからは、下田方1号車側なら上手く並びが撮れる位置かもしれない。)
伊豆熱川駅では5分ほど停車し185系踊り子20号と交換。まだ土曜日とはいえ、日帰りでも使いやすい夕方に伊豆を出発する踊り子20号の自由席(海側)はほぼほぼ埋まっているように見えた(それ以外の車両は空いている)。
河津駅でも2分ほど停車し、本来なら普通列車との交換が行われるのだが、その列車は依然として新型コロナウィルスの影響で運休対象となっている列車である。夕方から夜にかけて、伊東-伊豆急下田間で普通列車が間引かれているのだ。
そして17:54、定刻通り伊豆急下田駅2番線に到着した。
乗車レポート(踊り子58号)
伊豆急下田駅併設の売店・お土産屋は(元々?)17時あるいは16時半までの営業のため、踊り子58号乗車直前の18時前後だと既に閉店している。代替的な店舗としては、確認した限りだと駅周辺のお土産屋も1店舗程度は開いていた他、徒歩1〜2分程度の位置にコンビニ(ローソン)があり、踊り子57号や58号の利用者なのかは分からないが少々賑わっていた。
伊豆急下田駅からの乗車の場合に限らないのだが、踊り子58号に乗車して東京方面に帰ろうとする場合は、駅周辺の売店等の営業時間には気を付けておいた方が良いかもしれない。
改めて改札内に入り直し、折り返し同じくE257系で運転される踊り子58号に乗車する。
伊豆半島を北上するにつれ、徐々に空が暗くなっていく。もう少し晴れていれば、海岸沿いで美しい夕暮れを見ることができたかもしれない(ただし海の方向は東側であるため、日の入り自体を海側で見られるわけではない)。
なお、踊り子57号・58号が設定される多客期でその様子を見られるのは、ゴールデンウィークかこのお盆の時期だけである。秋〜冬〜河津桜の時期(2・3月)頃に設定された場合、伊豆急下田駅を発車する時点で既に空が真っ暗になっているはずである。
伊東駅に到着。下り列車到着待ちのため、19:17から19:25まで約8分間停車する。その下り普通列車から接続している19:29発の伊豆急下田行きは減便対象となっており、3番線には既に19:56発の伊豆急下田行き(3両編成)が入線していた。
その後踊り子58号は東海道線に入り、熱海・湯河原・小田原・横浜・品川と停車していく。途中、小田原で始発の普通に列車に接続し、 平塚・大船で先行の普通列車を追い抜く。大船で抜いた普通列車(平塚始発籠原行き)は、踊り子58号の運転日のみ大船待避を取り入れたダイヤに変更となる。
伊豆急下田から3時間弱経過した21:15、定刻通り東京駅に到着。長い時間お世話になったE257系は、10分ほど停車した後、大宮方面へと回送されていった。
写真撮影のため9・10番ホームに移ると、おそらくこれからサンライズ瀬戸・出雲号に乗車すると思われる乗客(家族連れなどを含む)で既に賑わっていた。個室中心のサンライズ号は、このような時勢でも(だからこそ?)人気のようであった。
まとめ(+混雑率についての考察)
以上、臨時列車「踊り子57号・58号」について、簡単な乗車レポを添えて紹介した。(8/7の踊り子51号・52号を除けば)季節臨としては初のE257系充当列車枠でもあり、運転時間帯と共に気になる列車であったが、より遅い時間に伊豆に向かう・より長く伊豆に滞在するための列車として使える列車という印象だった。
ただし、この時勢でも土休日には満席か予約状況△になることが多いサフィール踊り子号(総座席数が少ないので単純比較はできない)や、海側の席がほぼ埋まっている日もある東京を午前中に発車する下り踊り子号(主に定期列車)と比べると、踊り子57号・58号は一段二段乗車率が低く、以前から近い時間帯を走っていたの踊り子号が多客期のピーク時のみの設定というのは妥当なのかもしれない。
実際、8/8の指定席(グリーン席含む)は1両に多くても10人程度の乗車率であり、ソーシャルディスタンスを十分確保できる程度であった(だからこそ乗車を決行できた側面もある)。なお自由席は上り58号の伊東時点のみ確認できたが、片側で2列に1人程度の乗車率で、他の踊り子号と同様に自由席の方が混雑する傾向はあるようだ。
この3連休の次に「踊り子57号・58号」が運転されるのはいつになるのかが気になるところである。その際には、(時勢が落ち着いていれば)踊り子57号・58号を上手く活用した旅程を組んでみるのも良いかもしれない。