[ 国立公園鉄道の探索 ]
千平駅 (上信電鉄上信線)
上信電鉄上信線の終点・下仁田の一つ手前の・千平駅(起点29.9㌔)は、全線中最も豊かな自然に囲まれた駅です。
駅の背後に民家があります。家屋とホームも樹木で隔てられています。
しっかりと、駅周辺の案内標も掲げられています。
近くに、鏑川の狭窄部、不通(とおらず)渓谷がありますので、駅の階段を下りて出向いてみました。
途中、横道から千平駅を望める場所がありましたので、行ってみました。緑陰の中に単式ホームがあります。
夏の色漲る線路ぎわをすり抜けるように、二両編成の電車はゆっくりと進んでいきました。
彼方に控える山々に吸い込まれるように終点下仁田へ向かって走り去っていきました。
駅から10分程歩くと、鏑川に架かる橋が見えてきます。
「不通(とおらず)渓谷」の表示がありますが、この橋の下が渓谷の出口付近にあたります。
下の標識の「馬山」とは、この付近の鏑川右岸一帯の地名です。ただ、馬山の下段に「不通(とおらず)」の地名が記されていると、
馬山へは通行できない、というふうにも受け取られかねません。
この橋の金網の防御柵が設置されています。
その隙間から上流側の渓谷を見ろします。結構迫力のある風景なんですが、この金網、やはり風景鑑賞の障害になります。
橋の上から、下流側を眺めてみました。このあたりから、渓谷地帯を抜けていきます。
橋の上流側100m程のところに、水道管が架けられています。
これは「甘楽多野用水」の給水管で、上流の下仁田の堰で取水した水を、河岸段丘上の農地へ配水する役割を果たしています。
河岸段丘上の農地は、鏑川の洪水には強い反面、降雨が少なくなると、周囲の山から流れてくる支流の水量が減り、安定した農業用水の確保が難しい状況でした。そこで、この用水が造られ、農業基盤の改良が図られました。
渓谷を跨ぐ給水配管の上部には、メンテナンス用とみられるキャットウォーク(作業通路)も設けられています。
不通渓谷から急カーブする線路沿いを通り、駅へと戻ります。
上信線は、千平駅のすぐ東側で、小さな支流を跨いでいます。
碧樹に包まれた渓谷沿いを通り抜けてきた電車に、これから乗るとことにします。