その③より
2019年11月26日(火)
前回から2ヶ月近く経ちましたが、昨年11月に京阪の石山坂本線を日帰り旅している続きです。
膳所本町駅で昼食を済ませたら、一路終点の坂本比叡山口駅を目指します。
2両の列車は市中を軽快に走り、JR線が近づいてくると膳所駅に滑り込む。
駅の北側は、古い町並みが残り道路も狭いので、あまり車で迷い込みたくない場所だったり。
道幅の広い、湖岸道路沿いに出てきました。
時折見える琵琶湖に目を奪われつつ、京津線との乗換駅である浜大津に到着。
京津線は乗車済みで、浜大津から逢坂山を越えて京都市内とを結ぶ路線です。
坂本比叡山口行きは、浜大津駅を出ると三井寺駅まで併用軌道です。
くねくねと住宅地を縫うように走ります。
この辺りも、道路は狭そうです。
JR湖西線との乗換駅、京阪大津京。
駅名は2018年に改称したばかりで、まだ皇子山駅の方がしっくりくる。
同じ理由で、びわ湖浜大津駅や坂本比叡山口駅も浜大津や坂本と以前の駅名で呼んでしまいます。
次の近江神宮前駅は、名前の通り百人一首の全国大会で有名な近江神宮の最寄駅。
近江神宮は、朱色が映える端麗な建物です。
また、駅には全車両の検査等を行なっている錦織車庫が隣接しています。
留置されている車両も、すっかり新塗装に統一されてしまいましたね。
しばらく線路は一直線、山麓を走るので意外と起伏が激しいです。
どこまでも続くレールが、時にはジェットコースターのごとく波打ちます。
まだ、旧塗装の車両もいました。
この路線はラッピング車両が多いので、車体色が統一されても色んな電車が行き交うのは変わらないと思います。
膳所本町から半時間弱、終点の坂本比叡山口に到着。
叡山電鉄の八瀬比叡山口に対応して、比叡山の滋賀側の入口にあたります。
歩いて十数分のところに、ケーブルの坂本駅があり山頂の延暦寺駅とを結んでいますが、今回比叡山には行きません。
旅の目的は、沿線の紅葉狩り。
紅葉スポットである、旧竹林院と日吉大社を訪れようと思います。
坂本比叡山口駅から、徒歩約10分くらいです。
駅を出ると、すぐに日吉大社の二ノ鳥居が迎えてくれました。
他にも紅葉スポットとして西教寺がありますが、あちらは駅から歩いて片道20分なので、また別の機会に訪れましょうか。
にしても、良い具合に色付いていますね。
シャッターを切る手が止まらないので、なかなか先へ進めないです。
さて、まずは旧竹林院です。
比叡山の門前町、坂本に今も数多く残されている里坊のひとつ。
里坊は、延暦寺僧侶の隠居所です。
比叡山延暦寺には、十二年籠山行という12年何があっても下山せず修行を続ける行があります。
何があってもなので、身内に不幸があっても下山できません。
竹林院の庭には水石木があしらわれて、さながら僧たちの修行を支えた比叡山の縮図。
厳しい修行を終え山を下りても、修行は一生続くものであるとのこと。
主屋に入ってすぐ目に付くのが、磨かれた黒い座卓にリフレクションする紅葉。
似た名所では黒塗り机の天板が紅葉を映す瑠璃光院や、床もみじで有名な岩倉実相院が有名ですが、滋賀にも俗に言う「インスタ映え」があるんですね。
座卓は、主屋の1階と2階に配置されています。
1階は石塔などの石造物を絡めて、高さのある2階はめいっぱい紅葉を取り込んで、それぞれ雰囲気の異なる写真が撮れます。
皆横に並んで、カメラの設定や角度を微調整しながら撮影に没頭していました。
外に出て、庭園も散策しましょう。
意外にも立派な庭園で、八王子山を借景としています。
八王子山は、日吉大社の奥宮がある山。
穴太衆積石垣を採用した庭園、築山も起伏に富み、ひっそりと佇む四阿(あずまや)がアクセント。
散り紅葉が赤い絨毯となり、緑と赤の対比が美しいです。
近くの川から引き込む水のせせらぎに耳を傾け、一度比叡の山々のイメージを膨らませてみる。
庭園で自然に包まれるのも良し、主屋で寛ぐのも良し、紅葉シーズンは人が多いですがそれでもたっぷり癒されるスポットでした。
続いて、お隣の日吉大社へ。
およそ2100年前の創祀、全国3800余の日吉・日枝・山王神社の総本宮です。
京の都の表鬼門(北東)を守ってきた、方除けの大社でもあります。
奥に見える鳥居ですが、頭が三角形となっています。
これは山王鳥居で、山を模した合掌状の冠がつく装飾が施されています。
ちょうど傾き始めた陽が差し込み、さながら紅葉が燃えているようです。
皆立ち止り、写真に収めています。
境内は広く、約40のお社があります。
その中で、中心となるのが山王七社(西本宮・東本宮・宇佐宮・牛尾宮・白山宮・樹下宮・三宮宮)でさらに大きく分けると東本宮・西本宮・奥宮といったエリアになると思います。
奥宮は往復1時間掛けて山を登るので、今回は見送っています。
ここの神様のお使いは、猿でした。
神猿と書いて「まさる」と呼ぶそうです。
方除・厄除の大社ですので、魔除け(魔去る)の象徴として大切に扱われています。
また「勝る」にも通じるので、試合の必勝や合格祈願のご加護もあるとのこと。
次回も、引き続き日吉大社を歩き回ります。
ではではノシ
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