JR西日本では、去る7月31日に、2020年度第1四半期の決算を発表しました。

2020年度 第1四半期決算について:JR西日本

概要は以下の通りです。

●売上高:
1,634億円(前年同期:3,658億円(▲55.3%))

●営業利益:
▲942億円(前年同期:660億円)

●親会社株主に帰属する四半期純利益(最終損益):
▲767億円前年同期:425億円)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



新型コロナウイルス感染症の影響により、大規模な外出自粛が発生したことなどから、JR西日本に限らず鉄道事業者各社は鉄道事業だけでなくその他関連事業も含めて、大きく売上が減少しました。

JR西日本でも、これまで基本的に黒字経営で運営してきたものが、この四半期に関しては昨年度の同時期は425億円の黒字であったものが、今回は767億円という大幅な赤字を計上することとなりました。

しかも、この傾向は、この第1四半期で終息するわけでは決してなく、引き続き外出や出張の自粛が続くことを考えると、第2四半期(7月〜9月)についても、同様の傾向が続くものと考えられるだけに、事態はより深刻といえるでしょう。

企業の出張自粛や雇用整理、大学の休校継続、イベントの開催中止等々、とにかく「人が動く」ことが悉く制限されてきた、また制限が解除された後であっても心理的に抑制されている現況では、もはやコロナ前の水準に戻ることも難しいのではないか、とさえ思えます。

先の7月社長会見においても、下記のように社長自らが現状に対する課題認識を示しています。
今月31日には、第1四半期決算の発表を控えていますので、決算に関わることは、本日は差し控えたいと思いますが、お客様のご利用も踏まえて、社会の行動変容が一過性でないことを想定し、当社も新しい生活様式に対応していく必要があると考えています。
 お客様のご利用がコロナ前の状態に戻らない前提で、持続可能な経営を行うため、私どもの商品であるダイヤ、運賃・料金、サービス提供のあり方について大きな課題認識を持っています。
7月 社長会見:営業・輸送概況、安全教育設備の充実、地元と連携した新たな観光の取り組み:JR西日本より引用


即ち、利用率の低下している現況や今後の回復動向を踏まえ、運転本数の削減や、利用状況に応じてより変動する運賃・料金制度等、今後気になる動きが出てくるのではないか、とも思われます。


元々、鉄道事業というのものは、「人が動いてなんぼ」のところがありますが、それが「人が動けない」ということになれば、見直しが起こるのは必至といえます。

これまでも、地方部・過疎部を中心に、「動く人が減ってきている」結果、ダイヤの削減や路線の廃止が行われてきたのは周知の通りですが、今回の新型コロナウイルスの影響は、鉄道が優位性を有する都市部あるいは都市間の移動、即ち鉄道事業の収益源である分野でも「動く人が大幅に減っている」ことになってしまったことからみても、そのダメージの大きさが分かるものと思われます。

ともあれ、ひとまずは新型コロナウイルス感染症がどのような場合に感染するのか、というのを正しく理解し、鉄道による移動は感染リスクが低いものであることを認識していく必要があるかと思います。
その上で、訪日外国人旅行者による需要が望めない間は、日本人による観光・用務等の需要を回復させるしかないのかな、とも思ったりしました。
(政府の「Go To トラベル事業」も、そういう意味ではこの時期から始める必要がある、というのも理解できるかと思われます。)

持続的な経営が難しくなるとなれば、ダイヤや路線網にも影響がでてくることから、JR西日本に限らず、新型コロナウイルス感染症による鉄道各社の決算への影響とそれに伴う事業の見直しは、本当に注意してみていかないといけないな、と感じたニュースでありました。




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