お久しぶりです。
2020年7月28日、9108Fが9000系初のワンマン化改造工事を終えて武蔵丘車両検修場を出場、小手指車両基地まで試運転を行いました。
4月10日の入場から数えておよそ3ヶ月半での出場となります。
また、ワンマン化改造工事と並行で列車無線工事も行われたようです。
列車無線工事に関しては2018年度より各形式で行われており、武蔵丘車両検修場での施工は初となります。
改造により各部に変化が見られたため、わかる範囲でまとめていきたいと思います。不鮮明な写真が多数ありますがご了承ください。
入場前のあれこれについてはこちらの記事もご覧いただければ。
・編成構成
文章での説明は難しいのでまずこちらの画像をご覧ください。
改造による変化として、機器面ではモハ9200形へのパンタグラフ増設とクハ9000形への蓄電池の移動、設備面では両先頭車へのフリースペースの設置と弱冷房車の変更(2号車→3号車)が挙げられます。
車番に関しては従来通りクハ9108-モハ9208-モハ9908-クハ9008となりました。
・車体外観
9108Fでは車体色がレジェンドブルー一色となりました。Lionsのラッピングも現時点ではありません。近年ではラッピングまで検修場で済ませることが多いため、今後ラッピングが行われる可能性も低いと思われます。
前面では不要となる種別表示部が「52席の至福」と同様にガラスの裏から黒フィルムで塞がれた他、従来では手動だった貫通扉のワイパーが4000系と同等の電動タイプに交換され、取付位置も上方に変更されています。
側面も各部に様々な変化が見られます。
まず車両称号等の表記ですが、旧社紋とカタカナの記号が撤去され、車両番号の数字のみとなりました。数字部分に手は加えられていないようで、改造前の切り抜き文字のままとなっています。
種別・行先表示では、種別表示部分がフィルムにより封鎖された他、行先表示器の幕が変更されました。行先に関しては現時点で「多摩湖」「国分寺」「回送」「試運転」の収録が確認できています。Twitterでは「一橋学園」「萩山」が表示されていたという情報も。
弱冷房車の設定も変更されたため、弱冷房車ステッカーも3号車のドア上へ移されました。ステッカー自体は従来通り20000系以前のタイプとされています。
その他細かい点では乗務員室扉下の開扉目標ステッカーが白ベースから青(車体色)透明ベースへ変更された点が挙げられます。
戸袋窓を覆うフィルムの色合いも改造前と僅かに異なるように見えました。
9108Fでは号車表示もL-train仕様となっていましたが、9000系標準のものへ戻されています。
・車内
一番大きな変化は両先頭車へのフリースペースの設置でしょうか。
元の座席が撤去され、簡易的な座席が新設されました。その上には手摺も2本設置されています。よく見ると簡易座席の横には従来通りのドアコック蓋が。
設備としては車椅子スペースに近いものの、非常通報装置が設置されていない点が異なります。
細かい話になりますが、フリースペース部の側窓と妻窓も車椅子須スペース部と同様に固定化されており、「この窓はあけられません」のステッカーが貼付されていることが確認できます。新造時より固定窓とされていた箇所とは異なりサッシは残ったままでした。
それ以外では、ドア下の床材が黄色に変更された点と、扉間の座席にスタンションポールが設置された点が挙げられます。これにより新2000系特修車に近い状態となりました。
座席は9108Fでは従来より模様入りのバケットシートとなっています。
・屋根上
モハ9200形の後位側にパンタグラフとヒューズ箱(電磁カギ外し装置用)が新設された他、列車無線工事により両先頭車の列車無線アンテナがWH-2UV-EV1型に交換されました。また既存のパンタグラフも、101系で搭載されているすり板が異なるタイプに交換すり板が、101系ワンマン車などに見られる黒系のタイプに交換されたようです。
モハ9208における屋根上の変化の詳細はこちらの画像をご覧ください。上が改造前、下が改造後となります。
配管は高圧(主回路、母線とも)配管を赤色、カギ外し装置管の低圧配管を緑色、空気管を青色で示します。
大きな画像のリンクはこちら↓(上はコピーしてください 下は直接いけるはずですがアプリだとだめみたいなのでブラウザで開いてください)
https://stat.ameba.jp/user_images/20200729/21/b81442255/a5/b8/p/o4072229014796208645.png
・機器類の変化
パンタグラフ本体とヒューズ箱(電磁カギ外し装置用)が既存箇所と線対称の位置に新設されました。台座等も既存箇所と同形状になっており、仕様の統一を図ったものと思われます。
・配管の変化
2本の高圧配管が既存側のパンタグラフから、クーラー脇を通り増設側のパンタグラフへ回されています。またその影響により既存の高圧配管が1本移動されています。後述の空気配管と台座を共用する箇所では、一部を除き金具を介して台座から僅かにずれた位置で固定されていました。
空気配管(下げシリンダ用)は既存側から分岐し、高圧配管と同様に増設側のパンタグラフへ回されています。こちらは一部を除き金具を介して台座から浮かせて取り付けられています。
増設側の低圧配管は完全に新設で、既存側とほぼ線対称の形状とされました。
・床下機器
先頭部にホーム検知装置が新設された他、両先頭車にワンマン継電器箱、クハ9008に蓄電池箱が新設されました。またモハ9208のパンタ操作箱の上にパンタ継電器箱と思しき箱(2000系/101系のパンタ継電器箱と同一の外観)が新設されています。それ以外には変化は見られず。
ワンマン継電器箱は両先頭車で取付位置、向きが異なり、クハ9108は1位側車体中央付近に正面向きで設置、クハ9008は2位側3番ドア直下に右向きで設置されています。
クハ9008の蓄電池箱は2位側車体中央付近(クハ9108でワンマン継電器箱が設置されている位置)に設置されました。こちらは廃車からの流用でしょうか。
ホーム検知装置は101系や4000系で使用されているものと同型と思われます。
・その他
ワンマン化のため運転台にマイクが設置された他、列車無線工事により列車番号設定器列車情報設定器が交換され、車掌台側の天井にアンテナが新設されたことが確認できています。
現在のところ判明しているのは以上となります。不明な点も多いですが、なかなか面白い形態かと思います。営業運転開始が楽しみですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2021/08/07 誤情報を修正(赤字部分)