今秋に、TOMIXから久々に72・73形通勤電車が発売になりますが、過去には多数のカラーバリエーション製品が発売され、中でもスカ色に塗装されたセットは2種類が発売されました。何れも御殿場線で運用された当時の姿を再現した製品となっています。
横須賀色セット(左：92218)と、御殿場線セット(右：92484)です。
横須賀色セット(92218)は、上からクモハ73近代化改造車、サハ78、モハ72、クハ79-920番台の4両で、2001年12月に発売されました。
御殿場線セット(92484)は、上からクモハ73近代化改造車、サハ78-450番台、モハ72、クハ79-300番台後期形の4両で、2013年7月の発売です。
上段が横須賀色セット(92218)、下段が御殿場線セット(92484)です。両セットは、同一車種で構成され、良く似ていますが少しずつ異なっています。なお、横須賀色セット(92218)の屋根上機器は、パンタグラフ以外が添付パーツとなっており、購入時の未取付状態のままです。
車種ごとに比較してみます。最初はクモハ73です。
クモハ73は何れも近代化改造車で、左側が横須賀色セット、右側が御殿場線セットです。前面では、行先方向幕の有無、パンタ配線の処理方法の相違、運転席窓下の通風器形状の相違、接栓受の有無などの差異があります。
奥側が横須賀色セット、手前が御殿場線セットです。以下、同様に配置しています。クモハ73の側板には差異がありませんが、床下機器の向きが反転して装着されています。御殿場線ではクモハ73が沼津方に連結された編成が多く見られ、御殿場線セットでも説明書に沼津方先頭車として記載されています。床下機器は、海側に空気系・山側に電気系の機器配置となるのが正しく、沼津方先頭車に使用する場合は、御殿場線セットの向きが正しく、横須賀色セットでは前後を入れ変えること(国府津方の先頭車ならばそのまま)で合致します。TOMIX製の72・73形通勤電車の床板は、前後が入替可能な設計となっており、所謂、奇数向車・偶数向車の両方に対応した親切な設計がなされているので、購入者の好みでどのようにも設定することが出来ます。
次はサハ78で、御殿場線の一般的な編成では沼津方から2両目に連結されます。
側面に差異が見られます。横須賀色セットは一般的なサハ78の形状ですが、御殿場線セットでは沼津方の窓が1ヶ所埋め込まれ、トイレが設置された450番台の姿が再現されています。また、ドア窓の形状に差異(窓棧の有無)が見られます。
床下機器では、トイレ用の水タンクの有無に差異が見られます。全ての車両にBMTNカプラーが標準装備されており、見た目の形状は同一ですが、横須賀色セットは旧製品のJC28、御殿場線セットには改良されたスプリングコイル入りのJC6329が装着されています。なお、私は横須賀色セットもJC6329に交換しています。
次はモハ72で、御殿場線の一般的な編成では沼津方から3両目に連結されます。
側面では、サハ78と同様にドア窓の形状が異なっています。3段窓でドア窓に棧がないタイプのモハ72・サハ78は、御殿場線セットで初めて製品化されています。
パンタグラフの向きを左右逆に置いたので、床下機器が反転して見えています。横須賀色セットは従来の動力ユニットでしたが、御殿場線セットではフライホイール付の動力ユニットに改良されています。また、御殿場線セットでは説明書にパンタグラフが国府津方に来る編成図が記載されており、床下機器の向きが合わせてありますが、御殿場線の一般的な編成では沼津方にパンタグラフが来る場合が多く、その際には床板の前後を反転することになります。
最後はクハ79で、御殿場線の編成では国府津方のみに連結されます。
ヘッドライトが幕板部にあるクハ79ですが、横須賀色セットは920番台の全金属車で、御殿場線セットでは300番台の後期形(このタイプは初めての製品化)と異なっています。
側面は、横須賀色セットが全金属車なので特有の2段窓・ドアもプレスなしタイプですが、御殿場線セットでは、3段窓・プレスドアと旧型車の面影が残っています。
両セットが共にスカ色塗装ということで、御殿場線で存在した一般的な編成をベースに展開しましたが、両端がクモハ73で、2両のサハ78を挟んだ編成も存在したようですから、好みの組み合わせで楽しむことが出来ます。また、御殿場線セットのクハ79-300番台の後期形は中央東線の71系編成にも利用できます。
最後にご参考まで。
御殿場線には、沼津方には珍車のクモハ73-900を先頭に、3両目にはブドウ色のモハ72-920番台を連結した編成もいました。（1975年7月 沼津駅にて）
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