時も移り過ぎ、五島の戦犯疑惑は晴れ、公職追放も解禁されるとの情報を得た。
「永かったな」
五島はようやく経営に関しては自由の身になれたのであった。
これからは箱根の件や乗っ取り案件等、五島にとって表沙汰には出来なかった事が堂々とやれるのである。
早速、会社幹部は報告の為、五島の邸宅へ向かった。
五島は茶道の最中であった。
顔色も良く、以前の精気を取り戻している様に見えた。
「落胆されてないかと思いましたが・・・」
「なあに、これくらいのこと」
と、何時もの口癖を笑って言った。
幹部達も笑った。
それから、戦犯疑惑・公職追放の見通しを報告したのである。
昭和26年、五島の公職追放が正式に解禁された。
8月相談役に、11月取締役となる。
27年、五島が会長に就任すると同時に又活発に動き出すのであった。
(次回は東映危機です)