所有事業者:はとバス (東京)

仕様・用途:一般乗合 (定観) 仕様

愛称:ハローキティの二階建てバス

登録番号:品川230 あ 8601

社番:794号車

初年度登録:1997年

シャシー製造:MAN社 (ドイツ)

搭載エンジン:MAN D2866型

車体架装:バンホール社 (ベルギー)

車両型式:TD824

車名:バンホール・アストロメガ

撮影日:2013年5月5日 (日曜日)

撮影場所:皇居前広場駐車場

 

No.885に続く、はとバスの輸入車です。

2020年現在、はとバスの輸入車は2016年から採用されているスカニア/バンホールですが、はとバスがバンホールを採用したのは1997年からになります。

現在のアストロメガを採用するきっかけになったのが、 「二階建てバスを増備したいけど、国産の二階建てバス (三菱エアロキング) は既に生産を中止していたので、やむなく」 だったのですが、1997年にアストロメガを初採用した時も 「今まで採用していたドレクメーラーがバス生産をしなくなっちゃったので、やむなく」 がその理由になります。どっちも “オハチが回ってきた” 、タナボタ的な採用だったわけですが、アストロメガは採用時によって、シャシーやエンジンか異なるのも特異といえば特異。

 

アストロメガはベルギーのバンホール社が手がけた車体を架装しているというのは説明するまでもありませんが、こと日本だけに限定すると、どちらかといえば “名古屋系” になります。

1982年に初上陸した初代アストロメガは、三井物産名古屋支店と名鉄グループの華陽自動車興業が輸入元で、同社の親会社である岐阜乗合自動車 (岐阜バス) や名古屋観光自動車 (→名鉄観光バス) など、納入先は名鉄グループの事業者がメインでした。名鉄グループ以外では京阪バスや西日本鉄道なども採用実績があり、そういう意味では西日本でしか見られない車でした。東日本での採用実績は無いようですが、自家用で1台、採用例があったようで、それを東京駅で見かけたことがあります。もっとも、西日本の事業者が手放したのを買い取ったのかもしれないですけどね。

 

画像の車は、そういう呼称はしないようですけど、敢えて言うなら “二代目” になりましょうか。でも型番は初代と同じ、TD824なんですけどね。さらに納入実績ははとバスの2台しかありません。

初代はダイムラー・ベンツのエンジンを搭載していましたが、この “二代目” は、ドイツのMAN社がシャシーとエンジンを手がけています。

MANといえば、自社でもバスを生産しており、初代が日本にやってきたのと同じ時期に、大阪の中央観光バス (→ジパングS.S) の関連会社が独自に輸入商社を立ち上げて、MAN社製バスを輸入した経緯があります。また、バスだけでなく、国鉄のDF50形ディーゼル機関車のエンジンとして著名であり、たまに同社のトラックも見かけることから、そんなに日本との結びつきが薄いわけではないようです。

 

登場当初は黄色のはとバスカラーを纏っていましたが、2005年からハローキティとのコラボがスタートし、それに伴って、アストロメガが専用車に宛がわれてラッピングも施されました。このラッピングはその年その年でデザインを変えていましたが、2011年に1台がオープントップバス 「’O Sola mio」 に改造されました。残った1台は引き続き、キティバスとして稼働することになりますが、全体をラッピングするので、二階建てバスというよりも、アンダーフロアコクピット仕様のスーパーハイデッカーかと見紛うほど。いつしかアストロメガは2台とも退役したようで、後にスカニア製エンジンを載せた “三代目” が登場した時には無かったようです。だから二代目と三代目の “ご対面” は見られなかったんじゃないかな。

 

2019年5月現在、はとバスにはふそうが8台、スカニアが5台在籍していますが、ふそうは8台中5台が平成6年排ガス規制適合車 (KC-) ですので、この代替が急務といえば急務。DPF等の増設で何とか稼働状態にはありますけど、反対にスカニアも2017年以降、増車がありません。この状況をはとバスがどのように考えているのか、注目したいと思います。

 

今日の 「今日の1枚」 は886回目ということで、 「はとバス (8) のハローキティ (86) 」 としました。お後がよろしいようで・・・。

 

【参考文献・引用】

BUSRAMA EXPRESS No.11 「The King -エアロキングの四半世紀-」

BUSRAMA EXPRESS No.15 「はとバス 70年の車両の変遷」

(いずれもぽると出版社 刊)

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