約2年半しか設定されず、既に幻の種別となってしまった小田急の湘南急行。
今回は、その湘南急行がどんな種別だったのかを振り返ってみたいと思います。

湘南急行は、江ノ島線の利便性を向上させるために生まれました。
それまでの江ノ島線は、編成の両数が小田原線と比べて短く、急行の本数が少ない状況でした。
急行の停車駅も多く、お世辞にも利用しやすいとはいえなかったのです。

そんな状況の中、2001年12月に大きな環境の変化が生じます。
JR東日本が湘南新宿ラインの運行を開始し、江ノ島線の競争環境が一気に変化したのです。
小田急も黙っているわけにはいかず、2002年3月に湘南急行を登場させ、真っ向勝負を挑むことになりました。

湘南急行は新宿から藤沢を10両で走る列車で、一部が片瀬江ノ島まで走っていました。
それまでの急行は、途中駅の相模大野で分割併合を行っていましたが、それをなくすことで所要時間を短縮、長編成化で輸送力もアップしました。
停車駅は急行がベースとなっていますが、江ノ島線内の南林間と長後を通過し、スピードアップが図られています。

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種別の色は、湘南をオレンジ、急行を赤としたもので、ダイヤ改正に向けて車両の方向幕が交換されました。
側面に種別と行先を表示する車両の種別幕は、このタイミングで英字入りとなりましたが、行先幕はしばらくそのままだったため、不揃いの状態となっていました。
正面は英字がないもので交換されましたが、後に英字入りのものに再度交換されています。

車両は江ノ島線に入線しない8両以外、どの形式も充当されましたが、運用の関係で4000形の6両ではあまり見ることができませんでした。
当時は10両固定編成が1000形のみだったため、4両と6両を繋いだ10両での運転となっています。

こうして江ノ島線の利便性は大きく向上しましたが、2004年12月のダイヤ改正で快速急行が登場し、湘南急行も発展的に統合されることとなりました。
登場から2年半程度しか経っていませんでしたが、さらに停車駅を減らし、スピードアップを図ったのです。

過渡期の短命種別となってしまった湘南急行。
しかし、江ノ島線の利便性向上に果たした役割は、とても大きいものでした。