西武3000系がやって来たよ | 書斎の汽車・電車

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 マイクロエースのNゲージ、西武3000系(登場時)が発売になり、当鉄道にも入線しました。

 模型そのものは、特筆大書するようなものではありません。(とはいえ、かつてのマイクロエースによく見られた、なんだか寝ぼけたような出来栄えではありません。非常にシャープな模型という印象です)

 

 それではなぜ、わざわざ当ブログのネタにするのかといえば、一時期の状況を思えば、今回の製品発売は大変嬉しいものだったからです。

 今年の初め、鉄道模型の世界で新型コロナウイルスの影響をまず受けたのが、マイクロエースのような、中国で生産しているメーカーでした。事実ほとんどの新製品の発売時期が「未定」となり、新規の発売予定も発表されなくなってしまいました。こんな状況が長く続くようだと、中国に生産拠点を置いている各メーカーの先行きも危ぶまれるのではないかと危惧していたのですが、どうやらぼちぼち各メーカーとも新製品のリリースが再開され、今回めでたく、西武3000系もやって来たというわけです。

 

 西武3000系、マイクロエースでは以前にも模型化しており、すでにお持ちの方も多いとは思いますが、登場時の姿は今回が初お目見えです。私はどうも「原形」を好む方でして、(そういえばGMの西武新2000系も、スカートは取りつけず、クモハにもパンタ2台を載せた「原形」で作りました)3000系もこれまで発売された仕様には手を出す気になれず、今回ようやく購入した次第です。

 模型はトップナンバー(第1編成)を製品化しています。このグループは東急車輛製で、当初から8連でデビューし、一貫して池袋線で使用されましたので、大人しく池袋線の各駅停車として走らせることになります。これが、西武所沢工場製のグループであれば、暫定的に4連で登場し、狭山線で使用されていた姿にしたり、後年新宿線に転属した後の姿を再現したりということが考えられますが、こればかりは致し方ありません。

 それにしても8輛固定編成、模型では少々扱い辛いですね。昔よくあったようなホームレイアウトであれば、中間車2輛を抜いた6輛編成(実物も晩年の国分寺線でみられましたが)にするのが適切かと思います。

 

 実物の話をしますと、西武3000系は西武最後の20m級3扉車として昭和58(1983)年にデビューしました。すでに新宿線では4扉の2000系が増備される中、西武では併行して新101系やこの3000系を製造していたことになります。池袋線での整列乗車を乱したくないといった事情があったと聞いたことがありますが、結局は後年、池袋線にも4扉車が入りました。性能的には2000系と同じながら、新101系のような上回りの3000系は、8連×9本、総勢72輛の少数派となってしまいました。

 先述のとおり、当初は池袋線の各駅停車用でしたが、平成4(1992)年から新宿線への転属がはじまり、最終的には4本が新宿線で使用されます。また、平成22(2010)年には、池袋線残留組のうち2本が6連化され、国分寺線に移りました。このとき余剰となった中間車は廃車となっています。なお、平成8(1996)年からは外部塗装の西武イエロー一色化が進みました。

 地味な存在の3000系が一躍注目を浴びたのが「ラッピングトレイン」でした。平成21(2009)年、3011Fが「銀河鉄道999デザイン電車」となり、翌年には3015Fが埼玉西武ライオンズのイメージカラー(濃紺)に塗られた「L-train」となりました。ただ、華やかな活躍も束の間のことで、平成25(2013)年から翌26(2014)年にかけて、3000系は特別塗装車も含めて全車廃車となってしまいました。

 

 西武3000系に関する文献はあったかなと本棚を見ますと、まずは『とれいん』誌の2007年10月号「MODELERS FILE」が3000系を特集しています。晩年の様々な変化が生じる前に取り上げられているのが意外ですが、少数派ゆえ意外に早く姿を消すのではという懸念は、当時の西武電車ファンの間では共有されていましたから、大きな変化がある前に現状を紹介してしまおうということだったのでしょう。今となっては貴重な記録です。

 これまた意外なところで、デアゴスティーニの『鉄道 ザ・ラストラン』というDVD付隔週刊誌でも、2019年4月9日号(第29号)で、西武3000系を取り上げています。地味な通勤車なのですが、やはり例の「999デザイン電車」のおかげで「ラストラン」のシリーズに加えてもらえたようです。(DVDでもこの編成のラストランがフィーチャーされています)

 

 西武3000系、実物は引退してしまいましたが、模型の世界ではこれから大いに活躍してもらいましょう。まずは手始めに方向幕の取付から始めたいところですが、池袋線各駅停車として、さて行先をどこにしましょうか?池袋、小手指、飯能など候補に上っていますが、今年は「ライオンズ」命名70周年だそうですから、いっそのこと「西武球場前」という手もありますね。この件、もうしばらく悩むことにしましょう。