廃止になりまして35年になります、筑肥線姪浜~博多間廃線跡探訪の話題をご紹介しておりますが、前回NO.2340(その1)では、姪浜駅(画像1)から旧西新駅(画像2)間の廃線跡に関しましてご紹介しておりました。
ご覧の皆様の中でも正直「えっ?」と思われた方もいらっしゃったのではないかと思いますが、実は筑肥線は現在の形となりましたのは昭和58年3月からでありまして、それ以前は非電化で博多~姪浜~筑前前原~旧東唐津~山本~伊万里間が1本につながっていた路線でもありました。しかし、昭和58年3月改正におきまして筑肥線が(西唐津・)唐津~姪浜間の電化、さらに福岡市交通局(福岡市営地下鉄)との乗り入れが行われるようになりまして以降、筑肥線の東側は目覚ましい変化を生じる事にもなりました。
その一方、このような変化が生じる事によりまして、博多~姪浜間、虹ノ松原~旧東唐津~山本間は廃止されておりまして、それ以降筑肥線は2つに分断されております(旧東唐津~山本間はNO.2312・NO.2313参照)。このうちの一つの区間であります博多~姪浜間も鉄道は通らなくなりまして、現在廃線跡は駅跡は公園など公共施設に変わっておりますし、線路であった所も9割が道路化されるに至っておりまして、慢性化しました混雑の解消にも貢献するに至っております。
この道路化された区間では、画像の室見川筑肥橋や後述の橋などにかつての橋梁であった所には動輪が欄干の所に見られておりまして、かつて筑肥線があった事を後世に受け継いでおります。やはり、もう35年もなる訳でもありますので、子供さん世代では「ここに鉄道があったの?」と思われる方も多くいらっしゃるでしょうから、こういった所でかつての姿を偲ばしているのではないかと思います。
また、画像2にあります、現在はコンビニエンスストア「ファミリーマート」の所にありました旧西新駅は、現在の地下鉄西新駅があります西新地区とは直線で約1キロ離れました昭代3丁目に駅がかつて存在しておりまして、にもかかわらず西新駅と呼ばれておりました。それでも、現在も「ファミリーマート」がJR九州グループのJR九州リテールによる経営でありますし、他にもJR関係の施設・マンションが旧駅周辺に残されておりまして、そう言った所も旧駅が存在していた証しになっていいのではないかと思います。
(旧西新駅付近に設けられたJR九州のマンション「MJR」)~ストリートビューより
さて、今回その2でご紹介しますのは、これまで撮影しておりました画像より、旧西新駅から先の旧鳥飼駅、そして国道202号線の別府橋・梅光園緑道を経まして、旧小笹駅付近まで皆様にご紹介してまいります。
旧西新駅から先も、画像のように道路化しておりまして、画像を見る限りはこの道が旧筑肥線の線路であったと言う印象は全くありません。やはり、廃止後この区間も急速に宅地化が進んだ事がこの一因ではないかと思いますが、もしも残っていたならばどうなっていたのか気になるところではあります。
この先へ進みますと、城南区役所・城南保健福祉センター(←城南保健所)へとやってまいります。この城南区役所・城南保健福祉センターこそ旧鳥飼駅があった所でありまして、面影は全く見られなくなっております。
この旧鳥飼駅は、1面2線の線路配置ではありましたが、貨物の取り扱いもかつて行っておりましたので、側線もかつて存在していた事もありまして構内も広かったとの事でありました。実際に参考HPによりますと、上の画像の城南保健福祉センター付近にホームがあったようでありまして、道路の部分が線路であったそうであります。
この旧駅の北側に行きますと、かつての面影が残されております。実際に、廃止以前から建てられておりました住宅や商店が現在も見られておりまして、特に以下画像の部分がかつての駅前通りにあたっていた所ではあったようです。
(北側)
特に旧駅の真ん前にあたると思われる画像の古い建物はサインポールはありませんが理容店との事でありまして(撮影時恐らく休みであったようです)、建物の古さからもまさにかつてを知る建物ではないかとも思ってしまいます。
こちらは上の画像9の撮影位置からの正面方向です。かつての駅舎は画像奥にあったと思われますが、現在は南北に道路が繋がっておりまして、この姿からも面影と言うものは見られない事がわかるのではないかと思います。尚、ここから歩いて数分の所には地下鉄七隈線別府駅もありまして、地上で見られました鉄道も、今や地下で見られるに至っております。
さらに進みますと、上に見えているのが別府大橋であります。この別府大橋は国道202号線が通っておりまして、毎年11月に開催されます「福岡国際マラソン」では最も勾配がある場所でもありますので、そう言った事から最大の難所とさえ言われる場所でもありまして、この橋を境に選手が集団から残るか残らないかとさえも言われる所でもあります。そんな別府大橋の真下に、かつては旧筑肥線が存在していたのでありました。
別府大橋をくぐりまして、画像は姪浜方にあたります。この別府大橋にはその下の画像にありますように黒いすすも見られますが、恐らくは現在の排気ガスによるものではないかと思われますが、かつてはここにキハ55系・キハ30系・キハ58系・キハ40系などの気動車が、さらに客車や貨車を率いてDE10形デイーゼル機関車も走っておりましたので、そう言ったすすもこの橋の下にはついていたりもしていたようでもあります。
(橋の下にあるすす)
少々進みまして、画像右側に木が生い茂っている姿を見る事ができます。実はこの木が生い茂るようになったのは廃止後でありまして、かつては現在ビルが建っております左側に林が生い茂っていたそうでありました。したがって、現在の木が生い茂っている所と逆の姿が見られておりまして、そう言った所も時代の変化を感じさせられます。
さらに少々進みますと、「樋井川筑肥橋」へとやってまいります。この橋も、前回や冒頭でもご紹介しました「室見川筑肥橋」と同様、「筑肥」と言う名が入っておりますし、動輪も橋の欄干に入っておりまして、かつての橋梁であった事を偲ばせております。ちなみに、画像の病院は廃止以前から存在しておりまして、かつては病室から列車が見られていたのではないかと思われます。
一方、こちらは樋井川の北側を撮ったものです。この樋井川も、先へと進みますと河口が百道地区およびヒルトン福岡シーホークホテルへと続く事になりますので、そう言った川にかつて鉄橋が存在していた事を存じている方には懐かしく思う所ではないかと思います。尚、この反対側は最後の画像にあたりますが、こちらはマンションが立ち並ぶなど変化が見られております。
樋井川を過ぎますと、かつては学生の街とも言われました六本松の南側をへとやってまいります。以下画像の撮影場所としてふさわしかったと思われますカーブを過ぎますと、その下の画像にもあります六本松4丁目南交差点へとやってまいりますが、旧筑肥線は奥の緑に覆われました茂みがある所へと進んでいく事にもなります。
その上の画像にあります、奥に見えております緑に覆われました茂みがあります所こそ、「梅光園緑道」と呼ばれる場所でありまして、入口や途中の所には画像の案内が見られております。
(別の位置より)
も存在しておりまして、それらを通りまして以下画像の道路へと出てまいりまして「梅光園緑道」を終える事にもなります。やはり、この線路が存在しておりました部分も築堤ではなかったのではないかと思われますが、現在は画像のように削られておりまして、かつての旧筑肥線が通っていたと言う面影は全く見られなくなっております。
この旧小笹駅は、片面ホームの駅でありました。おそらくは上の画像の現在の道路部分が駅舎及びホーム、歩道部分が線路となっていたようであります。この旧駅は築堤上にあったそうですので、だいぶ削って現在の道路と化しているようであります。また、以下画像の看板に関しましては筑肥線が走っていた頃から設置していたようでもありますので、看板の形や看板広告を出してある会社・店舗は変われども、かつての面影は残しているのではないかと思われるようです。
また、旧小笹駅があった所の横には画像のように公園がありますが、かつては駅前広場であったようであります。やはり、旧駅の名残はなくなっておりましても、見ていて木々が生い茂っている所がかつての旧小笹駅を知る部分であるとも言えるのではないでしょうか。
一方、こちらの画像は「筑肥新道」の旧小笹駅から博多駅方でありますが、その下の小笹北交差点から先の画像にもありますように、これより先も「筑肥新道」が続く事になります。ご覧の皆様の中にも、本当にこの姿を見るだけではここに鉄道が走っていたと言う事を信じる方も少ないのではないかと思います。それでも「筑肥新道」の「筑肥」からもわかりますように、かつてここに旧国鉄筑肥線が走っていた事を皆様もご理解いただければとも思います。
(交差点から先の画像)
今回は、旧西新駅から旧小笹駅の区間に関しましてご紹介しましたが、やはりご紹介しておりますように全体の9割が道路化してしまっておりますので、かつての名残というのも正直見られなくなってしまっている事に関しましては正直仕方がない所でもあります。しかも、廃止されましてから35年も経過している訳ですので、この記事をご覧になりまして存じた方もいらっしゃるのではないかとも思いますが、とにかくこれで存じていただければと思う所ではあります。次回その3最終回は、旧筑前高宮駅や旧筑前簑島駅、そして鹿児島線との合流部まで皆様にご紹介しますので、次回もご覧になっていただきたいと思います。
【参考】
「筑肥線の(今)昔写真集」と検索してくださいませ。
「筑肥線の(今)昔写真集」と検索してくださいませ。