東武乗入可能編成の中では最若番であり、8606Fが退役した今、8500系、いや東急の全旅客車の中でも最古参となっていた「伊豆のなつ」こと8614Fが、今日の午前中の運用を最後に恩田へと回送されたとのことです。また、その際には客用扉などに貼られていたステッカーが全て剥がされていたとのこと。よって、事実上の退役と見て差し支えないでしょう。

 

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思えば数奇な運命だった

 

8500系の運命を大きく変えたのが、17年前の東武への乗り入れ開始だったことは、論を待たないはず。

この編成が東武線、特にスカイツリーラインの複々線区間、東武動物公園以遠の田園風景の中を疾走する姿は、多くの愛好家の各位が写真に収めているところですが、実はこの編成は、東武乗入開始当初は「サークルK」、つまり「東武乗入不可」の編成だったのですよ。それが平成18(2006)年の東武乗入運用増加に伴い、8613Fともども追加で東武乗入用の保安機器などを搭載、「サークルK」の軛を断ち切って東武へ乗り入れるようになりました。その前年、伊豆観光のPRのために、本来の赤帯をブルーの濃淡(ハワイアンブルー)の帯に変え、「伊豆のなつ」号として走り始めました。「伊豆のなつ」号は東横線でも走っていましたが(該当編成は8007Fだった)、こちらの「伊豆のなつ」は半蔵門線、さらにその先の東武伊勢崎線・日光線へ直通したため、宣伝効果は絶大だったはずです。

その後、伊豆の観光宣伝を止めて車内広告も他の編成と同じになってしまいましたが、それでもハワイアンブルーの帯は剥がされることなく、退役までこの姿を通してきました。

 

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側面にもブルーの濃淡の帯が通っていた

 

ただし内装に関していえば、他の編成が受けたリニューアルは受けておらず、座席モケットが貼り替えられた以外は、オリジナルの形態を色濃く残しておりました。オリジナルの姿を保ったといえば聞こえはいいですが、やはり愛好家以外の一般利用者目線でみると、他の車両に比べて古臭く見えてしまったのは事実です。

 

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8514の車内 リニューアルはなされなかった

 

8614Fの退役に伴い、これで8500系の残存編成は14本、残存最若番編成は8615Fになりました。

 

【現時点での残存編成】

8615~17F、8619F、8622F、8627~29F

8630F、8632F、8634~37F
 

特徴ある「ネタ編成」も、元TOQ-BOXの8634F、Bunkamura号の8637Fのみになり、いよいよカウントダウンが始まった感があります。

とにかく、8614Fの45年間の活躍に献杯!

 

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