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△2020.06.24 西谷(以下同じ)

 2019年11月30日,「神奈川東部方面線」改め「相鉄・JR直通線」が開業した.これまで横浜を起点に二手へと別れていくだけだった"小さな世界"は,武蔵小杉を越え渋谷・新宿,果ては埼玉まで1本の列車が向かう巨大な路線網の一部へと変貌を遂げた.今回新線として建設されたのは西谷から東海道貨物線の横浜羽沢までに留まり,広がった路線ネットワークの大部分は東海道貨物線と山手貨物線の旅客運行によるものである.既存路線を最大限利用する近年のトレンドに則り,横浜をターミナルとする関東唯一の大手私鉄こと相鉄は,都内への乗り入れを達成した.

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 相鉄はかれこれ直近5世代の車両を旅客鉄道線の車両に準拠した形状で製造しており,とりわけ10000系・11000系についてはJRのE231系・233系の車両構造をそのまま踏襲して就役させている.しかしこれらの云わば"兄弟車"たちがJR線への直通に使用されることはなく,相鉄側は新たに12000系を用意して直通列車の任に充てている.右は快速横浜行き10000系,左は特急新宿行き12000系だが,裾絞り拡幅車体・前面非貫通構造という点だけでも"JR車っぽさ"を感じ取ることができるのではないだろうか.

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 こちらは各停横浜行きの7000系と特急海老名行きの9000系.左の古風な車両はさておき,右の9000系は裾絞り20m4ドア車と言われればJR車っぽさを感じなくもない.ただ足回りは華奢なボルスタレス台車ではなく,ボルスタアンカーがあり特徴的なディスクブレーキが目をひく.冷房機は連続的なデザインとなっており,前面の連結器にはカバーがかけられている.まだまだ相模鉄道らしいアイデンティティを保持した車両であった.

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 横浜寄りに移動して直通線を抜け相鉄へやってくるJR車を撮影.西谷駅周辺は高密度に宅地開発されているため新線を建設するとなれば地下鉄線となることは間違いなかったが,本当に西谷の手前ぎりぎりで地上へ顔を出すかたちとなった.

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 JRから相鉄へ向かう直通列車は日中時間帯片道2本が運行されており,1本は海老名行き特急,1本は海老名行き各停というラインナップ.特急は横浜方面からの快速と,各停は横浜方面からの特急とそれぞれこの西谷で連絡することにより,直通線対相鉄沿線の速達性を担保している.上は直通線からの特急が横浜からの快速と連絡しているところ,下は直通線の各停が横浜からの特急と連絡し特急が先発しようとするところである.

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 相鉄からJRに向かう直通列車も日中時間帯2本の設定で,同様に1本は海老名発の特急,1本は海老名発の各停という割り付けになる.特急は横浜行き快速に,各停は横浜行き特急にそれぞれ連絡し,下り同様沿線から横浜へ向かう足と都心への乗り入れ列車を両立している.上は直通の特急と横浜行きの快速が接続を取った後特急が直通線に進出するところ,下は直通の各停と横浜行きの特急が接続を取っているところ.

 今回は相鉄・JR直通線の運用形態を車両に注目して取り上げてみたが,次回は施設面に注目して取り上げていきたい.

【追記】2022.07.31:最新記事の公開に際し部分改訂.