君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

初夏の三陸ウニ丼紀行 (3)南三陸町の一日と至福のメガうに丼

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三陸さんさん商店街のすし屋「弁慶鮨」のメガうに丼

6月18日に都道府県を跨ぐ移動の自粛要請が終了し、(もちろん感染対策には注意を払いつつも)気兼ねなく旅行ができる季節がやってきました。

夏といえば三陸名産のウニ。沿岸各地では競ってウニの口開けをアピールして販売を始めています。

そこで、さっそくウニ丼目指して三陸へ向かいました。

初日は仙台から高速バスで志津川へ向かい、夕霧に包まれた南三陸さんさん商店街でウニ丼とタコの刺身を堪能しました。

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そして2日目は朝、気仙沼線(鉄道)の終着駅であり、気仙沼線BRTと接続する柳津駅付近で過ごした後、志津川駅付近にある南三陸さんさん商店街へ向かいました。

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初夏の南三陸さんさん商店街

三陸さんさん商店街は、国道45号沿い、高速バスや町民バスも発着する志津川駅前に設けられた復興商店街。三陸自動車道志津川ICからも数分で着き、利便性が高いところにあります。

www.sansan-minamisanriku.com

以前に、秋から冬にかけて訪問した紹介記事を書きましたので、概要についてはこちらもご参照ください。

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志津川駅から商店街に到着したのは10時過ぎ。明るい夏空の下に広がる開放的な空間。

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あわてて撮ったのでブレブレで申し訳ないですが、海に向かってうみねこの群れが飛んでいきました。

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商店街のシンボルであるモアイ像。南三陸町チリ地震津波をきっかけにチリとの縁ができ、以前に贈られていたモアイ像が東日本大震災津波で流されたことから再度寄贈されたものです。目玉がはめ込まれた像は世界で2体しかないとか。

奥に見える人工の丘は、南三陸町震災復興祈念公園の祈りの丘。公園は工事が続いていて、斜面はまだ寂しい感じですが、もう少しすれば緑に覆われるのだと思います。

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タコ、ホヤ、ウニ、モアイ像など、南三陸町の名物が描かれた看板。

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フードコート「さんさんコート」に置かれた最愛(モアイ)像とオクトパス君の像。感染対策としてマスクをしていますが、3体が三密状態なので分散して配置するともっといいと思います。

朝が早かったうえに、柳津駅でいろいろ歩き回ったり雨にぬれたりして大変だったので、とりあえず山内鮮魚店のホタテバターで小腹を満たしました。

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程よく焼かれたホタテの旨味と、そこに絡んだバターの香ばしさが絶品でした。

南三陸町には、震災後に生まれたブランド丼「南三陸キラキラ丼」があり、キラキラ丼を提供する店は11:00オープンです。これを目当てに多くの人が訪れていて、各店に徐々に行列ができていきます。

今回はその中でも特に目当てのメニューがあった弁慶鮨さんの列に並びました。

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200gのウニに埋め尽くされた「メガうに丼

11:00になり、順に店内に誘導されます。

以前は店内にひしめくように席が並べられていましたが、やはりコロナウイルスの感染対策として半分ほどに席を減らしているようでした。

今回注文したのは、事前にtwitterで見ていて一度食べてみたかった「メガうに丼」。

キラキラうに丼に盛られるウニの倍量が盛られた丼だそうです。

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横長で、その分少し浅めの丼に盛られた一食分の酢飯。そしてそれを覆い尽くすかのように盛られた圧倒的なウニ。壮観です。

せっかくの新鮮なウニですので、素材の味を堪能すべく、醤油を使わず、濃厚な甘さをそのまま味わって食べ進んでいきます。

中盤あたりで、時々味変え程度に軽く醤油を付けたりしました。

ちなみに、お盆には完食認定証が添えられていました。

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値段はなんと税込み5,600円。需要が落ち込んだ観光を支援するため、というのがなければ勇気がいる値段ですが、至福のウニ丼として貴重な経験になりました。

やませの季節、海を渡る霧

店を出て海を見ると、目を疑う光景が眼前に広がっていました。

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左から右へ海を渡る霧。最初は煙だと思い、どこかで火事でも起きてるのかと風上側を見てみましたが、そういうわけではなさそうです。

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海霧は、陸から山の上に昇っていきます。この日の朝、気仙沼で見ていた風景とよく似ていました。

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この日の朝の、霧が陸側に流れていく気仙沼の風景

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海岸には観光ホテル「ホテル観洋」があり、霧に覆い隠されるように見えていました。

1分少しですが動画も撮ってみました。


宮城県南三陸町 やませで海霧が次々と陸へ

この日は日射しは暑いのに風は冷たく、肌寒いぐらいでした。

東北で夏の時期に発生する冷たい風(やませ)が吹き、霧になる現象が発生していたようです。

南三陸町震災復興祈念公園へ

さんさん商店街の川の対岸にある震災復興祈念公園へ向かうことにしました。

将来的には、商店街と公園を直結する橋(中橋)が再建されるのですが、まだ工事中で、国道45号側の入口もまだ通れないため、いったん上流側に迂回しないといけません*1

途中、川の堤防のところにうみねこが集結していました。時々海の方に飛んで行ったり、近くの田んぼの方に飛んで行ったりしていたようです。

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祈りの丘の頂上。町内で津波の犠牲になった831名の名簿を納めた名簿安置の碑には、次の文が刻まれています。

いま碧き海に祈る
愛するあなた
安らかなれと

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正面に志津川湾を望み、左には多数の犠牲者が出た防災対策庁舎跡、右側には震災伝承施設として残されている結婚式場「高野会館」が見えます。

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商店街と公園を結ぶ、工事中の橋。今年秋ごろの完成予定とのことです。

三陸さんさん商店街や、新国立競技場、高輪ゲートウェイ駅などのデザインで知られる隈研吾氏のデザインで、一部に南三陸杉を用いたものになるようです。

橋の左奥の工事は、震災伝承施設を兼ねた道の駅の建設予定場所。ここに交通ターミナルが整備され、志津川駅が移転することになるようです。陸前高田市高田松原津波復興祈念公園(道の駅高田松原・いわてTSUNAMIメモリアル)と、大船渡線BRTの奇跡の一本松駅のような関係になるのでしょう。

やませによる海霧はいつしか志津川湾を覆う低層雲となっていました。

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遺構といえば、祈りの丘の眼下には、気仙沼線志津川駅の遺構があります。

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鉄道事業が今年4月で廃止となり、将来的に撤去される方向なのかな、と想像しているのですが、今のところ手は付いていないようです。

できれば鉄道があった証として残していただければ、と思うのですが、どうなるのでしょうか。

菓子工房が贈る渾身のキラキラ海鮮丼。その味は……

商店街に戻り、購入したのが「オーイング菓子工房Ryo」のキラキラ丼、そして「月と昴」のアイスコーヒー。

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デザートサイズの器に盛られたマグロ、サーモン、ウニの海鮮丼は、実はラズベリーとニンジンのゼリー、マンゴーソースで作られたスイーツなのです。

ワサビは抹茶クリーム、下のご飯部分はおかゆとヨーグルトのムース。さすがに米粒までは再現されていませんが、ネタで覆い隠して目立たなくしています。バランの飾りはさすがにプラスチックのものです。

要はムースをベースにしたスイーツなのですが、にんじんやおかゆといった見慣れない材料があるにもかかわらず、スイーツとして無理がなく、とてもおいしくいただけます。

アイスコーヒーは、注文後に豆から挽いて作るので、ガムシロップやミルクを加えてもなお際立つ香ばしさが楽しめます。これも予想外に美味しいコーヒーでした。

メガうに丼とキラキラ丼スイーツ、今回の目的だったメニューを楽しむことができました。

南三陸町内を走る気仙沼線BRT

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すっかり霧に包まれた志津川湾の横を走る柳津行き。

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さんさん商店街のモアイ像の背後を走る気仙沼行き。

この構図は晴れていると逆光が強く、モアイ像がとても暗くなるので苦労するのですが、曇っていたので破綻せずに済みました。

さんさん商店街を出た後は、一旦柳津駅へ行った後(前回記事の最後を参照)、これまで降りたことがなかった志津川中央団地駅へ。震災後に造成された高台の団地地区に新設された駅です。

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左が気仙沼方面、右が柳津方面。向かい合って配置されていますが、付近に道路を横断できる場所がないので、両側に待合室があるのが特徴です。

水平を保つ待合室と、道路の勾配に沿って傾いている上屋の違いもよくわかります。

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清水浜志津川中央団地間の専用道を進む志津川行き。

手前の家には津波の浸水高の表示があります。線路ぐらいの高さまで津波が迫っていたことがわかります。

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志津川中央団地を出て、次の南三陸町役場・病院前へ向かうところ。先ほどと同じ志津川行きの便です。

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志津川中央団地駅に到着する気仙沼行き。背後に神社が見えるのに初めて気付きました。

ただ、鳥居の手前に川があり、橋がかかっていないので、まっすぐ進めば神社に行けるわけではないようです。

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南気仙沼に着いたら19時過ぎ。暮れなずむ町を照らすヘッドライトが印象的でした。

ウニ丼はこの日で終わりですが、初夏の三陸の話は次の日へ続きます。

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*1:さんさん商店街から見ると迂回になりますが、三陸自動車道志津川ICから来る視点でいえば一番近いところから入れる、ということになります。