旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

この1枚から 似てるようで同じでない

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 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 毎日雨が降っていて肌寒いかと思えば、晴れて気温30℃近くという真夏並みの暑さという日が何日かあり、これだけ天候が不安定で気温が高いと、どうしても体調を崩しがちです。

 そこへ新型コロナのために、ほぼ「巣ごもり」生活を余儀なくされていたので、どうしても体力は自粛以前と比べれば落ちてしまっています。こういう時期だからこそ、無理はせずに適度な「休み」を入れておきたいところです。

 

 小田急線といえば、多くの人が「ロマンスカー」と思われるでしょう。確かに、ロマンスカー小田急の看板車両ですが、ほかにも各停から急行までこなす車両たちが走っていました。前面上部には大きな四角いケースに収められた2個の丸い前灯、そして貫通扉にはかつての行先サボを思い起こさせる、縦型の大きな行先表示幕。ほぼ同じ大きさの窓が3つ並んで、運転席側と車掌台側の窓上には尾灯と通過標識灯を1個にまとめた丸いライトという、いわゆる「小田急顔」と呼ばれる独特のデザインの顔をもつ車両が多くいました。

 しかし、中には「異端」というか「変わり者」というのもあり、9000系がそれにあてはまっていました。

 9000系は「小田急顔」を脱却した、当時としては斬新なデザインでした。前灯は正面窓下に移り、尾灯と並べて設置されました。前面窓もまた大きさも形も変えられ、上部まで伸びた窓ガラスは、近代的な印象を与えるのに十分でした。また、同じく小田急の通勤車伝統ともいえた貫通扉に設置された行先表示幕は、貫通扉の上に移されたことで、より視認性を向上させました。

 これらの大きなデザイン変更は、9000系営団千代田線直通用の車両として設計されたことが大きく影響していたのでしょう。それもそのはずで、乗り入れ相手の営団は、斬新な前面デザインをもつアルミ車の6000系を用意していました。まあ、同じ千代田線に乗り入れる国鉄は相変わらず103系だったので気にしないにしても、さすがに小田急としては比較的デザインも古く、ありふれた車両を乗り入れに使うことは避けたかったのかもしれません。

 ましてや営団6000系の正面デザインは、貫通路を「非常用」として割り切り、左側にオフセットした斬新なもので、しかもその扉には「窓」がないなど、まるで宇宙船をも想像させるようなものでした。

 

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 こうして、小田急通勤車の「常識」を覆した9000系は、後に同じく千代田線直通用に開発されたオールステンレス車の1000系にも通じることになります。

 正面デザインの基本的な構成はこうしてみると近しいものがあり、前灯と尾灯も窓下に配置され、行先表示幕もまた貫通扉の上に設けられています。異なるところといえば、運転席と助士席のまどが9000系は後方に凹んでいるのに対し、1000系は逆にふくらんでいました。

 この1000系のデザインは、地上線用の2000系にも受け継がれていきます。新たな小田急の「顔」になるかと思えました。しかし、2000系に続く3000系では、残念ながらこのデザインは採用されず、直線的で大型窓ガラス1枚で構成された非貫通のものとなってしまいました。

 2020年現在でも2000系は活躍を続けていますが、9000系は残念ながらこの後すべて廃車となってしましたが、小田急の通勤車に新しい風を吹き込んだという点においても、9000系の役割は大きかったといえるかもしれません。

 

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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#小田急 #通勤形電車 #私鉄 #小田急9000系