1980年12月に登場し、晩年はクラシックなロマンスカーとして人気を博した小田急のLSE。
先代のロマンスカーであるNSEの登場は1963年1月で、約18年ぶりの新型特急車両でした。

LSEには1996年からリニューアルが行われていましたが、老朽化や陳腐化が進む中、2018年までの長きに渡って第一線で走り続けました。
活躍した期間は約38年となっており、近年のロマンスカーとしては長いものでした。

1980年に登場したLSEが1996年にリニューアルされたということは、登場から約16年でリニューアルが行われたということになります。
全編成のリニューアルが終了したのは1998年ですが、そこから廃車までは約20年であり、リニューアルから廃車までの期間が長いことが分かります。
このことから分かるのは、本来はもう少し早いタイミングでの廃車が想定されていたということでしょう。

LSEが長く活躍することになったのは、当然理由があります。
その後に登場したHiSEとRSEはハイデッカーを採用し、側面からの眺望を良くしました。
しかし、世の流れがバリアフリー化へと向かう中、HiSEやRSEのハイデッカーが問題となってしまい、先輩であるLSEよりも早く廃車となってしまったのです。

耐用年数よりかなり短くこれらの2形式が廃車となってしまったことで、結果的にLSEが長生きをすることになりました。
長生きをすることになったというより、長生きをさせるしかなかったともいえます。

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HiSEやRSEが短命に終わったことが、LSEの活躍期間を長くしたことは間違いありませんが、それはあくまでも結果論です。
LSEが長生きをした理由の本質は、性能や機能性のバランスがとても優れていたことにあると考えられます。

晩年はクラシックなロマンスカーとして希少価値がありましたが、HiSEやRSEが現役の頃は、どちらかというと目立たない車両でした。
しかし、とがった部分がないことが使い勝手の良さへと繋がり、後輩よりも長生きをするという結果に繋がりました。

現役のロマンスカーでは、EXEとVSEが同様のパターンになりつつあります。
VSEは人気があるものの、とがった部分が多い車両であり、ホームドアの問題が指摘され始めています。
反面、昔は不人気だったEXEが最近見直されてきており、長く使われそうな雰囲気となっています。

歴史は繰り返すものですから、また似たようなことが起きるのかもしれませんね。
この法則を当てはめると、MSEとGSEにも似たような関係性があるのかもしれません。