ドイツ連邦鉄道 DB 蒸気機関車 BR 94.5-17 713号機 (TRIX 23160)

 今回はドイツ連邦鉄道 DBにおいて長年使用された、貨物用E軸タンク機 BR 94.5-17を紹介します。

 BR 94.5-17は、K. P. St. E. (プロイセン王国邦有鉄道)が製造した、5動軸貨物用加熱式タンク式蒸気機関車 T 16.1型です。

BR 94.5-17主要諸元

 型式:E h2t、バッファ間距離:12.66m、運転重量 84.9t、軸重 17.0t、動輪径 1,350mm、過熱式二気筒、ボイラー圧:12bar、出力:787kW、最高速度 40km/h (後に60km/h)

 同じ軸配置のT 16型 (のちのBR 94.2-4、1905-1913年に355輌製造) の強化・改良型として製造されました。

 実際には台枠が延長・強化されるとともにブレーキも強化されたようです。

 

  T 16.1は、K. P. St. E. 及びドイツ国鉄DRGにより、1913年から24年までの11年間に1,236輌もの数が量産されました。

 第一次世界大戦の戦時賠償で119輌が欧州各国に渡りましたが、DRGへは1,116輌が継承されました。(BR 94 502-1377、1501-1740)

 また、第二次世界大戦中、ドイツに戻ってきた機種等が、94 1378-80、94 1381-1416、94 1801-1811に割り振られました。

 第二次世界大戦後、DBに687輌、DRに約250輌、ÖBBに14輌、PKPに127輌等が継承されました。

 使いやすかったのか、非常に長命であり、DRでは1971年まで、DBでは1974年までの50年以上に渡って使用されました。

 現在でも保存されている車両が何両かあります。

 T 16.1は、平地で1,800 tの列車を40km/hで、また10パーミルの勾配では、600 tの列車を25km/hで、そして25パーミルの勾配では280tの列車を20km/hで牽くことが出来ました。

 T 16.1は重入換目的だけでなく、勾配線区でも使用されましたが、このような線区で使用される機種には、リッゲンバッハ式カウンタープレッシャーブレーキが装備されていました。

 T 16.1は、軸重が高いためプロイセンのT 20 (DRG BR 95) が使用できない勾配線区でも使用できたので、構造が複雑で運転速度の遅いラックレール線区を粘着式に代替することが出来ました。

 以上、Wikipedia 独語版 Preußische T 16.1 及び Dampflok-Report  Band No.6 Eisenbahn Journal Archiv II/98より、引用、参照いたしました。 

 

 それで、Modellbau-Wikiによりますと、BR 94.5-17のHOの模型は長年、1978年製造初年のFleischmannが唯一の量産製品でした。

 Fleischmann製 BR 94 1810 (品番4093)

 現在でも小改良を経て生産されているこの模型は、感じはなかなか良く、走りもスムーズですが、時代的に一体化されたパイピングや、前後進で切り替わらないライト、キャブ内一杯のラウンドモーターによる騒音など、2000年代の製品に比べるとやや劣る点があるのも事実です。

 そんな中、2012年に完全新製品として発売されたのが、こちらの製品です。

 DB エポックIIIの713号機です。

 本車については、この仕様が発売された後に、DRG、外国仕様など様々な仕様が追加されております。

 私的にはこの仕様が一番欲しかったので嬉しいです。

 この製品はMärklinとの同時発売です。

 さすがに2000年代製品だけあって、1970年代のFLMと比べると、別体のパイピングなどよく出来ております。

 メルクリンの蒸機は基本がダイカストなので質感が良いですが、少し艶のある塗装もまた好きですね。

 とは言っても、こうしてみるとFleischmann製品も決して見劣りしないのはさすがですね。

 煙室の方が径が大きいところなど、同時期のP 8に似ていますね。

 各部のディテールです。

 金属製の動輪、黒染めのロッド周り、配管類、とても良く出来ているように思います。

 レタリングも美しいです。

 反面、ステップはややごついかも。

 またプラ部分とダイカスト部分の赤は感じが違ってしまっていますね。

 反対側面です。

 給水ポンプ?にバリが出てしまっているのは、ご愛嬌と言ったところでしょうか?

 この頃のK. P. St. E. 機は、ちょうど第一次世界大戦と重なったためか、どれも生産量が多いのですが、T 16.1だけでなく、P 8(BR 38.10-40)、G 8.1(BR 55. 25-56)、T 18(BR 78.0-5)はそれぞれ1970年代まで長年に渡り、運用されました。

 流石に老朽化があり、これらに関してDRG並びに戦後、DBが代替機を製造しましたが、むしろ、旧K. P. St. E. 機の方が寿命が長かったのは、日本の8620や9600と同じで面白い現象だと思います。

 上記のようにBR 94は大変長命でした。

 当方の所有するVTRにも、北ドイツのBR 043の4,000t鉱石列車と一緒に、コンピューターナンバー化され、入換に活躍する姿が写っていました。

 こちらは1960年頃の姿のようです。

 キャブ形状。

 キャブ天面の形は本機のように平で換気窓がついているものや、丸い形状のものがあります。

 バックビュー。

 別体のハンドレールやつかみ棒は、一体成型よりもずっと優れますね。

 やはりはしごはごついかも。

 実は本機ですが、2013年にMärklinのフルサウンド機 (37160) を個人輸入しました。

 しかし、ボイラー上部の配管が数箇所破断していたので、販売店に問い合わせたところ、修理するので返送して欲しいとの返事が来たのです。

 迷いましたが、欲しかった機種なので返送することにしました。

 これ相当大変でした。

 それで、ようやくドイツへ返送したのですが……、なんと返金処理になってしまったのです。

 修理対応と言っていたのに……、ひどい話ですよ。

 おまけに為替が変わって損をしてしまいましたし。

 やはり海外には日本の常識は全く通じないことを痛感するとともに、海外通販から遠ざかる一因にもなりました。

 その後、こちらをEGSで偶然入手しました。

 DC2線式 アナログ仕様ですが、サウンド仕様と同じ部品が使われておりますので、スピーカーの設置も容易で、比較的簡単にデジタルサウンド改造できると思いますが、サウンドデコーダーは高額ですし、何よりもデジタルは壊れることがわかったので、やるつもりはありません。  

 実物は晩年、入換用に使われていたようですが、模型的には貨物を牽かせて活躍させたいものです。

2014/3/29 入線

2014/7/12 記 

2020/3/6 写真全更新、文章全面書き換えの上、再録

2020/6/16 Blogger用に再構成

 

 

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