新型コロナウイルス感染症の拡大による乗客減少に伴い、JR西日本は山陽新幹線において「のぞみ」「みずほ」「さくら」の減便を2020年5月11日から実施していました。
過去例を見ないほどの大規模な減便ではありますが、それでも利用客の利便性をなるべく損なわないような工夫がなされていました。
その一つが停車駅の調整。
山陽新幹線において「のぞみ」「みずほ」「さくら」は選択停車を行っており、列車によって停車駅が異なります。
単純に減便してしまうと、停車駅によっては列車の停車が長時間無いと言う状態が起こりかねません。
そのため、「さくら」において臨時列車が設定されました。
一例を紹介します。
減便ダイヤでは、博多駅14時~15時台のうち
14:54 のぞみ40号(停車駅:小倉・新山口・広島・岡山・新神戸)
15:02 さくら558号 (停車駅:小倉・新山口・広島・福山・岡山・新神戸)
15:15 のぞみ42号(停車駅:小倉・徳山・広島・岡山・新神戸)
の3本が運休することになっています。
これらの列車の停車駅のうち新山口・徳山・福山は選択停車であり、これらの3本のうちどれを運休してもいずれかの駅に影響が発生します。
そこで、これらの代わりに
14:56 さくら694号 (停車駅:小倉・新山口・徳山・広島・福山・岡山・新神戸)
を運行することによりすべての停車駅で乗車機会を設けることになりました。
列車を削減しつつ、乗車機会をなるべく損なわない…実に工夫されたダイヤです。
このようにして登場したのが臨時さくら680・690番台の列車です。
通常のさくら号より号数が大きい番号になっていて、
その他の特徴としては
・停車駅が多い
・博多で長時間停車を行う
が挙げられます。
列車にもよりますが博多で15~20分の停車が発生するダイヤとなっており、これは九州新幹線内の運行間隔を調整するためだそう。
通常とは違う臨時さくら…
6月12日でその運行が終了し、通常ダイヤに復帰することが発表されたため、その前に見に行ってきました。
見に行くのは先ほど例に上げた「さくら694号」です。
14:30過ぎ、博多駅14番ホームにやってきました。
さくら694号の後にさくら696号…通常ならありえない号数の列車が並んでいます。
14:41、鹿児島中央よりさくら694号が入線してきました。
側面の行先表示。
すでに緊急事態宣言は解除されているためか、博多でどっと乗客が降りてきました。
少しずつ需要が回復しているようです。
この列車は博多で15分も停車するため向かい側のホームに移動して撮ってみました。
のぞみ40号がお隣13番線に入線してきました。
この列車は減便ダイヤ中は運休対象でしたが、6月1日より一足お先に運行を再開しています。
さくら694号より後から入線し、先に発車するダイヤです。
14:56、さくら694号は新大阪へ向け発車していきました。
さくら694号の博多入線~発車までの様子はYoutubeにも上げています。よかったらご覧ください。
【おまけ】
さくら号減便により、一部列車は博多~新大阪間の「ひかり」として運行されています。
もともと山陽区間のひかりはさくらに転換されたために数が少なく、減便ダイヤ中はなんと通常時の117%の本数となっていました。
そのうちひかり555号の様子です。
それでは。
★列車データ
9694A さくら694号 新大阪行き 鹿児島中央(13:06)→博多(14:41/14:56)⑭→新大阪(17:38)
N700系 S7編成(JR西日本編成)
※5月11日~6月12日運転
9555A ひかり555号 博多行き 新大阪(12:06)→博多(14:45)⑯
N700系 R1編成(JR九州編成)
※5月11日~6月12日運転
※2020年6月7日撮影