UP GTEL 26 動態復活作戦 その2


 適合する径のシリコーンチューブがなかったため、26Bの復旧が途中で終わりましたので、続いて26の修理に移ります。

 26B同様、車体を外します。

 こちらは8本のネジで止められておりました。

 ネジを抜いてもシャーシーがなかなか外れません。

 そうこうしているうちに取れました。

 26BのようにモーターがL字材に引っかかっていたわけではなく、同様に劣化したゴムジョイントの溶け出したものが、シャーシーとボディの隙間に入り、接着のような形になっていたようです。


 それで分解してみますと、こんな感じでした。



 26Bと全く同じ動力装置ですが、スパーギアの方向は一般的なものです。

 また経年劣化で破断していた26Bとは異なり、動力伝達軸はつながっていました。

 しかし……、モーターの配線が片側なくなっています。

 これでは逆立ちしたって走りません。

 あと、こちらにもウエイトはありませんでした。

 

 更に良く見ると、ボディの裏側に電球を取り付けようとした跡がありました。

 切れた配線もありませんし、外した感じです。

 Bと異なり、動力伝達軸が黒いので、不思議に思いよく見たところ、ゴムチューブにビニールテープが巻いてありました。

 あと、ギア部のゴム系接着剤の付着も全く同じでした。

 これらのことからすると、この車両は分解されたことがありますね。

 その際、点灯可能に改造しようとしたのではないでしょうか?

 もしかしたらサガミの缶モーターも後からのものでしょうか?

 

 それはともかく、復旧は26Bと同様に行いました。

 まずギアボックスを取り外します。

 外してみると、こちらもギアの欠損はありませんでした。

 これには助かりました。

 ただし、スパーギアが空回りしたのか、ゴム系接着剤がたくさん付着していました。

 Bよりもひどい状態でした。

 ともかくこの作業、相手が樹脂ギアだけに手荒な真似はできません。

 丹念に古歯ブラシとKATOのプラドライバーで、ゴム屑を浮かせて、ピンセットで引き剥がすしかありません。

 この除去は本当に大変で、時間が多くかかりました。

 


 ギアボックスは26Bと全く同じでした。

 したがって、下蓋を外して、車輪の踏面と側面や軸の清掃、ギア部や軸受部への給脂を行います。

 ここで問題発生。

 ギアボックスの蓋をネジ止めしようとした際にネジが空回りしてしまいました。

 ギアボックスはダイカストですので、ネジ穴をなめてしまったのかと思い、確認したところ、ネジが短すぎてしっかりと噛んでいなかったことがわかりました。

 そこで手持ちの小ねじと交換しました。

 このサイズも入手しにくいので困ります。

 

 次にモーターを外し、劣化したジョイントを完全に除去します。

 やはりゴムは硬くなっているところと、軟化しているところがありました。

 黒いビニールテープも外して捨ててしまいます。

 


 中間軸は大分錆びていましたが、これも同様にきれいにします。

 

 モーターの配線は片側なくなってしまっているので、手持ちのビニール線をつなぎました。

 線が残っていた側もラグ板のところで取れてしまっていたので、はんだ付けしました。

 なおライトの配線ですが、上下の接続が面倒なので、今後の課題としました。

 

 26Bをやっていますので、作業の勝手はわかりますが、ともかくゴム系接着剤の除去にはすごく時間がかかりました。

 それでも、一通りの清掃、整備作業が終了しましたので組み上げます。

 モーターを取り付け、中間軸にIMONのシリコーンチューブ0.9-2.0mmを接続し、モーターとつなぎます。

 Bとは違い、前後でモーター軸径は同じですので、何の問題もないはず……、しかし……、ここでまたしてもトラブル発生。

 シリコーンチューブを動力台車の伝達軸と接続するのですが、片側は問題なく入るのですが、反対側は中間軸が長すぎて、伝達軸と干渉してしまうのです。

 外す際に前後逆にしたのかと思い、中間軸を入れ換えてみたのですが、今度は反対側が当たってしまいます。

 これはいくらなんでもおかしいと思い、中間軸の長さを測ってみました。

 すると……、何と言うことでしょう!

 長さが5mm以上違うじゃないですか!



 そんな馬鹿なことと思い、モーター軸端から台車中心までの距離を図ってみましたが、こちらは前後で変わりません。

 

 これでわかりました。

 つまり、中間軸を使用するゴムジョイントによる伝達は、前のオーナーが手掛けた可能性が高いということです。

 そうでなくては始めから入らない中間軸を使うはずもありませんので。

 実際、入手した状態では26の台車はほとんど首を振りませんでした。

 いずれにしても、遊びが全くない状態では、台車が首を振らないため、中間軸を切断することにしました。

 頭に来ているし、疲れているし、焦っていますが、ニッパーとかで切れる相手ではありません。

 模型の世界の永遠不滅の金言……、「急いては事を仕損じる」、「急がば回れ」です。

 焦って力技を使うと工具を壊しますので、ここは中間軸をバイスでくわえ、目立てヤスリを使って時間をかけ、切断しました。

 切断面を仕上げてから取り付けると、今度は問題ありません。

 

 そこで試走させることにしました。

 するとスムーズに動きました。

 でも方向が逆です。

 モーターの配線は片側が短くなっているので、反対には届かないので、線の入れ換えはできません。

 ならばと思い、車輪の絶縁側を逆方向にしました。

 配線の方向は元通りですから、私が台車を組む際に車輪の絶縁側を逆向きに取り付けてしまったようです。

 


 車輪の絶縁を逆にすると、当然のことながら今度は正しい方向に動きました。

 ギア音も低いです。

 台車集電なので集電輪は全12輪の半分ですが、最初、踏面がホコリで汚れて集電不良に陥ったのを除き、思いの外集電は良好でした。

 サガミの缶モーターの威力でしょうか、比較的静かにかつ低電圧で動きました。

 

 この状態で快調に動きますので、ボディを取り付けて26の修理はひとまず終わりました。

 早速走らせましたが、ほんと大昔のブラスとは思えないくらいスムーズです。

 パックをわずかに振れば動き出します。

 

 せっかくなので欠損していた前部連結器を取り付けようと思いましたが、手持ちはシャンクが短すぎて、合うのがありませんでした。

 今後の課題ですね。

 

 

 それから先、試運転を行いました。

 結構長い時間、単機で走らせましたが、問題は全くありませんでした。

 26だけで走ることは、絶対にないですし、これだけだとどこか寸詰まりな感じですが、それでも大迫力です。

 

 というわけでGTEL 26を動態に復すことが出来ました。

 こちらもこびりついたゴム系接着剤屑の除去に大変な時間を費やした上、予想外の事態が起きて、結果的に相当な時間を要してしまいましたが、やはり走ってこその模型鉄道。

 本当に良かったです。

 将来的には、ライトとナンバーボードのLEDによる点灯化、車体の汚れ落とし、車端部の変形の修正も行いたいですね。

 

 復活戦 その3に続く。


2020/6/5 記



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