首都高のクルマが線路を走る 「鉄道版インフラドクター」6月中旬から本格導入



東急・伊豆急行・首都高速道路・首都高技術の4社は6月4日、4社が共同開発した鉄道施設の検査システム「鉄道版インフラドクター」を、6月中旬から伊豆急行線の検査に導入すると発表した。鉄道版インフラドクターが実用化されるのは、これが初めて。

検測用自動車を台車に搭載して線路上を走る「鉄道インフラドクター」。【画像:首都高速道路】

首都高グループが開発したインフラドクターは、レーザー計測装置や全方位カメラなどを搭載した検測用自動車を使い、道路を走りながらトンネルなどの構造物をチェックするシステム。3次元点群データや高解像度カメラの画像の解析により、トンネル壁面の浮きや剥離などの要注意箇所を効率的に抽出することができ、打音調査が必要な箇所の絞り込みができる。

鉄道版インフラドクターでは、この検測用自動車を鉄道用の台車に搭載し、機関車がけん引して線路上を走りながら、鉄道施設のチェックを行う。

4社は2018年以降、伊豆急行が運営する伊東(静岡県伊東市)~伊豆急行下田(下田市)間45.7kmの伊豆急行線や、東急電鉄が運営する田園都市線で実証実験を実施。このほど実用化のめどがたったことから、伊豆急行線の全トンネル31カ所・約17kmのトンネル検査に鉄道版インフラドクターを導入することにした。

4社によると、従来の人の目による検査の日数は15日程度。これに対して鉄道版インフラドクターの検査日数は3日で、従来より約8割減少する。専用機器で施設をスキャンしながら線路上を走るため、点検作業の効率化や人手不足の解消などのメリットがあるという。

4社は今後も、鉄道に特化した建築限界の自動抽出などの技術開発を進め、ほかの鉄道事業者への展開も検討していくとしている。

実証実験で取得した伊豆急下田駅の3次元点群データ。【画像:首都高速道路】
東急田園都市線のトンネル内で撮影した高解像度カメラ画像。【画像:首都高速道路】