【KATO 特急「つばめ」青大将】が入線しました | 趣味のNゲージと鉄道写真

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「趣味のNゲージ鉄道模型」という名称で続けてきましたが、鉄道写真の記事を載せる機会が増えたことからブログ名を変更しました。
内容は自分への備忘記録が中心で、旧型車両の話題に偏る傾向があります。拙い内容ですが、ご覧頂ければ幸いです。

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こんにちは。

緊急事態宣言が解除され、段階的に経済活動が再開されつつあります。その一方で東京アラートが発動され、コロナウイルス感染症の第2波、第3波も懸念されています。これからの私たちに求められているのは、「感染予防・対策」をしっかりしながら「経済活動」も並行して行うことです。気を緩めずに両立させていかなくてはなりませんね…。

 

 

さて先日、うちの鉄道にも悲願の青大将「つばめ」が入線しました。tubamehatoを名乗っておりますが、実はコレを持っていなかったもので…。(汗) しかも後先のことを考えず、ここぞとばかりに基本セットと増結セットを購入…。(大汗) 予算の捻出に頭を抱える今日この頃です。では、早速みていくことにしましょう。

 

 

【実車について】

青大将のデビュー

S31.11.19の東海道線全線電化の日、ライトグリーンの特急用特別塗粧を身に纏った「つばめ」が現れました。米原・大阪間のC62による牽引の必要が無くなり、客車が煤煙で汚れる心配も無くなったため、当時としては斬新な明るい色調に改められることになったのです。それまでのブドウ色1号から淡緑色5号に塗り替えられたその姿は、当時の人々を驚かせたことでしょう。この特別塗粧は秘密で計画が進められ、電化初日までに塗り替えが完了したのは2編成のみでした。そして、これら2編成は初日の「つばめ」1レ、2レに充当され、記念のヘッドマークも誇らしげに運行を開始したのです。その色から、いつしか「青大将」のニックネームで呼ばれる様になりました。

当日の編成は次の通りです。

1レつばめ 下り   2レつばめ 上り
EF5857 東京   EF5889 宮原
スハニ35 4 東シナ   スハニ35 1 大ミハ
スハ44 23 東シナ   スハ44 3 大ミハ
スハ44 26 東シナ   スハ44 4 大ミハ
スハ44 24 東シナ   スハ44 5 大ミハ
スハ44 27 東シナ   スハ44 1 大ミハ
スロ54 42 東シナ   スロ54 36 大ミハ
スロ54 31 東シナ   スロ54 34 大ミハ
オシ17 3 東シナ   オシ17 1 大ミハ
スロ54 32 東シナ   スロ54 33 大ミハ
スロ54 41 東シナ   スロ54 37 大ミハ
スロ54 13 東シナ   スロ54 35 大ミハ
マイテ58 1 東シナ   マイテ39 1 大ミハ

※初日は品川区の「はと」編成を下り「つばめ」に使用しました。

※当日、EF5857がつけた記念のヘッドマークは大宮の鉄道博物館に、EF5889がつけたものは京都鉄道

  博物館にそれぞれ収蔵されています。

 

当時、「つばめ」「はと」は東京・大阪間を7時間30分で結んでいました。現代なら新幹線「のぞみ」で東京・新大阪間は2時間27分(最速だと2時間22分)ですね。

1レ 「つばめ」 東京発 9:00  ⇒ 大阪着 16:30
2レ 「つばめ」 大阪発 9:00  ⇒ 東京着 16:30
3レ 「はと」 東京発 12:30  ⇒ 大阪着 20:00
4レ 「はと」 大阪発 12:30  ⇒ 東京着 20:00

 

客車は引き続き、「つばめ」が宮原、「はと」が品川の受持ちで、合計72輌ありました。

展望車・一等車の配置状況は次の通りです。

宮原 展望車 … マイテ391、21、マイテ491

品川 展望車 … マイテ581、2、マイテ492
    一等車 … マイ381、2
また両区とも、特別二等車はスロ54、食堂車はオシ17、マシ35、三等車はスハ44、合造車はスハニ35がそれぞれ配置されていました。特ロ(特別二等車)は、それまでのスロ60に代わり、スロ54に置き換えられています。(スロ60の青大将色は存在しません) 食堂車もオシ17になりました。マイテ49、マシ35は予備車です。さらに品川には観光団体用の予備車として一等車のマイ381、2も配置されていました。

この他、品川にはマイテ3911も居ましたが、特急用特別塗粧には変更されずブドウ色のまま団体臨時用として使用されました。これは内装の桃山様式が、戦後に洋風な生活への憧れを持った日本人にはあまり受け入れられ無かった反面、外国の要人や訪日観光団への「おもてなし」に適していたということで、特別扱いされた様です。


 

黄金期の到来

そしてデビューからおよそ1年後のS32.10.1、車両の移動が生じます。品川受け持ちの九州方面夜行特急が増発されたことに伴い、品川区所属の「はと」用の客車が宮原に移管されたのです。これにより「つばめ」「はと」の客車の共通使用が可能になったのですが、展望車については「つばめ」にはマイテ39、「はと」にはマイテ58、予備車にはマイテ49が引き続き使用されました。マイ381・2、マイテ3911は引き続き品川に残りました。

また、特ロ需要の増加に伴い軽量客車のナロ10が新製され、10~12月にかけてスロ54がナロ10に置き換えられました。(①置き換えは編成単位で行われたため、スロとナロが同一編成内に混在することはほぼ無かった様です、②急行列車の増発による特ロ不足を補うため、スロは各区へ転属していきますが、一部は「さくら」「なにわ」用として宮原に残留します) 編成は通常12輌編成でしたが、増結によりEF58の牽引定数いっぱいの15輌編成が常態化していきました。さらに不定期特急「さくら」用として「かもめ」で使用していたスハ44系が竹下区から、食堂車も不足したため品川区からマシ29も加わり、青大将一族は黄金期を迎えることになります。

 

 

電車特急の出現

S33.10.1、ビジネス特急「こだま」が運転開始となり、青大将に新たな動きが生じます。この「こだま」の登場に伴い、不定期特急「さくら」が廃止になり、余剰車が新設された特急「はつかり」用として尾久区へ転属していきます。さらにスロ54とマシ29も解除され、後に一般色に戻されます。

一方、モハ20系(後の151系)「こだま」は当時最新の設備を誇り、全車クーラーを装備していました。青大将も一等車と食堂車はクーラーを装備していましたが、KM式でしたので停車すると効かなくなるという欠点もありました(オシ17はディーゼル発電でした)。これに対してモハ20系は三等車までクーラー完備、所要時間も東京・大阪間6時間40分と短縮され、料金は同じという訳ですから、当然「こだま」に人気が集中しました。需要がある「こだま」は増発が要求される一方、青大将は一等車マイテ39の老朽化など、見劣りが目立つ様になってきました。華々しくデビューした青大将に暗雲が立ち込めてきたのです…。

 

 

そして終焉を迎える

S35.5.31、この日が客車による「つばめ」「はと」の最終日となりました。同時にこれは一等展望車の定期運用の終わりを意味したのです。

下に最終日の編成を記しておきます。

1レつばめ 下り   2レつばめ 上り
EF5857 東京   EF5858 宮原
スハニ35 4 大ミハ   スハニ35 3 大ミハ
スハ44 12 大ミハ   スハ44 21 大ミハ
スハ44 4 大ミハ   スハ44 20 大ミハ
スハ44 22 大ミハ   スハ44 18 大ミハ
スハ44 16 大ミハ   スハ44 24 大ミハ
スハ44 15 大ミハ   ナロ10 8 大ミハ
ナロ10 12 大ミハ   ナロ10 11 大ミハ
ナロ10 22 大ミハ   オシ17 4 大ミハ
オシ17 1 大ミハ   ナロ10 17 大ミハ
ナロ10 3 大ミハ   ナロ10 6 大ミハ
ナロ10 24 大ミハ   ナロ10 2 大ミハ
ナロ10 5 大ミハ   マイテ39 1 大ミハ
ナロ10 19 大ミハ      
ナロ10 7 大ミハ      
マイテ49 2 大ミハ      

翌日からはクロ151(パーラーカー)を連結した電車特急に生まれ変わります。さらに、この1か月後の7月1日には2等級制に移行となり、一等車を表す記号「イ」が消滅することになります…。

 

 

 

【模型について】

KATOのHPによると、特ロがナロ10に置き換わった後の、S33年頃の姿を模型化している様です。製品はいつも通りの素晴らしい出来栄えです。では、形式ごとに眺めていくことにします。

 

マイテ3921

マイテ3921(上)とマイテ391(下)を比較してみました。どちらも古めかしく重厚感がありますね。ボディは同じ様ですが、よく見るとダブルルーフのベンチレーターの位置が作り分けられています。マイテ3921の方は屋根上のT字型列車無線アンテナが目を引きますね。またマイテ58の記事でも書きましたが、KATOの3軸ボギー台車を履いた客車は、実車に比べて台車が微妙に中央に寄っています。

なおマイテ391には、LED室内灯クリア電球色をフィルターなしで組み込んであります。近日中にマイテ3921にも同じ室内灯を組み込む予定です。

 

反対側も見てみましょう…

やはり、ベンチレーターの位置が作り分けられていますね。室内は赤(エンジ)で、展望室のソファーを白(アイボリー)の別パーツで表現しています。青大将の方は号車番号やサボ等の印刷が無く、すべて付属のシールを貼る様になっています。

 

また、実車の展望室の内装はマイテ391が洋風、マイテ3921が白木屋式となっていました(マイテ3911は桃山様式ですよね)。因みに、マイテ391とマイテ3921のルーツは次の様になります。

マイテ391                       マイテ3921

S5年 新製 スイテ37010    S5年 新製 スイテ37001
S16年 改番 マイテ391    S16年 改番 スイテ382
S24年 改造 洋式に改造    S24年 改造 マイテ3921
S35年 改番 マロテ391    S35年 改番 マロテ3921
S36年2月 廃車      S36年2月 廃車  

 

なお、関連記事の「KATO マイテ581 茶 が入線しました」も併せてご覧下さい。

https://ameblo.jp/tubamehato/entry-12365618926.html

 

 

ナロ101

基本セットが1、8番で、増結セットが3、7、12、15、21番です。原則として特ロの増結は10号車と11号車の後に連結され、それぞれ増(まし)10号車、増11号車とされました。オシ17同様の幅広の車体が編成にボリューム感を与え、とてもいい感じと思います。

 

ナロ10は増加する特ロ需要を補うため、S32年度に33輌が製造されました。このうち特急用特別塗粧になったのは1~28です。他の10系寝台車と同様に、幅広・裾絞りの車体となっており車内が広くなっています。リクライニングシートの特別二等車ですが、クーラーはなく天井には扇風機が並んでおり、室内の照明は蛍光灯でした。後に低屋根・冷房化してオロ11となります。

 

 

オシ171

上の写真:左側のシュリーレン台車の隣に冷房用のディーゼル発電機が見えますね。

下の写真:オシ171~4は右側調理室のドアの窓が無いことが特徴ですね。

 

オシ171はマイフ293の台枠を利用して、S31年に高砂工場で改造されました。10系客車ではありますが、台枠は戦前型3軸ボギー客車の流用なのですね。それまでの食堂車は定員が30名でしたが、オシ17は車幅を拡張したことにより、定員40名(4人掛けテーブル×10)と増えました。室内の照明は蛍光灯です。また、冷房用電源も車軸動力を用いた装置(KM式)からディーゼル発電に改善されています。一方で調理室の方は、カシ36での失敗から電気レンジは見送られ石炭レンジに、冷蔵庫も旧来の氷冷式に戻りました。

 

 

スハ4416

基本セットが16、32番で、増結セットが5、9、10番です。増結は5号車の後に連結され、増(まし)5号車となります。小窓がズラッと並んだ側面は、とても美しいですね。これが連なると、結構な編成美になると思います。

 

スハ44はS26年に登場した特急用の三等車です。座席は一方向に固定され、デッキは片方のみとなっています。室内の照明はもちろん白熱灯でした。解除後に近代化改造を受け、座席の回転化、室内照明の蛍光灯化、窓のアルミサッシ化などが行われました。

 

 

スハニ353

車番は3番です。窓配置はスハ44に準じた美しい小窓がズラッと並んでいます。荷物室側のカプラーは付属のナックルカプラーに交換してあります。

 

スハ二35はS26年に登場した特急用の3等荷物合造車で、乗客の手荷物を収容するための荷物車として使用されました。荷物室の壁面には棚が設置され、窓が無いことが特徴でもあります。室内はスハ44と同様に座席は一方向に固定されていました。

 

 

マイテの展望部分の比較

左からマイテ391、マイテ3921、マイテ581

こうやって並べると違いが分かりますね。左のマイテ391は中央のマイテ3921に比べて、テールライトが中央に寄っています。マイテ3921は端梁のアンチクライマーも淡緑色ですね。右のマイテ581はデッキ手すりの形状が他の2輌と大きく異なっています。なお、テールマークは嵌めただけではしっかり固定されませんので、事務用の液体のりで仮止めをしてあります。(テールマークの切り離し方が下手なのは見なかったことにして下さいね…)

 

 

その他

     

左写真:スハ二35の妻面には後方監視窓がありますね。表記類の印刷もなされています。なお、テール

      ライトはダミーです。

右写真:マイテ3921のテールライトを点けた様子。LEDに変更されており、鮮やかに点灯します。

 

     

左写真:青大将では列車無線試験が行われたことがあり、S32~S33年中頃にかけて機関車と展望車に

      T字型列車無線アンテナ(屋根上の2個の白い突起物)が取り付けられていました。展望車は6輌

      とも取り付けられた様ですが、機関車については全機では無かった様です。また屋根上中央に

      ある大きなH型のモールドは、恐らくラジオアンテナ(?)ではないかと思われます。

右写真:TR73台車の裏側の様子。マイテ3921(奥)は台車の取付けがネジ式でネジの位置も従来通りで

      すが、マイテ391(手前)の方はスナップオン式で、スナップの位置もセンターになっています。(ス

      ナップ部分は中央の車軸の下に隠れています)

 

     

左写真:付属品類。カプラー交換後の写真です。

右写真:「つばめ」「はと」のシール。私にはコレを全車に貼る気力はありません…。(笑)

 

なお室内灯については、次の通り組み込む予定です。

電球色 : スハ二35、スハ44、マイテ39

白色 : ナロ10、オシ17

 

 

青大将の興味深い編成例

S34.8.9     S34.10.30    
皇太子殿下御乗車用列車 GATT総会出席者専用特別列車
江若鉄道     EF5863 東京  
DD1351     スハニ35 4 大ミハ  
スハニ35 6 大ミハ   ナロ10 7 大ミハ  
ナロ10 2 大ミハ   ナロ10 5 大ミハ  
マイテ49 1 大ミハ   ナロ10 18 大ミハ  
      オシ17 2 大ミハ  
      ナロ10 27 大ミハ  
      ナロ10 13 大ミハ  
      マイテ49 1 大ミハ  
青大将の3両編成が江若鉄道(S44廃止)に入線したことがある様です。この編成ですが、なんとマイテは逆向きで(展望デッキがナロ側に向いて)連結されていました。そして牽引機は江若鉄道のDD1351で、国鉄DD13の1次形とほぼ同じ機関車です。(ヘッドライトの形状やキャブ前後の煙突の有無等異なる部分はありますが…)このDLは江若鉄道廃止後に別府鉄道に移り、S59年まで活躍しています。
また「GATT臨」の方は、マイテ491に富士山の絵柄の特製GATTテールマークが取り付けられていました。参考にした写真がモノクロなのでマークの色は不明です。他にも興味深い編成例は尽きませんが、模型で再現となるとマイテ49が鍵を握りそうです。

 

 

 

【終わりに】

スハ44系をベースにしたセット、次は「はつかり」や青大将「さくら」あたりを期待したいですね。両セットの要になるのはスハフ43です。「はつかり」が製品化されれば、青大将に「はつかり」用のナロを混ぜた混色編成(実際にありました)も楽しめ、編成のバリエーションが増えます。さらに「さくら」では3軸ボギー台車を履いたマシ29や、増結用としてマイテ49をセットに組み込むと、いい感じで売れると思います。マイテ49がラインナップされると、編成両端にマイテを繋げた「つばめ」も再現可能になります。KATOさん、ご検討を宜しくお願いします。m(_ _)m

 

 

参考文献

RM LIBRARY 200号 日本の展望客車(上) (ネコ・パブリッシング)

EF58ものがたり 上 (交友社)

EF58ものがたり 下 (交友社)  

 

 

それでは皆さまもコロナウイルスに負けない様、しっかり予防をして御身大切になさって下さい。

本日もご覧いただき、ありがとうございました。