東急3770形(日車改造車)製作記~クハ3778をつくる~ | みなかん~南千住車両管区~

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鉄道模型を中心に、ゆる~くのんびり・まったり語るブログ。
取り扱う車両は、営団地下鉄と乗り入れ先の関東私鉄たちが主成分です。

 

こんばんは、ななせです♪

 

またしても1か月近く更新しませんでしたね…

 

話は変わり、本日2度目の「決戦」がありましたが、皆様はいかがだったでしょうか?

私も何とか必要数である「2個」確保することが出来ました。

*ご協力いただいた友人にも感謝を…

 

 

さて、この1か月間ブログを更新せずに何をしていたかといいますと

上記の収穫物に関連したとある車両を製作していました。

 

 

 

今回の話題は、キッチン(kitcheN)製のキット「自由形クハ3777 (払下17m改日車)」です。

元々は3800形(バス窓時代)の相方であるクハ3777号車がプロトになっています。

 

ですが当区ではプロト通りではなく、別の車両の相方にすべく

同じ日車改造車のクハ3778号車を仕立てるつもりです。

*察しの良い方はこの時点で何をしようとしているのかバレてしまいますね

 

 

 

箱の中身です。

 

車体・扉(乗務員室/貫通扉)・ランボード・客扉Hゴム・オデコが入っており

キットとしては非常に少ないパーツで車体を組むことが出来ます。

 

 

実車解説をすると、戦災/事故廃車した国鉄の車両を

1948年から52年にかけて復旧したものです。

 

デハ3600・クハ3670・クハ3770形の3形式37両が在籍し、ざっくり分類して

3600系にまとめられています。

 

 

 

「3600系といえば、ノーシル・ノーヘッダーのシンプルな車体では?」と思う方がきっと多いかもしれません。

*実際に鉄コレも写真右側みたいな仕様ですし

 

3600系は大別すると2種類の車体があります。

 

①鋼体利用修理車…比較的状態の良い車両を修理して復旧

→60年代にノーシル・ノーヘッダーの車体に更新(Tc3771除く)

 

②台枠利用・車体新造車…損傷の著しい車両の台枠のみを再利用し、車体を新製

→70年代に他社へ譲渡/廃車により消滅

 

 

今回はに分類される台枠利用車製作します。

 

3770形のうち日車改造車はクハ3776~3778の3両であり、これらの改造種車は

全て木造客車の台枠を流用しています。

 

クハ3776←ナハフ14516

クハ3777←ナハフ24071

クハ3778←ナハ22068

*古い資料だとナハフになってますが、存在しない形式です

 

台枠利用車は鉄道省50系電車(のちのモハ11/クハ16形など)に似た外観ながらも

改造工場ごとに独自のアレンジが加えられており、日車改造車は前面雨樋の緩いRが特徴です。

*この他に、デハ3613~3616・クハ3678・3679

 

 

 

それでは、製作を始めていきましょう。

ブラスキットで最初にやる作業は、車体の外/内板を貼り合わせることです。

 

この手の作業だとはんだ付けを想像する方も多いと思いますが、

最近のブラスキット(Nゲージ)では車体の肉厚自体が薄いため瞬間接着剤でも接合可能です。

 

むしろ、薄い板にはんだ付けをすると熱で歪んでしまう事から

私ははんだを一切用いずに組み立てています。

 

特にNゲージでは、取り付けパーツ類がホワイトメタル製やプラ製のものが

少なからずあるため、はんだ付けは不向きかと思います。

 

 

 

側面の接合が済んだら、前面・妻面の内板を併せて「ロ」の字形にします。

しっかりと嵌り具合を確認したら、裏から接着剤を流し込みます。

 

嵌め込みが甘いと、最終的な仕上がりに影響しますから

単調な作業ながらも神経を使います。

 

 

 

前面・妻面の外板を接着したら、側面の外/内板リンクを切除します。

 

キッチン製キットでは、このリンクのおかげで外/内板の接合はとても楽に出来ますが、

接合後は不要になりますから最終的な仕上がりのためにも切り落としていきます。

 

また当区では、想定している年代の仕様に合わせ外板のモールドを削ったり

パーツ取り付け穴を開けています。

 

主として、昇降ステップやワイパー・ドアノブのための取り付け穴です。

 

基本的に0.3ミリで穴を開けるため、ドリルが折れるリスク回避やガイド穴となるように

前面や妻面に関しては内板に取り付ける前に開け、接合後に貫通させます。

 

 

 

次にオデコパーツを取り付けて、車体を箱状にしていきます。

 

HOサイズの模型だと、屋根にピッタリ合うように設計されているものの、Nゲージでは大抵

「それっぽいモノ」程度の形状であるため、あくまでも「コア材」として考えた方がいいでしょう。

 

私の場合は、元のパーツにパテや瞬間接着剤を盛って、何度もリテイクを繰り返しながら

納得できるまで形を整えていきます。

 

正直言って、これが一番時間がかかる作業ですね。

 

その他には前面・妻面の角の部分の隙間を埋め、平妻とはいえ角が筋張らないように

緩く丸みを帯びた感じに整えました。

 

また、ここでも時代設定や車両に合わせて前面屋根の水切りを撤去(オデコ取付前)したり

貫通扉や乗務員扉を1枚窓にしています。

 

 

 

オデコを整えたら、パーツ類を取り付けます。

一部のパーツは塗装後に取り付けを想定しているため、仮止めしているモノもあります。

 

使用したパーツは下記の通りです。

 

・ヘッドライト:銀河モデル#N-011

・テールライト:トレジャー#TTP161-30 (0.2ミリ真鍮線で配線を再現)

・屋根上手すり(1.2ミリ幅):#TTP201-12

・昇降ステップ:#TTP215-51 (パーツ3;台座は難しすぎて断念)

・幌:#TTP138-03

・製造銘板:#TTP213-21 (日車東支;接着剤の逃げ用に0.3ミリ穴)

 

 

 

 

幌吊りを簡単にですが再現しました。

 

車体側に昇降ステップ(パーツ5)を突き刺し、

0.12ミリのポリウレタン導線(UEW)で輪っかを作ります。

 

次に、0.4ミリ真鍮管に0.12ミリのUEWを貫通させ、上部をフック状にして

車体側の輪っかに引っ掛ける構造にしました。

 

やはり素人製作のため、オーバースケール感は否めませんね…

 

 

 

側面の加工箇所です。

 

側窓に関しては、1970年より保護棒が取り付けられたということで

0.2ミリ真鍮線を用いて側窓に取り付けました。

*たとえば、ピクトリアルNo. 600 (94-12増) p. 159

 

戸袋窓に保護棒は付きませんが、山/海側で扉の開く向きが異なるため

取り付け位置には注意が必要です。

 

この他にも、車側灯パーツはトレジャー製の#TTP902-03Bの丸型を使用しました。

 

ちなみに3770形(日車改)の中では、クハ3776・3777だと砲弾型だったりしますから

実車検証は念入りに行いましょう。

 

 

 

パーツを取り付けたら、塗装作業に入ります。

 

手汗の酷い私は基本的に製作中は手袋着用で作業していますが、塗料のノリを想定して

まずは洗剤を使用して汚れを落とします。

 

そのあとはプライマーとサフを吹いて塗装下地を作ります。

 

ちなみに私は、かつてのブログ友達の方に勧められた

ミッチャクロン」をプライマーとして使用しています。

 

 

プライマーも製品によっては粘着力が弱くマスキングテープでも簡単に塗膜が剥がれてしまう事もありますが、

こちらのミッチャクロンは余程ガリガリ引っ掻かない限り剥がれません。

 

主に車体裾部・ウィンドウシル・ヘッダーや雨樋などが剥がれやすいため

これらの部分を重点的に重ね吹きしておきます。

 

ちなみにマッハ模型のシールプライマーとは異なり、ミッチャクロンは透明です。

*ライトグレーなのはサフの色です

 

 

 

下地処理後は、車体塗装から行います。

 

車体色は、GMカラーの「ライトグリーンA (#30)」をベースに

「緑15号 (#25)」を適宜混ぜて彩度を上げました。

 

混ぜた塗料をいつものようにガイアのブラシマスターでシャバシャバに希釈して

イージーペインターで吹きました。

 

一応友人用の3850形を想定して鉄コレ3450形の塗装に近づけようとしたものの、

今回はちょっと微妙な仕上がりに…。

 

 

 

 

車体にマスキングをして、屋根をクレオスの灰色9号(#97)で吹きます。

 

この塗料は隠蔽力が低いため、マスキング後に再度薄くサフを吹いて

車体色の緑色を少し隠しました。

 

 

塗装が完了したら、パーツ類を本接着します。

 

客用扉窓のHゴムは塗装の簡略化を想定してパーツ(親切仕様)になっているため、

下地処理+黒塗装の上で接着します。

 

 

 

 

次に各部の標記類をインレタで転写します。

トレジャー製#TTL803-11を使用しました。

 

こちらのインレタは3000系晩年まで生き残った車両たちが収録されているため、

クハ3772をベースに切り貼りしました。

マイノリティ殺し…

 

エンド標記は車両によって異なるようで、今回は前面側が①・妻面側が②です。

その他の標記類は、山/海側で位置が異なるので気を付けましょう。

 

 

 

前面車番は凹凸が多いため、切り出してセロハンテープ戦法…と行きたいところですが、

塗膜が剥がれるのを危惧してマスキングテープでどうにかしました。

 

特定車番をそのまま転写するなら簡単ですけれども、今回は切り貼り車番であるため

位置決めには苦労しました。

 

ちなみにこの車番インレタは厚手インレタのため、ケガキ針などで車体とインレタの

双方を傷つけないよう慎重につつけば多少の微調整が可能です。

*「スーパー自己責任」でお願いします

 

 

 

この他には、前面に検査標記を転写しました。

トレジャー製#TTL803-01Aを使用しています。

 

本当は「43-11 元住吉工」にしたかったのですが、こちらもやはり晩年仕様(ため息)ですから

「61-10 長津田工」でそれっぽくしました。

*この頃だととっくに雪国で第二の人生を歩んでいますね

 

また、塗装前に取り付けた製造銘板は#1200番のペーパーを使用して

文字と枠の部分の緑色を剥がして下地の色を出しました。

 

 

標記類を転写したら、いつものようにつや消しクリアーを吹きつけました。

 

元々の塗料による光沢感では質感が「下品」になってしまうのですが、

つや消しにするとそれはそれで「何か違う」感が…

 

 

 

クリアーを吹いたら、ライトレンズや銀色パーツを取り付けます。

ドアノブはトレジャーの#TTP213-22を、ワイパーはボナ製#P-065(パーツA/Bどちらか)です。

 

3000系列といえばシングルアーム式のワイパーが主流ですが、

一部車両はSUS車のようにダブルアームのワイパーを用いていました。

*たとえば、70年代初頭のデハ3450号車など(後年Sアームに交換)

 

また、ワイパーの色も銀色のものだったり車体色に合わせた緑色だったり

取り付け位置が車両によって異なるため、実車検証は重要です。

 

さらに幌を取り付けている車両は貫通扉下に渡り板を取り付ける必要があるものの、

現在手持ちのパーツが無いため入手次第本稿に追記します。

 

 

ちなみに手すりパーツについての話を今更ながら追記すると、前面ステップのモールドは4個だったのに対して

実車では尾灯斜め下にも1つあるので5個が正しいです。

 

また、クハ3778は70年代の写真を見ると尾灯上部のステップは撤去されています。

*クハ3776・3777は残存

 

そのほか当初は尾灯の真下にあった製造銘板は、70年頃になると横にズレており

晩年(74年頃)になると撤去してしまいます。

*70年頃の写真:たとえば、ピクトリアルアーカイブス40;p. 22

 

もちろん、これらの加工は全て塗装前に行うべき内容です。

 

 

 

 

車側灯にもレンズを入れていきます。

ランナーから切り出す前にマッキーで赤く着色をした上で、表から差し込み裏から接着します。

*やはり拡大すると見苦しいですね…

 

パーツ自体は一見すると小さいですが、パーツの長さがあるため

東武のマーカーランプレンズを入れるよりはずっと楽です。

 

 

 

ということで、下回りとかベンチレーターとかやらねばいけない部分は多々あれど、

ひとまず東急クハ3778号車が仮完成しました。

 

残りの作業はパーツを入手次第追記していき、完成後のレビューは

組成が完了したら記事を作成しようと思います。

 

 

数年ぶりにブラスキットを組み立てたのですが、やはり塗装を中心に

まだまだ改善すべき課題が山積みだなと感じました。

 

今回の課題を意識しつつも、今後は友人の3850形を作ったり

同時進行で作業している「小ネタ」を挟んでいこうと考えています。

 

 

またしばらくは音沙汰無しになってしまいそうですが、コツコツと緑色の電車を作り続けていきますので

今後ともお付き合いいただけると幸いです。

 

 

それでは今回はこの辺で。

ご観覧ありがとうございました♪