ベンガル猫と神戸市交のブログ

ベンガル猫と区間快速(https://twitter.com/cat103850 )のブログ 神戸市営地下鉄がメインのはず…

北神急行市営化の経緯を振り返る

北神線市営化まであとわずかとなりました。

今回は、北神線市営化に関する経緯を振り返っていきたいと思います。

f:id:bengal103kobecity:20200528182349j:plain

 

 

突然の報道 そして協議開始

北神急行譲渡の話が出たのは2018年の年末 12月27日、神戸新聞の報道が最初となります。

同日、神戸市の久元市長と杉山阪急電鉄代表取締役社長の会見が行われ、協議開始が発表されます。

経緯と神戸市・阪急側の意図とは(当ブログ(2018年12月27日分)より加筆修正・運賃金額は現行のもの)

北神急行の利用客の伸び悩みには高額な運賃があるとされています。現状では、初乗りにあたる谷上~新神戸が370円、谷上~三宮では地下鉄の初乗りも上乗せされ550円 さらに神戸電鉄線を利用するとその分の運賃がかかってきています。(それでも、運賃負担軽減のため兵庫県・神戸市が年間1億3500万ずつ補助を出していました。)

神戸市側は人口が減少する北区の活性化・三宮方面への移動を増やすという目的があると考えられます。特に、岡場以東に関しては(三田乗り換えでの)JR宝塚線の利便性もあり、大阪方面への流動も大きいです。そのような状況であることから、北神急行を市営地下鉄にすることで、運賃を引き下げることで宅地開発など郊外の活性化を図っていきたいと考えているようです。

また、兵庫県とともに行っている運賃負担軽減補助も2018年度に切れることとなっていました。それをただ延長するのではなく、さらなる利用増そして、北区の人口減少を食い止めるためにも北神線を市営化するという思い切った方策へと動き出します。

一方の阪急電鉄(以下阪急)側ですが、現状として、北神急行自身は400億円程度負債を抱えています。しかし、純利益は1億円超となっており、利子負担は親会社の阪急が支払っている状況です。

なお、2002年に北神急行は同じく阪急子会社の神戸高速鉄道に施設を譲渡し、北神急行第二種鉄道事業者として運営しています。そのうえで、神戸高速鉄道が20年間北神急行区間の鉄道施設を保有した後、残資産及び残債務はすべて阪急が引き継ぐという事情があります。すなわち、この時には3~4年後に北神急行の残る負債を阪急は特別損失などの形で決算上は計上することになることが見えていました。

また、三宮駅周辺の再開発をしている神戸市・阪急の両社であり、三宮における乗降客の増大も見込みたいところであると考えられます。

 

さらに、北神急行はその路線の大半がトンネルであることから、風水害時等には強いことが特徴です。直通する市営地下鉄(名谷以東)とともに、最後まで運転見合わせなどは起きない傾向にあります。例えば、西日本豪雨の折には、神鉄や市バス急行64系統・阪急バス等が運休、新神戸トンネルなども通行止めになり、実質神戸市街地と北区を結ぶ唯一の交通手段となっていました。この北区と市街地を結ぶ公共インフラとしての役割も市営化への要因の一つとなります。

bengal103kobecity.hatenablog.com

 

f:id:bengal103kobecity:20200528183525j:plain

基本合意・一体運行の前倒し

2019年3月29日、北神急行ならびに神戸高速鉄道が所有する鉄道事業固定資産を198億円(税別)で譲渡し、北神急行の400億(神戸高速分を含めると650億円)の債務については神戸市には引き継がれないことが発表されます。

 

その後、10月には一体運行開始日を当初の予定から4か月前倒し、2020年6月1日からとする方針が固まります。この段階で、北神急行の乗務員は同じく阪急阪神ホールディングス神戸電鉄に出向させたうえで、運行を神戸電鉄への委託ということも報道されます。

bengal103kobecity.hatenablog.com

bengal103kobecity.hatenablog.com

 

そして神戸市営地下鉄北神線

その後、国交省に事業譲渡の認可・市条例改正などの手続き面が行われます。

2020年3月4日には北神急行線の譲渡・譲受が国交省より認可されます。これにより6月1日以降北神線はこれまで北神急行電鉄第二種鉄道事業者神戸高速鉄道第三種鉄道事業者だったものが、神戸市(神戸市交通局)が第一種鉄道事業者として運行していくことが確定します。

 

http://www.hokushinkyuko.co.jp/pdf/200304.pdf

(PDF注意)

また、同26日には神戸市高速鉄道乗車料条例の一部を改正する条例の可決。運賃は県庁前・三宮・新神戸~谷上は550円から280円に なお、他区間でも乗車駅新神戸までの運賃に70円加えたものとなっています。(例:名谷~谷上の場合、名谷新神戸の350円に北神線分70円を加算した420円)

一方、運行業務を受託する神戸電鉄側では5月13日にこれを担当する北神営業部の設置が発表されます。

https://www.shintetsu.co.jp/release/2020/200513.pdf

(PDF注意)

また、今後の動向が注目されていた北神弓子ちゃんについては5月27日に交通局のキャラクターとして継承されることがわかりました。

www.city.kobe.lg.jp

そして、6月1日から神戸市営地下鉄北神線としての運行がはじまります。

f:id:bengal103kobecity:20200528194245j:plain 

最後に

北神線の市営化では、北神線のみならず神鉄沿線からの運賃も大幅に下がることとなります。三田~三宮では1080円が810円に、有馬温泉~三宮や岡場~三宮では950円が680円となり、北神地域・神鉄三田線沿線にも恩恵があります。

f:id:bengal103kobecity:20200528190510j:plain

このダイヤ改正でも谷上での北神線連絡が意識されたものとなっています。

一方、これまで北神急行は32年、「あの1日」以外は北区と市街地を結ぶバイパスとして、ある時は阪神間の迂回ルートとして、走り続けました。

近年は北神弓子ちゃんや30周年イベント・鉄道コレクション販売などで北神急行が盛り上がることも多かった中での市営化となりやや残念なところもあります。北神弓子ちゃんは神戸市交通局に移籍することとなりましたので、今後の活躍を期待ところです。

北区と神戸市街地を結ぶ北神線の役割はますます重要となってくるそんな、神戸市営地下鉄北神線を見ていきたいです。

 

参考資料

神戸市広報資料 北神急行線の市営化について

www.city.kobe.lg.jp

 神戸市 臨時会見 2018年(平成30年)12月27日

www.city.kobe.lg.jp

 

鉄道コム

 

にほんブログ村 鉄道ブログへにほんブログ村 にほんブログ村 鉄道ブログ 関西の鉄道へにほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 撮り鉄へにほんブログ村 にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 神戸情報へにほんブログ村