1985年に茨城県つくば市で「科学万博 つくば’85」が開催されました。
その来場者への利便向上のために設定された、実在列車の話です。ご存じの方多いと思いますが備忘として。
※2021年8月 入手した鉄道ダイヤ情報1985年春号(No.26)をもとに、一部追記しました。
エキスポドリーム号
伝説の列車ですね。583系編成と、20系客車編成の2種類が存在していました。下記はいわずもがな583系です。
spaceaero2, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
会場周辺のホテル不足を補う目的もあったようですが、土浦発万博中央駅行きの列車ホテルです。普通列車だったんですね。
列車ホテルに使われた車両、編成について
583系 青森運転区の予備編成(12両編成)
20系客車 (客車9両+電源車1両) ※所属区不明
→20系客車については、土浦の電留線の出入庫の関係で、あらかじめ客車編成の前後に機関車を連結したプッシュプル方式となっていました。
列車ホテルのダイヤ
- 土浦駅に21:37に入線、21:47に発車。
- その後、9キロ先の万博中央駅には直接向かわず、そのまま入れ替え運転をされて土浦駅の電留線に入っていきました。一晩電留線に止まったまま一夜を過ごす、画期的ですね。
- 一夜明け、土浦電車基地(14番線)から出庫され、再度土浦駅に7:43に戻ります。土浦到着後10分停車し、7:53に発車。そして終着万博中央駅に8:03に到着。
ちなみに万博中央駅到着後は、藤代経由で水戸、勝田電車区で整備されていたようです。
当時の時刻表紙面から
常磐線下り紙面から。土浦駅発の時刻だけが掲載された紙面。なかなかこのような記事はないです。
土浦駅電留線から出庫後の様子です。
ちなみに期間中約3万人の利用、利用率は70%とのこと。
この事例を元に、その後も列車ホテルが存在したようなので、また備忘であげますね。
なお、このホテル列車の誕生秘話については、元国鉄職員であった猪口信氏の著書「国鉄列車ダイヤ千夜一夜」内の214ページで触れられており、私もブログ執筆で参考にさせていただきました。この本では万博輸送に関する苦労話が多数寄せられていますので、ご興味あればご一読をおすすめします。
本日は以上です。
サイト内、カバー写真:spaceaero2, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
参考資料
・交通公社時刻表 1985年7月号 日本交通公社
・国鉄列車ダイヤ千一夜 猪口 信 交通新聞社新書
・鉄道ダイヤ情報 1985年春 No.26