マサテツ〜食べ鉄旅日記〜

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JR九州の「SL人吉」|日本で最も古い現役蒸気機関車

鉄道コム

1922(大正11)年生まれ、営業列車として走るSLとしては日本で最も古い『8620形蒸気機関車 58654号機』通称『ハチロク』が牽引する、肥薩線の「SL人吉」に乗ってきました!

日本唯一の石造機関庫と転車シーンを見学

熊本〜人吉間を約2時間半で走る「SL人吉」。今回の旅では鹿児島中央から「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」を乗り継ぎ、人吉発の「SL人吉」に乗車します。

SLの旅、まずは転車台見学から。

熊本から来た58654号機は、人吉駅の石造機関庫の前でひと休み中。機関庫の裏には、蒸気機関車を方向転換させる転車台があり、すぐ近くで見学する事ができます。

くま川鉄道の跨線橋を渡り「田園シンフォニー」を眺めながら転車台へ。人吉駅からは徒歩10分。

人吉鉄道事業部の敷地内へ。

先ほどは遠目だった石造車庫の目の前までやって来ました。

旧人吉機関区の石造りの機関車庫(石造車庫)は、肥薩線開通からしばらく経った1911(明治44)年に造られました。

地元の石工たちが球磨地方の石材を使って築いた、美しい三連アーチの石造機関車庫。石造の鉄道機関車庫は全国的にみても希少なもので、現存しているのはここ人吉が唯一。

「ポーッ」

汽笛の声が聞こえると程なくして、後ろ向きの58654号機(以下ハチロク)がやってきました。

転車台で熊本向きに方向転換。

ハチロクの顔が目の前に。端正な顔立ちそして凛とした姿。大正生まれのスタイリッシュで美しいSLは、まるで紳士のよう。


いやぁ、カッコいい。惚れ惚れする。

方向転換したハチロクは、操車係を乗せて一旦引き上げ。


今度は、3両の客車が止まる線路にバックで進入。

ここで客車と連結します。

「連結オーライ」

準備が整った「SL人吉」。あとは人吉駅の入線時刻を待つばかり。

SLに乗車する人はこのタイミングで駅へ戻りましょう。

SL人吉、入線

再び人吉駅へ。「SL人吉」は駅舎前の1番線に14時20分頃入線します。

SL人吉は、操車係の無線誘導でバック(推進運転)で入線。

熊本まで約2時間半を牽引するハチロク。

人吉の「人」をモチーフとした、重厚感のあるヘッドマーク。

SL人吉の客車は50系3両。

まず目に付くのが、ガラス張りの最後部。

車内からはこのような感じ。180度景観が一望できる「展望ラウンジ」は、1番前と後ろにあります。

車内はクラシカルでレトロな空間。

座席はすべてボックスシート。車両によって座席の柄や材質が変わります。

車両の真ん中にはSLのミニチュア模型。

屋根は「ダブルルーフ」と呼ばれる、旧型客車を模した二重屋根構造。大正生まれのハチロクの時代に合わせた姿になっています。

「SL文庫」には、大人も子どもも楽しめる列車の本がいっぱいありました。

1号車にはSLの模型がずらりと並ぶ「SLギャラリー」。

2号車には「ビュッフェ」があります。ワゴンサービスはないので、食事やドリンク、グッズなどはビュッフェカウンターで購入を。

肥薩線の歴史と球磨川の景観を楽しむ旅へ

14時38分。「SL人吉」は多くの人に見送られて人吉駅を発車。

人吉の街並みが終わると。

日本三大急流のひとつ、球磨川に沿って走ります。

天気の良い日はエメラルドグリーンに輝く水面が見られるのだそう。この日はあいにくの曇り空。

しばらくは、最後部の展望ラウンジで。去りゆく景色を眺めながらゆったり。

車掌さんの検札の際に、記念乗車証を頂きました。裏面にはスタンプをポン、スタンプ台はビュッフェにあります。
「人吉みどころマップ」は、アテンダントさんの手作りなのかな?これがあればSL人吉の旅が3倍楽しめます。

列車は「一勝地駅」に到着。ここで約10分間停車。

機関士は停車中もひと息つくことなく作業。

ハチロクの蒸気の音が山並みに響きます。

大正3年(1914年)に建てられた木造駅舎。


その駅名から、縁起の良いスポットとしても有名。

駅の窓口では、祈願を受けた「一勝祈願」の記念入場券が発売されています。

再び発車したSL人吉。


ここで、先頭車の展望ラウンジへ。


ハチロクのお尻が目の前。決して景色は良くないですが、モクモクと立ち昇る煙と香りそして音が楽しめる。マニアにはたまらない空間です。

次の停車駅は「白石駅」。ここでも約8分の停車時間があります。

駅舎は、明治44年(1908年)の肥薩線開通当初から変わらない姿なのだそう。

ホームにツツジが美しく咲いていたので、SL人吉の客車と1枚。

ハンバーグが絶品!オリジナル「86弁当」

次の停車駅まで時間があるので、ここでビュッフェで購入したお弁当を頂きます。

「SL人吉」で発売されているオリジナル弁当、その名も「86弁当(ハチロク弁当)」。

では、早速オープン。

おぉー!美味しそう!おかずいっぱいです。

左側は熊本県産米「森のくまさん」を使用したおにぎり。右側は焼き鮭、煮物など。

そして真ん中にはどーんと、メインのハンバーグが鎮座。熊本県産のブランド牛「和王」を使用。柔らかくて肉の味が濃厚、さらに本格的なデミグラスソースがたっぷり。これは絶品!
86弁当は熊本にある老舗洋食店が開発されたそうで、ハンバーグの美味しさにも納得。

絶景の球磨川と絶品の86弁当。これぞ旅の醍醐味ですね。

沿線の人からも愛されるSL人吉

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SL人吉は「坂本駅」に到着。見学時間がある停車はここが最後。

坂本駅も、明治44年(1908年)の肥薩線開通当初から変わらぬ姿を保っているそう。

坂本駅では、人吉行き「かわせみやませみ」と行き違い。乗客同士、互いに手を振り合いお別れ。

SL人吉の見送りに来られた地元の方々と、互いに見えなくなるまで手を振り合う。

ハチロクの走り、球磨川の景観だけでなく、特産品の販売や見送りで来た地元の方々とのふれあいも「SL人吉」の旅の魅力のひとつではないでしょうか。

鹿児島本線(肥薩おれんじ鉄道)と合流し「八代駅」を発車すると、カーブとトンネルが続く単線から一変。一直線に線路が伸びる複線電化区間を、ハチロクはペースを変えずゆっくりと歩みます。

右から左から、手を振る人に「ポッ」と汽笛。沿線の人達からも愛されているハチロク。

やがて「ボッボッボッ」と蒸気を上げる音が聞こえると、熊本駅の登り坂へ。

110年以上の歴史を誇る肥薩線から、近代的な高架に生まれ変わった熊本駅まで。まるで時代をタイムスリップしたかのような「SL人吉」の旅でした。

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