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決め手はやっぱりアンコットアヤー!?
5月4日の疑惑の式典へ向かうKereta Inspeksi3

5月8日、国営企業相エリックトヒルはKAIエディスクモロ社長の解任を突如発表しました。さらに代表取締役社長のみならず、財務、人事、商務、事業戦略の各取締役役員でも人事異動が発生しています。昨年の大統領選挙では残念ながらジョコウィが再選され、大半の閣僚も引き継がれたものの、前リニスマルヨノ国営企業相の汚職疑惑が任期間際になって政府内からも噴出したことから、解任。新たに、華人財閥出身のエリックトヒルが国営企業相に就任しています。

なお、ジョコウィの従順な犬としての実績を買われてか、運輸相ブディカルヤはご承知の通り再任されています。その他、有名どころでは違法漁船爆破オバサンとして人気のあったスシプジアストゥティ海洋水産相は、やはり中国との関係悪化を恐れてか、予想通りの解任となっています。

さて、当のエリックトヒルですが、かつてのリニのオバちゃんのような公衆でのパフォーマンスをほとんど行わず、今のところその素性がまだ明らかになっていません。わかっているのは、リニの尻拭いをしているということで、一連の浄化が完了しない限り、目立った行動には出ないのではないかと思われます。ただ、就任直後には汚職は国営企業グループ全体に広がっていると発言しており、各社への監査を強化、幹部の更迭をも辞さないとしています。その一環で、例えばプルタミナに前アホックジャカルタ州知事が送り込まれたり、今年1月にはコンプライアンス違反(航空機の私的利用)を理由にガルーダインドネシアの取締役社長以下役員が総取り換えされています。エリックトヒルは就任直後からKAIの名指し批判も行っており、いずれエディ社長が解任されるのは時間の問題となっていました。そのタイミングをエリックトヒルはずっと窺っていたのです。

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解任理由にこの日車キサハが絡んでいるらしい!?

エディ社長とリニ前国営企業相、実は同郷の友だけでなく、同級生の仲だったということで、当然疑惑の目が向けられていました。特にジョーナン前KAI社長の後任として2014年に就任したエディ社長ですが、通常の任期である4年目を終えた後、不可解な再任を果たしており、この点が長らく争点になっていました。また、ガルーダインドネシアと同じく“アンコットアヤー問題”も指摘されていました。6年も務めていれば腐敗するというのが、インドネシア人の考え方です。そして、このタイミングでの解任なのですが、一部報道によると、5月4日にKereta Inspeksi3の増結車完成記念式典(中間キサハへの社長サイン入れ)をGambir駅で実施しており、これが決定打になったのではないかと言われています。コロナウイルス感染者数の爆発的増加から、外出規制を伴う大規模な社会制限(PSBB)を実施しており、Gambir駅も閉鎖されていますが、その最中に式典とは何事か!?とエリックトヒル怒りを露わにしているというのです。まあ、この呑気さがエディ社長なんですけどね。

エディ社長は、あの剛腕ジョーナンの後任ということで、その評価が二分されるところですが、先日の記事でも紹介した通り、エディ社長はジョーナンがズタズタに破壊した国営企業省、運輸省、さらには政府との関係修復こそが最大の使命だったことが内部関係者の証言から明らかになっています。もっとも中部ジャワ出身のコテコテのインドネシア人というオッサンで、ツッコミどころは様々あるのですが、国との関係修復という最大の使命がエリックトヒルに疑惑をかけられてしまったのなら、ちょっと可哀そうですね。

【↓エディ社長がアンコットアヤーを作り続けたワケはこちらから↓】



なお、事前告知なしの突然の解任であるため、後任社長は決定しておらず、当分の間は前財務取締役のディディックハルタンティオが暫定社長に就任します。正式な社長は、外部から今後登用されることになるでしょう。

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エディ社長含め、計4名がKAIを去ることになりました

リニ、ブディカルヤが親中ズブズブの賄賂ババアとジジイということは火を見るよりも明らかだったわけですが、問題はエディ社長が悪の枢軸として加わっていたか否かと言うこと。実は、第二次ジョコウィ政権が発足した後、気になる動きがありました。リニ率いる国営企業相下で、日本の中古車を導入するなどご法度で、当然エディ社長の口からも一切語られることなく、さらにはKAIがGE製機関車購入を購入することすら承認されなかった(代わりにINKA製特急気動車を購入せよと指導)のですが、リニが政権を去ってからというものの、皆さんご存じの通り、E217系導入に向けた動きが活発化した他、実はそれ以外にも様々な車両導入に向けての準備が進んでいました。エディ社長の承認サインが入った正式書類まで確認されています。またCC205CC206(CC205を新規導入し、スマトラのCC206を玉突き転配の勘違いでした。すみません。)の追加購入も合わせて決定しました。リニが去り、ようやく本来のエディ体制でスタートを切ったKAIですが、このタイミングでのトップ総取り換えと言うのは、せっかくスタートダッシュを切った新たなプロジェクトに暗い影を落としそうです。基本的に責任を取りたくない人たちですので、前のトップが進めていたことは、人事交代で白紙に戻るというのが常ですからね。特に国産化省令を無視、さらに公開入札を経ずに日本と水面下で交渉を進めていたことも含めてエリックトヒルが追及しているとしたら、中古車導入は完全ストップになるでしょう。ようやく、事が進みそうになると邪魔が入る、インドネシアあるあるです。インドネシア側の手続きが遅れて、本来譲渡されるはずだった車両が国内で解体されてしまった例などキリがないわけで・・・。

そこそこ仕事は出来るというのが前評判のエリックトヒルですが、ジョーナンのように長期視点で語れる賢い華人なのか、それとも親中ナショナリズムにしかすがることのできないどうしようもない華人なのか、そのあたりが今後の鍵を握ることになるのではないでしょうか。

そして、少なくとも日車KRD(MCW302系)のリノベーションプロジェクトはこれで終了。キサハ、K3 3 82 02が最後の1両になるでしょう。アンコットアヤーに始まり、そして終わったエディ社長でした。このアンコット伝説はインドネシア鉄ヲタの中で後の世まで語り継がれることでしょう。

    ステイホーム中の前ジョーナン社長/運輸省の和やか画像は
公式FaceBookからどうぞ!!


鉄道コム

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