新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言が延長となった中で、東京BRTどうなるのでしょうか?
今回はそれについてじっくり考えていきます。


1.東京BRTとは
 そもそもBRTとは、バス高速輸送システムのことでバス専用道(車線)を整備し定時制を確保したシステムである。東京BRTはそのシステムを活用した上で、臨海地域に集積する東京オリンピック関連施設とその後の交通インフラ確保のために整備されるものです。
  運行は、京成電鉄グループの京成バスとその新子会社「東京BRT」が運行する予定。車両は、トヨタ自動車製の水素自動車「SORA」といすゞ自動車のハイブリッド連節バス「ERGA DUO」を新たに導入して運行する予定です。

↓トヨタ自動車製の水素自動車「SORA」(東京BRT公式HPより引用)
img-facility3



2.運行ルート
(以下、この項目はオリンピック延期決定前の情報をまとめています)
 豊洲市場の移転延期などもあり環状2号線が開通遅れが生じたことから本来2020年に予定されていた東京オリンピック時はプレ運行として、虎ノ門ヒルズのバスターミナルから新橋や勝鬨を経由し、オリンピック関連施設の集積する晴海までの一路線の予定されています。
 オリンピック後の2020年9月以降は、①虎ノ門〜新橋・勝鬨・豊洲市場・東京ビッグサイト経由有明テニスの森行きの幹線ルート②虎ノ門〜新橋・勝鬨・晴海・豊洲駅経由豊洲市場行きの晴海豊洲ルート③新橋〜勝鬨の勝どきルートの3路線を予定されています。
 またオリンピック選手村の一般分譲後には、選手村方面の路線や東京駅方面などへの延伸計画があります。



3.オリンピックが延期になり、コロナでプレ運行も・・・・?
 以下は、管理人の個人的見解が含まれます。
 4月上旬に、IOCや組織委員会は東京オリンピックの1年間の延期を発表しました。これにより東京BRTの開業スケジュールにも大きな懸念が生じました。
 まず、直近の課題から見ていきましょう。5月24日にはプレ運行と称して、前項で書いたように虎ノ門〜晴海までの路線を開設予定でした。しかし、現状では緊急事態宣言は引き続き出されており、5月中に解除される目処も立っていません。東京BRTの公式HPには、4月30日付で
東京BRTプレ運行(一次)は5月24日(日)の運行開始に向けて鋭意準備を進めているところでございます。しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきまして、当社としても状況の推移を注視しているところです。今後、運行方針に変更が生じた場合には、あらかじめ公表させていただく予定です。
と発表されています。5月9日現在も追加の発表はない状況です。これについては、政府が緊急事態宣言の解除判断日の今月14日以降も宣言継続なら延期となる可能性が大きそうです。仮に継続とならなくても何らかの自粛要請が出ればその場合も延期となると思われます。オリンピックも延期となり大規模な需要も当面はないことから当面はプレ運行延期でいいかもしれません。

3-1.オリンピックが来夏に開催される場合
 しかし、長期的に見れば大きな問題が既に起こっています。仮に来夏にオリンピックが開催された場合、少なくともオリンピック選手村の一般分譲は大幅に遅れることになります。これにより、当該地区の住民利用を当て込んでいる選手村ルートや東京駅方面への延伸は当面は未定となるでしょう。とはいえ、 オリンピックが延期の上でも開催されれば、1~2年の遅れでスケジュールを進めればいいかもしれません 。(もちろん分譲期間まで間が開くため選手村線以外の路線も一部の期間は空気輸送状態かもしれませんが・・・。)
 
3-2.オリンピックが中止の場合
 さらに問題なのは、オリンピックが完全に中止になった場合です。当然のことながら、新型コロナウィルスの世界的な流行が来夏に収束してるとは限りません。中止になった場合、選手村の一般分譲は大揉めに揉めるでしょう。そうなると、22年運行開始など到底不可能です。さらにオリンピック中止の首都圏経済への打撃は計り知れません。当て込んで設備投資をしている会社は軒並み経営が傾くでしょう。となれば、臨海地域の人口増加や再開発どころの騒ぎではありません。その場合は、東京ビッグサイトや東京客船ターミナルなどへの都心アクセス路線の①幹線ルートくらいしか採算ラインにのる路線がないと思われます。(晴海経由豊洲市場線は既にゆりかもめがあるため奪い合いになるから)非常に困った状態になります。


4.まとめ
 京成バスとしてはいくつかの競合に競り勝って獲得した大型案件です。きっと社を挙げて取り組んでいたことでしょう。営業所の改築や車両増備などの大型投資をしています。少なくとも、来年夏にオリンピックがあれば何とかなるかもしれません。オリンピックがなければ、抜本的な運行形態の変更が求められることになり、それに失敗すれば お荷物になりかねません。結局のところ私たちは自然には勝てません。今は感染拡大が止まることを祈り外出自粛をして東京オリンピックの開催にこぎつくしかないのです。