『阪神電鉄物語〜電鉄と阪神タイガースのあゆみ〜』岡田久雄著 JTBマイロネBOOKS
著者は1943年生まれ、朝日新聞を2003年に定年退職された方。
(あまりにも同姓同名が多いので本題に入る前に記しておく)
同書が刊行された2003年は、阪神電鉄は阪急東宝グループとはまだ無縁だった。
その後、村上ファンドによる乗っ取り騒動があり、
対抗策として事実上阪急の傘下に入り、
阪急阪神ホールディングスの子会社となっている。
そうなる前、阪神電鉄は経営的に超優良企業と評価されていた。
働く場としても、少なくとも阪急グループの企業よりも高待遇だったらしい。
同級生が阪神電鉄バスの運転手をしていて、表に出せない話を聞いている。
もとい、
本書の表紙に「球団経営に成功した鉄道会社」と銘打たれている。
球団を持っていた鉄道会社は、阪急、南海、近鉄、東急、西鉄など。
しかし、現在は阪神のみである(西武は鉄道ではなく流通)。
阪神以外は、いずれも身売り・解体されている。
パリーグだったせいもあるかもしれないが、
セリーグにしても読売巨人に乗っかって集客していたと言える、
阪神を除いては。
球団としても優良企業と言える。
これほどサポーターの多い企業は類をみないと言えば言い過ぎか。
ただ、鉄道会社としては「地味」である。
著者は私鉄経営のパイオニアとしての阪急との違いを
「小林一三を欠いた」ことだと述べている。
阪神電車とタイガースについてとてもわかりやすくまとめている良本。