変わる交通の常識③新幹線の未来は? | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

これまで日本では新幹線やリニアの整備は続けられ、今も続いている。また新規建設計画もある。人口減少やIT化で移動需要は減れば、新幹線などの利用も減るのではないかというのが俗説としてあったが、人口減少でも、IT化でも直接人と人が会うことの大事さは変わらないのは常識だし、むしろネットでビジネスチャンスが増えれば対面での商談などの出張は増えるという見方が優勢となりつつあった。また展示会やコンベンション、シンポジウムや学会などは年々盛大さを増し、人々はIT時代だからこそ直接会いたい、実物を確かめたいという欲求にかられると思われていた。また音楽やエンタメもCDなどの売り上げを競う時代は終わり(DL配信もあまりもうけが出ないだろうし)コト消費といって直接アーティストやアイドルや声優などのステージをその場で自分自身の目に焼き付けるとか、会って握手するなどの欲求が年々ましてきた。観光は言うまでもない。画像や動画では飽き足らず現地に足を運ぶ体験を消費することが求められているしそういう体験を売ることを企業や自治体は熱心に売り込んできた。そして、移動して直に会ったり体験するニーズはむしろ増しているから新幹線も既存の路線は利用客数が年々うなぎのぼりであり、地域活性化の切り札として新幹線やリニアのない地域にも整備することの重要性を感じる人が近年は多かった。(昔は「狭い日本急いでどこに行く」的な冷ややかな見方があったが消えた)そう今までは…。

 

私は医学者ではないのでパンデミックがいつどう落ち着くかはわからないが、終息の兆しを見せても以前ほどは生のコミュニケーションや体験こそが至高と皆が考えて移動する欲求にかられないかもしれない。もちろん今のように出張や観光やイベントがタブーの時代は未来永劫続かないかもしれないし、来年再来年は自粛ムードのままでも5年後や10年後にはさすがにまた人々が出張や観光やライブ参加などをする動きが復活しているだろう。しかし、保守的な日本の企業社会でもいったんテレワークを金とコストをかけて新たに導入すると、それで会議や商談打ち合わせなどがオンラインでも問題なくできると以前と同じように気前よく出張に経費を使う時代が終わるだろう。スポーツの試合やライブ公演は観客動員するにも警備スタッフの人件費とか会場を借りる料金とかお金がかかるし、今ライブ中止の代替として無観客映像の無料配信をしているがそういうのに慣れる人が増えるとタダで楽しみたいという人が増えると、観客動員しての興行開催の損益分岐ラインが上がり客を入れての開催ができる機会はいまよりは減るのは間違いないだろうし(小さいライブハウスなどは全滅かもしれない)。人は目的があって移動する。だから会社であれ個人であれ新幹線などに高いお金を払い時間を金で買って移動していたが、新幹線移動の目的になる会議や商談や催し事はみんな「3密」で「濃厚接触」のリスクがある場所や事柄だと思うようになってしまった。また、人の交流を官民こぞって奨励してきたが今は一転して移動すること時代がリスクだからするなと言わんばかり。いつかCOVID19の危機が収まるにしてもこういう風に価値観を短期間に変えさせられた記憶は人々から消えないだろうなぁ。そうなるとお金と時間をかけて移動しなくてもIT技術で済ませられるものは済ませる風潮になるだろう。もちろん前述しなくなるように人がまったく仕事などで人と会いに行かないわけにもいかないだろうけど、それは現場仕事的なものでクルマで移動するだろうしホワイトカラーの会議や打ち合わせや商談などは減るだろうし、新幹線の需要はもう減るし決して増えないだろう。エンタメも、まったくライブなどを会場で生で楽しむことを人々は全くあきらめないだろうがお金に糸目をつけず新幹線やホテルなどにお金をかけて推しのアーティストのライブなら全国のツアーを完全制覇するという動きはなくなるだろう。行っても交通費のあまりかからない地元公演に1回だけ、それ以外は映像配信やBD商品を楽しめばいいという具合になるだろうと思う。

 

このパンデミックが収まらなければ文化だけでなく文明が近代以前へ逆戻りしかねないのでなんとかみんなが奮闘するだろうが、戻ってもエンタメ文化享受の水準は悪ければ60年代、あるいは70年代や80年代、よくて90年代程度に逆戻りは避けられないと思う。そのころまでは今ほど新幹線や飛行機などもIT化が進まず初心者が今よりはるかに予約をやりづらい気軽でない乗り物だったし、そのため今までのように金と暇さえあればライブやスポーツ試合もあちこちに毎週末ごとに遠征するような人はおらず、地元に推しのアスリートやチームやアーティストや芸人やアイドルや声優が何年に一度か来るのを(結局来ない時もある)首を長く待っているのが当たり前だった。今は昔とはIT化でだれでも楽に開催情報を知りチケットが取れ違いはあるが興行をする側、パフォーマンスを演じる側も開催する機会は以前よりは減るだろうし、参加する機会も減るだろう。TVラジオなども地方の局は今のように東京や大阪からレギュラーコメンテーターが毎週来ていた(もはや過去形か)ことは少なく、東京などからの有名人のゲストも今ほど気軽にこれず電話出演やカメラ映像出演が多かった。自分は二昔前、今でいう推しの声優が地元局のラジオ番組のパーソナリティをしているのはその声優が毎週地元に収録に来ているのかな?と思っていたがそれは東京支社のスタジオでの収録だった。かつてはそんなもんだった。近年は本当に気軽にいろいろな人が東京からあちこちに生で出演したり収録に来ているが…。個人的に、エンタメ文化享受の水準が後退は避けられないが元通りにならなくてもなんとか80-90年代の水準にはなってほしいと思う。それくらいならうけ入れられると思う。エンタメや観光やビジネスで移動して直接会って体験を享受できるレベルがそれくらいに踏みとどまってもやはり新幹線の需要は今より減るのは間違いないだろうからなぁ。物流に役に立つ高速道路や空港(空路)や港湾と違い(かつては細ぼそと小荷物輸送はあったが)実質的に人しか運べない新幹線は建設にも高コストで、車両は高いから既存路線の維持も楽ではなくなるし、今までは一列車に大量の人を運べるから施設や車両は高価でも利益を生み出しやすいと言われていたが列車を運行する旨味がななりかねない。インバウンドも元通りにはならないだろうし、既存路線も維持が難しくなるとましてや新規路線の整備にはブレーキがかかるだろう。新幹線が地域の競争力を決める切り札だと言ってきそって誘致合戦をし、開業を喜ぶ今までの常識も変わるだろう、