チェコのプラハの旅の続きです。
ムーステク駅からプラハ地下鉄A号線に乗ってマラー・ストラナ駅(マロストランスカー駅)に向かいました。
地下鉄車両はシーメンス製でした。
共産主義の頃の冷戦時代に作られたプラハ地下鉄は市民の核シェルターの機能を持っていました。
このため、地下鉄は地中の深いところを走っています。プラハ地下鉄は、駅によっては日本一深い「都営大江戸線の六本木駅1番線(地下42.3m)」よりも深い地下52mのところにプラットホームが作られています。
この当時のロンドンやパリの古い車両よりも近代的だったプラハ地下鉄です。
マラー・ストラナ駅(マロストランスカー駅)に着きました。
【追加画像です】
『ゆうさん』からコメントをいただきましたプラハ地下鉄の81-71M形車両です。
扉が閉まったところです。
ちょっとブレていますが、『ゆうさん』のご指摘のとおり旧ソビエト連邦で製造された車両をリニューアルして使い続けている車両でした。
ロシア、ウクライナおよびポーランドでも同形の車両が活躍しているようです。
【追加画像はここまでです】
駅構内のエスカレーター移動には時間がかかります。
マロストランスカーで偶然目にしたプラハ市電91系統で動態保存運転が行われているレトロトラムです。
電動車は412号でした。
マロストランスカーから徒歩でレテンスカ通りに入り、トラムの路線に沿って坂道を登っていきました。
坂道を下ってくるタトラカーです。先頭車が金太郎塗りの車両でした。
この金太郎塗りの車両はT3のタトラカーの中央部分を低床式に改造した車両のようです。
聖トマーシュ教会の近くにあるプラハ市電の名所になっている隘路区間です。
この建物の下の単複線(ガントレット)区間をトラムがくぐり抜けていくところです。
建物の奥に向かって去っていくプラハ市電です。プラハ市電の運転台は片側にしかなく終端にあるループ線で方向転換を行います。
ガントレット区間を走るプラハ市電「シュコダ14T」です。
ガントレット区間を走るタトラカー(タトラT3)です。
この区間のプラハ市電は運行本数も多く、撮影しやすい場所でした。
分岐器を使わずに複線のレールを単線の幅まで詰め寄せながらも、レールは合流せずに並行のままのガントレット区間のレールです。
隘路区間の西側です。左側が聖トマーシュ教会の建物です。
ガントレットの奥にあるマロストランスケー・ナームニェスティー電停から1日乗車券を利用してガントレット区間を1往復半しました。
その乗車時にトラムの最後部の窓から撮影したガントレットの画像です。
レールがほぼ重なる区間に入っていくところです。
少しだけの隙間を保っていますが、レールそのものは合流しません。
ガントレット区間が終わるところです。
プラハ市電の車内の様子です。
トラム軌道の信号回路により対向のトラム(窓の左側)が信号待ちをしています。
車外から見た同形式の「シュコダ14T」です。
【参考画像】
現在の日本の鉄道の営業路線(側線などを除きます)では、ガントレットは絶滅しています。
これは認可されなかったというよりも、ガントレットが日本の鉄道技術者に好まれなかったということのようです。
玉川電気鉄道の二子橋で(1966年まで)用いられていたほか、名鉄瀬戸線本町駅構内で1976年の旧線廃止(栄町乗り入れによる路線変更)まで使われていました。
名鉄瀬戸線本町駅が、この橋の下にあった名古屋城外堀の本町橋です。(2006年9月)
一説によりますと、「瀬戸電気鉄道(瀬戸電)」開業時の名古屋城には陸軍第3師団が置かれており、「戦車などの重量車両を通すために本町橋の支柱間の幅を狭いままにした」と言われています。そのために、「瀬戸電」はやむなくガントレットを用いたとされています。(2006年9月)
似たような話として、陸軍第16師団(京都師団)が淀川水系宇治川の京都演習場(渡河訓練場)の訓練の妨げになるという理由により奈良電気鉄道(現在の近鉄京都線)の「澱川(よどがわ)橋梁」は当初の設計では橋脚数が6本だったものを、陸軍第16師団により無橋脚化という過酷な条件が提示されたため現在の形になっています。(河川の部分を無橋脚にして工事を着手した後の陸軍省決定では河川の中の1脚だけは認めるという回答だったそうです)
名鉄瀬戸線の路線変更前の堀川駅の跡地です。(2006年9月)
昔の「瀬戸電」は、瀬戸で生産された陶器類などを、ここまで電車で運び、この堀川駅で堀川の舟運と連携していたそうです。
愛知県瀬戸市の瀬戸蔵ミュージアムに保存されている名鉄750形です。電車の行き先が昔のままの「堀川」になっています。
2018年6月に瀬戸市で撮影した画像です。
日本では珍しいガントレットですが、欧州のトラム(路面電車)では、よく使われています。
(1)オランダのアムステルダム市電
オランダ人はトラム車両のギリギリのところを歩きます。見ていて怖いぐらいです、
トラム車内から見たガントレット区間です。新しい車両でも曲線のところでガクンと大きく揺れますので車内からの撮影はやや困難です。
アムステルダム市電でした。(2015年5月)
(2)ドイツのベルリン
ベルリンのボルンホルマー橋を走るM13系統のトラムです。(2015年9月)
(3)ロンドン郊外のトラムリンク
名鉄瀬戸線にあったガントレットに一番似ているのがロンドン郊外のトラムリンクです。
ロンドン郊外のトラムリンクのミッチャム駅付近のガントレットでした。(2016年9月)
(4)ドイツのケーブルカーのガントレット
欧州なでのケーブルカーでは、こういうタイプの3本レールのケーブルカーが結構あるそうです。
これもまた、ガントレットの一種です。
ドイツのヴィースバーデンにあるネロベルク登山鉄道のケーブルカーの例です。中央のレールを2つの車両が共用で使う形になっています。(2018年10月)
(つづく)