君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

JR常磐線、ついに全線運転再開 (4)新たなる日常、新たなる特急ひたち

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品川~仙台間での運転を開始した特急ひたち。公開した動画のタイトル画像から

東日本大震災による津波と、その後の原発事故によって寸断されたJR常磐線

2020年3月14日、あれから9年の月日を経てついに上野~仙台間の全線運転再開を迎えました。

3月13日から15日にかけて、富岡駅付近を中心にその様子を見てきましたので、順にお伝えしていきたいと思います。

静かな朝、そして穏やかに運行される列車

全線運転再開の興奮の中で過ぎ去った初日とうってかわって、3月15日は落ち着いた静かな朝でした。

 

この日は富岡駅から6:51発の下り列車で仙台へ向かい、仙台から上野まで特急ひたち14号に乗車します。

朝の上下の初発を撮る時間はあるので、何度も撮影した海沿いの富岡川付近に向かいます。

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曇りから雨になった3月14日と違い、この日は見事な青空。

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富岡駅の上にはまだ月が残っていました。

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雲の向こう、水平線から太陽が昇ります。

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数分もすればあっという間に雲の上へ。

 

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そして、富岡駅6:02発の原ノ町行きが出発していきました。

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次に原ノ町からやってきた、富岡駅6:12発のいわき行き。

前日に降ったらしい雪で、山の上の方がうっすらと雪化粧していて、それが朝日に照らされているのが印象的でした。明るさと希望に満ちた、新しい日常の始まりだと感じました。

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前日・当日と、いろいろな動きがあった富岡駅ともしばらくお別れです。

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帰り道、朝の美しい風景がよくていろいろスナップしまくっていました。

ホテルに戻って荷物を揃え、チェックアウトして富岡駅へ。

今回は、平日を含む3日間の旅行であり、この日の特急はえきねっとの「トクだ値」(乗車券込みでの10%割引)で予約していたので、「週末パス」などの企画乗車券は使っておらず、普通の乗車券での移動です。

したがって、仙台までの普通乗車券が必要なのですが、3月14日から使えるようになったSuicaは、途中の浪江~小高間がエリアの境目になっている*1ため今回は使えません。

それならばときっぷ売り場を見てみると、近距離きっぷの券売機と、窓口機能が付いた指定席券売機が1台ずつあります。

近距離きっぷで買えるのは1,690円までの範囲で、仙台の手前、東北本線に合流する岩沼駅まで。

そして指定席券売機はまだ稼働しておらず、9時からの稼働(窓口機能は10時から)とのことでした。おそらく、特急の発着時間帯に合わせての稼働なのでしょう。

つまり、直接仙台まで移動できる乗車券は入手できないわけです。

途中駅まで適当に買って精算してもいいのでしょうが、それもいろいろ面倒なので、とりあえず乗車駅証明書を発券機で入手して列車に乗ります。

原ノ町で、「東京とつながる鉄路」への期待を見る

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富岡駅のホーム。改めてよく見ると、乗車位置目標は直前になって貼られたのか、貼り付け位置を示すテープがまだ残っていました。

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列車から見る富岡町の町並み。まだ国道沿いの施設など行けていないところもあるし、ここから大熊町へのバスも出ているので、また訪ねてみたいと思っています。

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浪江までの最後の運転再開区間。その風景を撮影していた方は夜ノ森で下車し、その後に来た方は陽光を遮ってしっかりと前を見つめていました。

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浪江駅は島式ホームの2番線に到着。向かいの3番線には、3月13日まで原ノ町方面に折り返す列車が発着していましたが、そちらは柵で塞がれていました。

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原ノ町に到着した列車は、折り返し水戸行きになりました。ここでの「水戸」の表示も、全線運転再開を感じるシーンです。

とりあえず駅を出て、みどりの窓口乗車駅証明書を提示し、富岡~仙台の乗車券を購入します。

そして、待ち時間の間、改札前を色々と見ていました。

原ノ町駅は、周辺の文化に詳しくないのですが独特の雰囲気があります。

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改札横に掲出されていた、全線運転再開にあたってのメッセージ。

常磐線の全線運転再開は、JR東日本が社を挙げて統一的に祝うというよりも、沿線のそれぞれの地域がそれぞれの受け止め方で迎えるという感じが、沿岸部の町を結んでいく常磐線らしいと思いました。

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3月なので、こうして豪華な雛飾りが展示されていました。

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地元の方々で作られたという吊るし雛も飾られていました。

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その一番下には、常磐線の全線運転再開を祝うメッセージが。

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「行くぜスカイツリー」「電車に乗って孫の所へ うれしい」

原ノ町から見れば、常磐線の全線運転再開は、東京への鉄路がつながった、ということになります。そこに込められた期待に、鉄道が持つ力を改めて感じさせられます。

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駅舎の外側にも、こうしてメッセージが掲出され、花が飾られていました。

そして、8:02発の仙台行きに乗車し、仙台へ向かいます。

仙台駅に戻ってきた在来線特急

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仙台駅で特急が発車するのはすべて6番線。そのホームへ続く階段には、特急ひたちをPRする大々的な装飾がされていました。

仙台から見れば、東京へは新幹線があるわけですから、それよりも常磐線沿線をアピールする形になるのは確かにそうだなあ、と思いました。

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白石、原ノ町、愛子、山形といった近郊の駅名の中で、「品川」の文字が際立ちます。

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こちらは改札口の発車案内。

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発車の30分ぐらい前にはすでに入線していました。ただ、ドアが開いたのはもう少し遅くて、発車の10分ぐらい前だったのではないかと思います。

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車内では、3月14日までの経緯や、沿線の名所などを紹介する新聞紙風のチラシが座席背面のポケットに置かれていました。

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「戦い」という言葉に、除染がいかに困難な作業だったかを感じさせられます。

 

特急に乗った上で、その特徴を伝えるにはどうしたらいいのか、と考えた末、初めての試みですが、車窓動画を撮ってみることにしました。

画質的にだいぶ拙いのですが、時間があればご覧いただければと思います。

画面左側に、駅名一覧と現在地を示すポインタを置いてあるので、それを参考に、気になるところだけ見ていただいてもいいかと思います。

個人的には、仙台-相馬間の動画の6:17~9:00の部分、車掌さんの到着時刻の案内が、いかにも運転開始2日目という雰囲気で、動画にしてよかったと感じています。


【常磐線全線運転再開】特急ひたち14号 仙台→相馬 (2020.3.15)


【常磐線全線運転再開】特急ひたち14号 浪江→広野 (2020.3.15)

新しく運転を始めたいわき~仙台間で、もっとも特徴的なところはどこだろう、と考えてみると、まずは仙台近郊を各駅停車ではなく特急として相馬までびゅんびゅん飛ばしていくところと、やはり最後の運転再開区間を含む浪江~広野間だろうと思い、その2区間で撮影してみました。

動画ではなかなか見つけづらいですが、沿線で特急の姿をじっと見守る人、子どもさんを連れて手を振る人も多く見られたのがとても印象に残りました。

久ノ浜駅付近~いわき駅も撮影はしているので、そのうち公開するかもしれません。その際はここに追記します。

 

以上で、3月13日~15日の常磐線の訪問記は終わりになります。

結局、今回は夜ノ森・大野・双葉の各駅は訪ねられなかったので、それは宿題として残ったという感じです。

今の状況が落ち着いたらではありますが、また訪ねられる日を楽しみにしています。

 

3月14日、全線運転再開の日の様子は下記の記事をご覧ください。

a-train.hateblo.jp

運転再開前日の651系常磐線代行バスのラストランについては、下記の記事をご覧ください。

a-train.hateblo.jp

a-train.hateblo.jp

*1:常磐線は上野から浪江までが首都圏エリア、小高から仙台までが仙台エリアで、両者を跨ぐ利用はできません。