[ 国立公園鉄道の探索 ]
松山~今治間 ( 予讃線 ) 亀老山展望公園
( 瀬戸内海国立公園 )
松山駅から今治へ向けて、予讃線に乗ります。
堀江~粟井間、大浦~浅海間、浅間~菊間~伊予亀岡間では、瀬戸内海国立公園の海域に沿って走る区間があります。
堀江から粟井にかけて、斎灘と接して走ります。この日は、上空に寒気が入っているのでアッという間に雲が出来る時間もありました。
瀬戸内海には、島が密集しているところと、海がかなり広がっているところがあります。松山から今治にかけての区間からは、比較的島々は遠ざかって見えます。
浅海から菊間にかけては、小さな岬が海にせり出す部分もあり、ところどころでトンネルを潜りながら進みます。
菊間~伊予亀岡間では、太陽石油のプラント群に接近しながら通り抜けます。
太陽石油のタンク群は、上空からもよく見えます。その先の水面も「瀬戸内海国立公園」の海域にあたります。
波止浜~今治間では、瀬戸内海国立公園の飛地・近見山の側を走ります。
今治駅へ到着しました。
折角ここまできたので、これから「しまなみ海道」随一の展望台と称される「亀老山展望公園」へ行ってみたいと思います。
今治から車で西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の来島海峡大橋を走ります。
これでも、たまにはハンドルを握ることもあります。
この道は本当に素晴らしかった。都内の道などは、危なくて走れたものではないのですが。
ドライブが、これほど魅力的な時を提供してくれるとは思いませんでした。
来島海峡の対岸、大島の降り口で西瀬戸自動車道を降りて、島の山道を辿り「亀老山展望公園」へ到着しました。
標高307.8mの山頂に、展望台があります。
瀬戸内海航路の要衝・来島海峡と来島海峡大橋が見渡せます。
亀老山展望公園には、いくつかの展望スペースがあります。
西側の風景を眺めます。来島海峡の北東側の入口にあたる、今治市の津島が望めます。
平山郁夫画伯の「しまなみ海道五十三次スケッチポイント」のオブジェがあります。
美しい光沢を放つ花崗岩の石柱の中に陶板が組み込まれています。
この花崗岩は、伊予の銘石・「大島石」とのことです。秀麗なスケッチは、青磁の輝きを誇る銘石に縁どられています。
スケッチポイントは、このあたりになりましょうか。
東海上を見渡せる展望台もあります。
来島海峡大橋を渡り、今治方面へ引き返しました。サービスエリアの展望台から、大島の亀老山が望まれました。
こうしてみると、来島海峡は、島と島の間隔も狭く、風景は素晴らしいですが、船乗りには緊張を強いられる海域と感じられます。
来島海峡大橋は、大島側から、第一大橋(橋長960m)、第二大橋(橋長1515m)、第三大橋(橋長1570m)の3連の長大な吊橋から成り立っています。
このうち、第二大橋と第三大橋(一番四国側の吊橋)は、海面から橋桁まで65mあり、この下が主要航路となっています。
そこは、有名な「順中逆西」と呼ばれる、世界的にも珍しい、海流の向きにより左側通行と右側通行が入れ替わる、独特の航路が設定されています。
四国と大島の間には、馬島という小さな島があります。四国~馬島間の第三大橋の下が「西水道」、馬島~大島間の第二大橋の下が「中水道」と呼ばれています。
船が潮流に乗って、つまりスピードが出る状態で航行する場合は、短く屈曲の少ない「中水道」を通ります。
潮流に逆らって航行する場合は、四国側の「西水道」を通ります。
従って、海峡の潮流が「南流」する場合と、「北流」する場合では、航行する水道が変わることになります。
鉄道なら、「閉塞区間」が設定されそうなところですが、船の場合は、そういうわけにもいかず、この日も南北に進む船が、整然と二つの航路に分かれて行き交っておりました。
改めて、来島海峡と亀老山を眺めます。
その後、今治から東予へ移動して、瀬戸内海の風景を眺めてみました。最近は変わりましたが、瀬戸内海国立公園成立時は、標高150m~250m程度の高さから眺めるのが理想的とされていました。陸地に点在する国立公園指定区域の飛地は、展望価値が見いだされた場所で、この東予地区もその展望地の一つです。