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       PHOTO:近鉄名古屋駅の特急列車発着ホームに停車中の12200系



 近畿日本鉄道の特急車両・12200系[新スナックカー]は、1970年に開催される大阪万博の輸送の任に当たるため、1967年に誕生した12000系[スナックカー]を基本とし、化粧室レイアウトの見直しやスナックコーナーの拡大などを盛りこみ1969年から1976年にかけて168両も増備された、近鉄の看板特急車両です。

 登場以来、汎用特急車両として活躍してましたが、喫煙室の問題等もあり2020年度末までには特急運用から外れることについて発表されました。「特急運用から外れる…」という言い方からすると、臨時列車などには使用されそうな感じですが、華やかな特急車両として活躍しているうちに…ということで、相当早いですが惜別の乗車に行ってきました。




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①名古屋(840)→五十鈴川(1030) 831列車 急行
 12200系に乗る!といっても、どの列車に充当されるのか?ということがわからなかったのですが、どうやら「喫煙車の無い編成が12200系らしい…」というあやふやな情報と自分の運の強さを信じて、鳥羽駅を11時40分(名古屋駅を9時50分に発車する鳥羽行き特急の折返し運転になると思って…です。)の特急に乗るために鳥羽駅に向かうことにし(先回りして写真を撮りたいために…)、名古屋駅からは8時40分に発車する五十鈴川行きの急行に乗車して終着の五十鈴川駅に向かいました。






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②五十鈴川(1049)→鳥羽(1101) 普通
 五十鈴川駅からは賢島駅行の普通列車に乗車して鳥羽駅に向かいました。






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③鳥羽(1140)→名古屋(1317) 1102列車 特急 12600系4連+12200系(12233F)4連
 鳥羽駅に名古屋駅を9時50分に発車した特急列車が到着しました。予想していたとおり、8両編成のうち名古屋駅方の4両が12200系ということで、急ぎ指定席券を購入し、その後、写真撮影を行ってから車内へと入ります。


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                           PHOTO:鳥羽駅に到着する12200系・特急列車
                       ※昔ながらの紺色とオレンジ色の後部4両が12200系です。





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           PHOTO:近鉄特急のシンボルでもあるヘッドマーク





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           PHOTO:12200系は昔ながらの幕表示です。





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           PHOTO:ク12233とク12702の連結部





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          PHOTO:12200系の運転席 意外と狭いんですね…。



 車内に入ると薄いピンク色のリクライニングシートがずらっと並び、いかにも「特急列車」という感じはします。ただ、シートを含めた車内全体のアコモ改造を施してはありますが、最近の特急列車に比べるとシートピッチが狭い…とか充電用のコンセントが無い…ことなど設備的には正直劣りますね(まあ、これは致し方のないところですね)。ちょうど同じ年代にJRの185系がありますが、やはり185系も現代の特急として考えると設備的に及第点を与えることは難しいと思いますので12200系も同様ではないかと個人的には思いました。

 また、今回は先頭車両に乗りたい…ということで、あえて1号車を選んで乗車したのですが、どうやら1号車は以前喫煙車だったようで、かなりタバコのきつい匂いが残っていますので、たばこの匂いが嫌いな人は1号車以外を選んだほうがいいかと思いました。



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               PHOTO:12200系の車内





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         PHOTO:クッションも厚く、リクライニングも十分なシート





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          PHOTO:座席番号表示は字が大きくて見やすいです。





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      PHOTO:車内は間接照明でこの部分は現在の車両にも通じるところです。





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            PHOTO:改造により洗面台は出入口の脇に…





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        PHOTO:トイレが両側に2か所(洋式と和式)があります。





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         PHOTO:車内の出入口には荷物置場も設置されています。




 鳥羽駅を発車した12200系特急は伊勢市駅まではゆっくりとした速度で走りますが、その後は特急らしい胸のすくような速度で進んでいきます。

 さて、この12200系[新スナックカー]ですが、そのネーミングどおり、初期増備車については12000系[スナックカー]よりも拡大されたスナックコーナーが設置されていたのですが、営業上の問題などの理由に12221F編成からはスナックコーナーの設置が見送られ、また、設置されて初期車についても、その後の改造工事によりスナックコーナーが撤去されていますので、今や名前だけの[新スナックコーナー]ということにもなります。

 12200系特急列車は伊勢市駅と伊勢中川駅から大勢の乗客を乗せ後、今までの西から進行方向を北に変えて名古屋を目指して進んでいきます。
 12200系にしばらく乗っていて気がついたことは、車内が意外と静かだなということと、乗り心地が非常に良いということです。もともと近鉄はJRよりも線路の幅が広いこともあり安定した走りが自慢なのですが、それが車内の静粛性と乗り心地の良さにも繋がっているということなんでしょうね。この点はJRの185系とは雲泥の差…といったところでしょうか。



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         PHOTO:菜の花畑を見ながら特急列車の乗車を楽しみます。 



 その後も12200系特急は快調な走りで進み、白子駅、近鉄四日市駅、桑名駅と停車したのち、定刻どおり近鉄名古屋駅に到着しました。古い車両なので乗車した後で「もう乗りたくないなぁ…」と思うのではないかと思っていたのですが、この静かな車両なら名古屋⇔大阪間でも十分乗車に耐えられるなぁ…と思った次第です(乗る機会があるなら次は1号車以外で…)。

 なお、名古屋駅に到着したところ、何人もの鉄道ファンが12200系の撮影をしていましたので、もしかすると引退が近いのかも…(?)

 

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           PHOTO:JR貨物塩浜駅を見ながら進んでいきます。





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                  PHOTO:最後の停車駅は桑名駅です。





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        PHOTO:近鉄車両の引上げ線が見えてくると間もなく近鉄名古屋駅に到着します。
     ※旧塗装の12200系を見る機会は多いのですが、乗るとなるとなかなか難しい…







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           PHOTO:名古屋駅に到着した12200系特急列車


 
 10000系ビスタカーや21000系アーバンライナーの陰に隠れた存在の[新スナックカー]ですが、近鉄特急網拡大の最大の立役者であることは間違いない事実だと思います。
 この12200系は2020年度中に特急運用からは引退となりますが、この12200系を改造した団体専用列車[新あおぞらⅡ](15200系)や、クラブツーリズム専用列車[かぎろひ](15400系)は残るようですので、乗車のハードルが高そうですが、今度はこちらの乗車にもチャレンジしたいと思います。



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        PHOTO:この列車への乗車はちょっとハードルが高そうです。

【乗車日:令和 2年 3月29日(日)】鉄道コム