スカ色の115系が都市部と思しき高架線を走っています。
まぁ、説明する必要は無いとは思うんですが、115系が走る線は中央快速線です。しかも、臨時列車ではなくて定期列車になります。
昭和国鉄世代ならともかく、最近のお子ちゃま鉄道ファンにしてみれば、「えっ!? 中央快速線に115系が走ってたの?」 と驚きの様相でご覧になっているかもしれませんね。
「山スカ」 と親しまれた中央東線の普通列車。過密ダイヤの快速電車に混じって新宿発着があり、民営化後も辛うじて残っていましたが、今は東端が立川になって都心乗り入れはいつの間にか無くなり、そして115系から現在は211系に代替わりしたようで (もう、統一されたのかな?) 、やはり快速電車の合間を縫って都心を走るのは困難だったんでしょうね。
新宿を出発すると、快速や特別快速が停まる駅でも颯爽とスルーして、最初に停まるのが立川だったようです。つまり、中野も三鷹も、ましてや国分寺も通過していたということになります。そして今も昔も特別快速は立川以西が各駅停車になりますが、3扉の普通電車は日野も豊田も西八王子も通過し、高尾から先は本来の普通列車となって大月、甲府、小淵沢、塩尻、松本方面へ向かいます。
このような 「種別は “普通” だけど、 “各駅停車” じゃない」 という現象は常磐線や東北・高崎線、東海道線でもありまして (関西地区でもありましたね) 、早い話が 「4扉と3扉は違うんだぜ」 ということです。国鉄時代は4扉と3扉の格差というのがありまして、当然、4扉の方が格下。今は常磐線も東北・高崎線も東海道線も4扉になっちゃったんで (っつうか、バージョンこそ違いますがほぼほぼ同じ車両ですしね) 、その格差は無くなった感がありますが、それだけ都心乗り入れ車両は3扉では対応しきれなくなった証しになります。しかも、4扉車になったことで3扉車では一部を除いて当たり前だったボックスシートじゃなくなっちゃったし、近い将来、 「近郊形車両」 というカテゴリーは消えちゃうかもしれませんね (辛うじて、JR西日本の221系、223系、225系がまだこのカテゴリーを使っているみたいですが) 。
さて、画像をよくよく見ると 「437M」 と列車番号が読めます。実際に中央東線に437Mは存在しまして、昭和55年当時の時刻表を紐解くと、437Mは新宿を14時45分に出発し、前述の通勤電車走行区間は通過しまくって、高尾から先は延々各駅に停まっていきます。ただ、東山梨、別田、東塩尻は通過していますね。そして松本に到着するのは21時過ぎ。所要時間6時間余り。さすがに新宿-松本間を乗り潰す人は、よほどのヲタか旅好きの人の何れかだと思いますが、この6時間余りの所要時間には当然、停車時間も含まれます。例えば大月駅で4分、甲府駅では23分、小淵沢駅で4分、上諏訪駅で18分、辰野駅で12分、塩尻駅で6分と、まぁ停まりまくり。この他にも時刻表に記載されていなくても特急や急行の通過待ち絡みで停車時間が長いところがあるかもしれません。それと新宿駅なんですけど、入線時間が13時48分で発車が14時45分ですので、約1時間も発車を待つことになります。これじゃ死ぬわな。 「通過駅が多いからこれに乗ろう」 と思って乗ったら、実は快速の方が早く着いちゃったりするケースもあるでしょうしね。
113系と115系では113系の方が好きな私。ましてやスカ色の115系は 「近寄るなっ!」 的に敵視していました。勿論、今はそんな偏見は消えていますけど、前述のように国鉄時代から過密ダイヤだった中央線 (快速線区間) で、3扉の電車はある種、のんびりとした列車だったのかなという気がします。
【画像提供】
ヶ様
【参考文献・引用】
時刻表 1980年12月号 (日本国有鉄道 刊)
JR時刻表 2020年2月号 (交通新聞社 刊)