西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【赤穂線訪問記】岡山と兵庫県西部を結ぶ生活路線。

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午前7時前。JR西日本岡山駅「東口」改め「後楽園口」駅前広場。

遠来の旅行者で、岡山駅付近において山陽新幹線や山陽本線の線路と直角方向に延びる、路面電車が走る駅前通りが、

実は東(姫路方向)を向いていることを知っている人は、少数ではないでしょうか。

駅出口の呼称もそんな実態を反映して変更されたようです。

 

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さて今回は岡山駅3番線を7:21分に発車する播州赤穂行に乗車し、

当ブログでは初訪問となる赤穂線方面に向かいます。

 

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岡山駅を発車した赤穂線方面の電車は、しばらく山陽本線を上り方向に進み、約10分で東岡山駅に到着します。

 

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JR赤穂線は、岡山県備前市・兵庫県赤穂市などを通り両端の東岡山と相生で山陽本線と接続する路線です。(地図下)

写真の路線図では南に大きく迂回しているように見えますが、実際には北に迂回するルートの山陽本線より数km短く、その意味では山陽本線のバイパス路線とも言えますが、

路線図が示すように赤穂線は途中駅が多く、全線単線で行き違い待ちもあることから、山陽本線経由より時間がかかり、

バイパス路線としての機能はほとんど果たしていません。

 

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赤穂線は西の岡山都市圏と東の姫路都市圏の利用が多く、真ん中の区間は少ないという特徴があります。

それに合わせ列車の本数も、西寄り・東寄りの区間は1時間に2本程度、中間区間は1時間に1本程度となっています。

 

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3面4線という珍しい配線の東岡山駅。

左から赤穂下り、山陽下り、赤穂上り、山陽上りとなっています。

岡山から乗ってきた列車は、ここでしばらく停車し、

単線の赤穂線からの下り列車と平面交差となる山陽本線の下り列車の到着を待って発車しました。

 

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7:46。西大寺駅。

岡山への通勤通学などの需要が多い駅で、駅の乗車人員は1日約3600人。

赤穂線では播州赤穂についで利用者が多い駅となっています。

駅名になっている西大寺は、会陽(裸祭り)で有名な寺院で駅から徒歩10分の距離にあります。

 

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7:57。長船駅。

日中は岡山から赤穂線に入る列車の半数がここで折り返し、この先、姫路の都市圏に入る播州赤穂までは1時間に1本の運転となります。

 

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香登駅付近では山陽新幹線、国道2号線と併走。

赤穂線は国鉄時代に建設された路線としては比較的新しく、

相生から播州赤穂間が昭和26年に開通したのち西への延伸を繰り返し、

この付近を含む東岡山までの全線開通は昭和37年となっています。

山陽新幹線の岡山開通は昭和47年のことです。

 

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8:12。岡山から約50分。備前市の中心に近い西片上駅で下車しました。

 

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ホーム西端にある駅舎の前に植えられたら桜は3分咲程度まで開花が進んでおり、春の訪れを感じさせます。

 

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駅舎の前は備前の市街地を通っていたものを付け替えたと思われる国道2号線が通っています。

主要国道らしく多くの大型車両がかなりの速度で行き交っていました。

 

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国道の騒音さえなければ至って静かであろう待合室。駅は無人化されて久しいようです。

 

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待合室にあった駅周辺案内。

小さいですが、右から2番目の写真の下には「旧片上鉄道ゼロ起点」とあります。

 

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駅から南へ5分程歩いて地図の場所に到着。スーパーの駐車場の脇に機関車の動輪らしきものが置かれています。

 

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この付近(ゼロ起点の場所にあったわけではありません。)には岡山県東部を南北に結ぶ片上鉄道というローカル私鉄の起点片上駅がありました。

 

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片上鉄道は片上駅から山陽本線の和気駅を経て吉井川沿いを北上、柵原に至る33.8km路線を有していました。

旅客輸送のほか柵原鉱山からの鉱石輸送も盛んでしたが、

鉱石の減産やモータリゼーションによる旅客減少により、平成3年に路線廃止に至っています。

現在、片上鉄道の軌道敷の一部は自転車道として整備されているほか、

残念ながら交通機関でアクセスすることは困難ですが、

柵原の一つ手前「吉ヶ原」駅付近では駅舎と片上鉄道の車両が保存されているだけでなく、

月1回、日を定めて片上鉄道保存会の皆さんによる片上鉄道の軌道を利用した数百メートルの保存運転も行われています。(来訪者も乗車することができます)

 

 

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ゼロ起点の横はバスターミナルになっており、

赤穂線と平行する岡山行のほか、片上鉄道の輸送を受け継ぐ和気駅行の備前市営バスも発着しています。

 

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8:37。西片上駅に戻り、やってきた下り電車で岡山方面に一駅逆戻りします。

 

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8:40。3分の乗車で隣の伊部駅に到着。

 

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伊部駅舎は地場産品である備前焼の展示室やギャラリーを備えているほか、

 

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駅に隣接して備前焼ミュージアムもあります。

 

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駅周辺は備前焼の窯からつづく煙突が多く見える一方、スーパーや金融機関など日常生活を支える施設も多く、

赤穂線の電車が1時間に1本となる区間でも沿線の市街化が進んでいる印象です。

赤穂線の北を通る、鉄道の世界では格上の山陽本線の東岡山~相生間の大半が田園風景であるのとは対象的です。

 

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9:09。伊部駅から再び上り列車に乗車。

 

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途中駅からの鉄道連絡路線を失った赤穂線ですが、海に面した日生駅からは香川県小豆島の大部港への航路が、所要時間60分、1日5便、片道1050円で運行されています。

大部港から島内のバスに乗り継いで土庄港まで行き、高松行のフェリーや高速船に乗り継ぐ周遊ルートも楽しそうです。

 

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日生駅前の港で出航を待つ大部行フェリー。(車内から撮影)

 

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日生駅から2駅の備前福河駅。

備前は岡山県東部の旧国名です。

 

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駅周辺地域は、赤穂線日生以東の開通から8年後の昭和38年に岡山県和気郡から兵庫県赤穂市に越県合併されていますが、

合併に際して駅名の変更は行われなかったため、

岡山の旧国名を冠する兵庫県内の駅として知られるようになりました

駅名に旧国名が付されるのは、駅開業時にすでに同名の国鉄駅が存在していた場合が多いのですが、

筆者の調べでは他に福河を名乗る駅は見あたらず、

なぜわざわざ備前という旧国名を付したのか疑問が残ります。

写真の駅看板を見ると「住民の長年の念願がかない兵庫県赤穂市に・・」とあり、

岡山に留めようとする勢力との確執があったように見えなくもありません。

 

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9:39。伊部駅から30分で赤穂線最大の拠点で兵庫県赤穂市の中心に位置する播州赤穂駅に到着。

路線の途中ですが、岡山方面からの列車はすべてここで終点となり折り返します。

赤穂線のダイヤは非常に特徴的で、

全列車が播州赤穂駅で乗り換えとなり、東岡山から相生までの全区間を走破する列車は1本もなく、

また全ての列車が西の東岡山では岡山駅方面に、東の相生では姫路駅方面に直通し、線内のみを走る列車も1本もありません。

 

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全ての列車が折り返すのは姫路方面からについても同じです。

9:43。折り返し播州赤穂発姫路行で赤穂線の東のターミナル相生へ向かいます。

 

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播州赤穂を出て、坂越・西相生と停車しトンネルを抜けると、

北から東岡山で別れた山陽本線と山陽新幹線の高架が近づき、

合流地点にある相生駅に到着します。

 

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9:55相生着。

列車はこの先山陽本線に入り姫路方面へ直通しますが今回はここで下車。

山陽本線岡山方面の電車に乗り継いで、上郡→佐用→津山と進みました。

つづきはこちらです。

 

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