[ 国立公園鉄道の探索 ]
梅津寺( ばいしんじ ) 伊予鉄道高浜線
( 瀬戸内海国立公園 )
四国 松山の伊予鉄道高浜線は、終点高浜駅の一つ手前の梅津寺(ばいしんじ)駅付近で、美しい海辺を通ります。
梅津寺駅は、海と接する駅です。その海は、瀬戸内海国立公園の海域に指定されています。背後の島・興居島(ごごしま)も国立公園指定区域です。この島の最高峰・伊予小富士(282m)は目立つ山で、古来海を行き来する人から松山のランドマークとされてきました。
今回は、松山駅近くの大手町駅から、伊予鉄高浜線に乗りました。
目的地は、梅津寺ですが、松山の伊予鉄といえば、やはり大手町駅近くの軌道線と鉄道線の平面交差、この鉄道名所は見逃せません。
軌道線・伊予鉄大手町線の市電が待機している道路を高浜線の電車が横切ります。
歩道には遮断器がありますが、車道の反対側にはないんですね。
松山駅方面から松山城方向に向けて、伊予鉄モハ2100形低床路面電車が高浜線の線路をクロスします。
「私は群れないイワシです」
路面電車の上部・オレンジ色の部分にこう書かれています。松山市 「ことばのちから実行委員会」主催の「だから ことば大募集」で入選した「ことば」が記されています。
正岡子規、高浜虚子、夏目漱石、錚々たる文人にゆかりのある町らしい試みですね。「ことばのちから」を発信する役割も路面電車は担っています。
今度は路面電車の乗り場に移動して、ダイヤモンドクロッシングとも呼ばれる平面交差を眺めてみました。
松山駅を背後に松山市行の路面電車が進んでいきます。軌道線も鉄道線も同じ1067mmの軌間ですから、綺麗に直交します。
高浜線の駅に入り、平面交差地点を望みます。車を運転する人も心得たものです。
大手町駅から高浜に向かって次の駅・古町駅付近でも、もう一度軌道線と平面交差します。今度は斜めに跨ぎます。
西衣山(にしきぬやま)~山西間では予讃線の線路の下を潜ります。さすがにここは「平面交差」とはいかなかったようです。
港山駅を出ると、いよいよ海辺へ出ます。遠くに三角の伊予小富士が見えます。
海と接して走ります。波が迫ってきます。防波堤はありますが、乗り越えてくるのではないかとも思われました。
波に追い立てられるように、渡り線を通って山側へ移動しました。
本来高浜行の電車は海側の1番線に着くのですが、荒天で波が高い時は、山側の2番線が使用されます。
駅の方に、1番線にいってよいかどうか聞きましたところ「いいですよ」とのことでしたので1番ホームへ行ってみました。
大型船が海峡を進んでいくのが間近に見えます。海と接する駅、それが実感できる瞬間でした。
丁度この日(2020年3月15日)の満潮時間(12時40分)にあたっていました。冬型の気圧配置が一時的に強まり、上空には寒気も入り、北西風
が強い日でした。本当に海に近い駅です。ダイナミックな海景色を望めました。
梅津寺駅の港山駅側の踏切から、渡り線を眺めてみました。
踏切を渡ると、浜辺へ出ます。
この堤防によって線路は守られています。
今度は、高浜駅側の踏切を渡り、梅津寺駅と背後の山を眺めてみました。山の上には展望台があるはずですが。山裾に樹木に覆われていない斜面も見えます。
その山へ近寄ってみました。山崩れが起きたようです。このため展望台への道は閉鎖されていました。
一見穏やかそうな瀬戸内地方も、厳し自然環境下に置かれていることを知らされます。
松山市方面へ向かう電車がやってきました。
躍動する水面を眺めながら梅津寺を後にします。
このあたりでは、車内は空いていたので、一番前から一番後ろまで移動してみました。
線路脇に菜の花が咲いているところもありました。(西衣山~衣山間)