伊豆方面の特急列車の世代交代を伴うダイヤ改正が迫っていますが、3月1~2日が休みだったので特急「スーパービュー踊り子」などを利用して伊豆を旅してきました。

行きは、大宮発伊豆急下田行きの「スーパービュー踊り子1号」に赤羽から乗車。

スーパービュー踊り子の251系は、今度の改正で新型のE261系「サフィール踊り子」を実質的な後継とする形で引退になります。また、大宮発着便は臨時扱いながら年間の大部分の土休日に設定されていましたが、改正後にはサフィール、一般の踊り子ともに記載がなく、今後も臨時列車として継続するのか、一切なくなるのかは不明です。

スーパービュー踊り子1号は赤羽発8:10ですが、乗降に時間がかかるため早めに到着。

指定券を買った時点で残席僅かでしたが、車内に足を踏み入れるとガラガラで一瞬ビビりましたが、次に停車した池袋、新宿である程度の乗車がありました。
スーパービュー踊り子は、新宿を出ると武蔵小杉、横浜に停車。団体客のキャンセルがあったのか20人分くらいまとめてごっそり空いてしまった一角はあるも、キャンセル多発で壊滅的にガラガラという事態ではなかったのに安心しました。

そして今回の席は4号車だったのですが、隣の5号車には売店があるので覗いてみました。最近はこういった設備をなくしてしまった特急も多いし、伊豆方面の定期特急では251系スーパービュー踊り子だけの設備ですが、やっぱりこういうのがあると有難いですよね。サフィール踊り子では「ヌードルバー」という形で本格的な食堂車へとグレードアップしますが、全席グリーン車だと少々乗りづらい列車になるのは否めませんね。
売店にはビールが並んでいましたが、どうも朝から飲む気が起きなかったりで、結局パン1個だけ買って食べました。

その後は熱海まで無停車ですが実際には運転停車が数回あり、熱海からは伊東線に入り、次は伊東に停車。
ちなみに首都圏電車特定区間での駅ナンバリングは本来だと大船までですが、観光客への対応で伊東まで延長され、東海道線の続番で伊東までナンバリングがあります(他だと千葉~成田空港で横須賀・総武快速線の続番で行われたり、中央線で大月まで延長されましたね)。
東京から近くても例えば大宮より先の各駅は一切ナンバリングがないだけに、何とも不思議な感じです。

伊東から伊豆急線内に入ると、観光地など主要な駅にこまめに停車し、3時間強で伊豆急下田に到着。各種運行障害による遅れや運転打ち切りなど不測の事態を心配しましたが、そういう事態は起こらず定刻通りに到着できました。
そして、スーパービュー踊り子の乗り納め目的の人も多かったようで写真撮影している人もおそらくいつも以上に多かったと思われますが、マナーの悪さは目立たず(若干名いましたが)、いわゆる「罵声大会」のような警戒していた悪質マニアの狼藉もなく非常に平和でした。

伊豆急下田駅で改札を抜けた後は寝姿山に上るために駅構内の観光案内所で下田ロープウェイの切符を買い、そのまま駅前の道路向かいにあるロープウェイ新下田駅に行きました。
直営ではないけど伊豆急グループだからか、車両のデザインは伊豆急の豪華観光列車「The Royal Express」に合わせたものとなっていました。

そして駅ナンバリングはここにもありますが、両端の2駅しかないのに何故か番号が「SR001」「SR002」と無駄に3桁なのが面白いです。私のようなお節介が好きな架鉄屋は、この番号3桁分も有効に活用できるよう勝手にロープウェイの延伸線を妄想したくなります(100駅も作ったら、一体どこまで行ってしまうのやら・・・)。
山頂ではまず展望台からの景色を見ました。ここから伊豆諸島は近く、大島や利島などは霞んでいたけどしっかりと見えました。

次いで石割楠、愛染堂、五島慶太顕彰碑を見ました。
顕彰碑は、五島慶太(1882~1959)が率いた東急グループの手で伊豆急線が作られて地域の発展に貢献したことを称える内容で、彼が後世にまで名を遺す近代の日本では有数のカリスマ経営者であったことや伊豆半島の人々の悲願であった鉄道開業を実現させたことへの感謝の気持ちがよく分かりますが、そこに彫られた「五島慶太は伊豆とともに生きている」という文言のせいか何故かカルト宗教か独裁国家のスローガンのように見えたのは、私だけでしょうか?
寝姿山ではこのほか、蓮杖写真記念館、黒船見張所跡も見学しました。

昼食はロープウェイを下りてから、ロープウェイ乗り場そばにある地元の回転寿司店「下田にぎりの太助」という店に入りました。
回転寿司ではあるけど地元の店なので、リーズナブルながらも地元ならではのものが食べられるしで、なかなかいい店だったと思います。
ここでは特になめろうが人気のようだったので私も注文しました。なめろうといえば房総半島が有名ですが、こちらでも割とよく見かけましたね。
食後は下田市内を散策。

喉の神様と言われている「こうせん塚」、新田御陣屋跡、海善寺などを見て宝福寺に立ち寄りました。
ここは、幕末期ここに滞在中の山内容堂に勝海舟が来山し坂本龍馬の脱藩の罪の許しを乞い許されたという出来事の舞台になった場所であるほか、ほぼ同じ頃に下田で芸妓をしていて後に総領事ハリスに仕えるも、若くして非業の死を遂げた「唐人お吉」(斎藤きち)の墓がある場所です。最初は両者にどんな接点があったのだろうと思ったのですが、ここで2つの出来事があった時期がほぼ同じ(お吉の死は明治に入ってから)というだけで両者に特に接点はないそうです。
寺の入口には坂本龍馬像があるほか、唐人お吉記念館という資料館も併設されています。

その後は八幡神社、下田文化会館に展示されている船の錨や幕末の大砲、なまこ壁の古い商店、下田港クルーズ船「黒船サスケハナ」の乗り場などを見てから駅に戻りました。当初の予定では伊豆急下田発の普通列車で2100系「リゾート21」を充当するものに乗るつもりでしたが、港に長時間居座り過ぎてしまい間に合わず、結局諦める羽目に。

さて、最近各地で自由に弾くことができる街角ピアノが流行っているようですが伊豆急下田駅にも置いてあり、何人か演奏している人がいましたがプロ級の腕前の人が結構いましたね。

そして伊豆急下田から普通電車で河津に移動。
こちらは東急で使われていた8000系で、伊豆急入りにあたって海側の座席がクロスシートになったりトイレが設置されるなどの改造が行われています。

トイレ設置にあたって貫通路の狭幅化はしていなく、広幅貫通路でトイレが設置されている車両は初めて見ました。

クロスシートは西武10000系で改造時に不要になった発生品を流用していて、扉間の7人掛けロングシートがあった部分に無理矢理8脚分のクロスシートを詰め込んだように見えるのですが、座ってみると意外にも詰め込まれた感はなく思ったよりも快適でしたね。
ちなみに乗務員室周囲の外板にコルゲートがないものは先頭車化改造車で、そのうち「クモハ8152」だけ種車が8500系ですが、8000系と同じ前面形状なので判別は難しいし、今回発見できませんでした。


185系「踊り子」の発車後に普通列車は出発。途中では対向列車の待ち合わせがあったりもしたのですが、稲梓でスーパービュー踊り子の待ち合わせで止まった際に駅の下の方を見ると、集落を囲うように咲いている菜の花がきれいでした。

河津は桜がほとんど散ってしまったのが残念でしたが、桜並木の橋を渡ったところにある栖足寺に立ち寄ったところ、ここがなかなかいい感じの寺でした。
また、今回行ったときは運行時間外で終了していましたが、トゥクトゥクによる無料散策などもやっていたようです。

河津の散策を終えた後に今回泊まった熱川温泉に移動。

今回の宿は伊豆熱川駅前にある国民宿舎伊豆熱川荘です。見るからに古く事前に口コミを見てもそういう点の指摘が多かったので覚悟はしていましたが、古さに関しては口コミ通りで想定内でしたし、窓の閉まりが悪いなど老朽化が気になる箇所も多かったのですが、ロビーに昔の温泉宿の定番だったゲームコーナーがあってレトロな感じが面白かったり、客室は全て海側に面していて景色がよかったりと、古いけど味のある雰囲気は良かったと思います。

温泉櫓もあちこちにあり、勢いよく湯気が噴出していました。
今回は朝食のみというプランにしたので夜は自分で食べるところを探したのですが、一休みして18時頃に外に出て海の方に坂を下っていくと、温泉街に店舗らしき建物は多いのに空き家が目立つし、現在営業している店舗も閉店が早くて既に閉まっていたりで、開いている店がなかなか見つからず焦りました。

焦り始めたところで灯りのついている店を見つけたので近づいてみると、残念ながら飲食関係ではありませんでしたがこれまた昭和レトロな雰囲気の射的場ではありませんか!但し客の姿はないし、店員らしき人の姿もなく無人だったので、写真だけ撮ってスルーしてしまいました。
日曜の夜というせいもあったのでしょうがあまりに寂しすぎましたし、今はそんな状態ですが店舗らしき建物は非常に多いし近隣に大型のホテルも沢山あるので、昭和時代から遅くともバブル期くらいまではおそらく今の姿からは想像もつかないくらい多くの観光客で賑わっていたのではないかと推測されます。

そして少し奥まった場所に「やぐら」という居酒屋を見つけたので、ここに入ることにしました。
周囲は開いている店もなく真っ暗でしたが、この店は地元のおじさんたちで賑わっていました。カウンターと座敷合わせて20人入れるか入れないかくらいの小規模な店で、赤提灯と木目の壁がこれまたレトロで渋い雰囲気でいい感じの店でした。

そして店の周囲には猫が数匹入り浸っていて、ガラス越しではありますが猫が寄ってきたりもしました。ドアを開けるとすぐ逃げてしまうのですが、猫との出会いがあったのもよかったですね。
飲んで帰って一休みし酔いを醒ました後は、温泉に入って早めに寝ました。
(2日目に続く)

今回の日記、その他写真は、こちらにもアップしております。
(1)http://blog.livedoor.jp/silkroad_vx/archives/5573034.html
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