2019年9月25日(水)


ふらっと出かけた近場旅。

今回の行き先は、奈良の飛鳥。


飛鳥と明日香の違いが気になるところですが、明日村のホームページによると一般的に定着しているのは飛鳥で、明日香は昭和31年の合併で生まれた村名とのこと。

漢字が伝わる前からこの地は「あすか」と呼ばれており、飛鳥や明日香の他にも安宿や阿須賀などの漢字が当てられています。

飛鳥を「あすか」と読む理由ですが、飛ぶ鳥の枕詞が「あすか」だからと伝えられています。



朝のラッシュが落ち着いた頃、まずは近鉄の阿部野橋駅にやって来ました。

阿部野橋から吉野行きの急行に乗り、村の西に位置する飛鳥駅を目指します。


車内はロングシートの両端に乗客が座るほどの少なさで、のんびりとした空気が流れています。



秋の飛鳥と言えば、彼岸花です。

田んぼの畦道に沿って咲く真っ赤な花は、初秋の代名詞のひとつ。

例年、農村の原風景に咲く彼岸花を目当てに多くの人が訪れます。


秋分の日の前後だけに花を咲かせることから、名付けられた彼岸花。

この年は開花が遅れていたようで、例年なら彼岸の頃に満開ですが、彼岸終わりのこの日でようやく咲き始めでした。



阿部野橋から続く高架は、大和川を渡りきると地上に降り、列車は古墳を避けるようにクネクネと走ります。


古市駅では、長野線が分岐。

また、古市には南大阪線系統を走る全車両が所属する車庫があります。



古市駅を出て西に向きを変えるとすぐ、大和川支流の石川を渡る。


空にポコポコと白い雲が浮かびますが、一日晴天の予報。

暑さも和らぎ、絶好のお出かけ日和にウズウズしっぱなしです。



次第に、辺りが山越えの風景に変わりました。

列車は大阪と奈良の県境を成す、金剛山地の北をかすめていきます。


窓の外を眺めたいのですが、朝日が差し込んで眩しいや。



山を越えると、奈良盆地が広がりました。

線路は御所市へと、金剛山地に沿って南下します。


阿部野橋を出た直後はガラガラだった車内も、橿原神宮前駅に着く頃にはいつの間にか立ち客が出ていました。



出発してからおよそ40分、飛鳥駅に到着。

大手私鉄の駅で唯一村にある駅ですが、意外にも有人駅です。

何なら、特急も停まります。



広々とした駅前です。

彼方此方では、ハイキングに参加する年配の方々で列が出来ていました。


「ようそこあすかへ!」の看板が示す通り、飛鳥はかかしで有名です。

毎年9月には、かかしコンテストが開かれます。



ハイキングの列の横を通り過ぎ、駅前にある「明日香レンタサイクル」で電動自転車を借ります。

料金は上がりますが、目的地である彼岸花で有名な稲渕の棚田へ向かうには電動自転車が必須です。

(ホームページに割引クーポンがあるので要チェック)



自転車を漕ぎ出し、さっそく寄り道。

近鉄沿いを南下して、隣の壺阪山駅へ。

壺阪山駅と市尾駅の間に、彼岸花ポイントがあるのです。



清々しい青空の下、こうべを垂れた稲穂の中を走る列車を数本見届けました。


彼岸花の赤に、普通列車の赤。

色は違えど同じ赤、どちらも良いアクセント。



秋らしい風景を撮れたので、一先ず満足。


でも折角の良い風景なのに、技術の方が疎か。

機会が勿体無いので、さっさとカメラの勉強をしないとなぁ...と呟く。



戻り道は国道を一本外れて、古い町並みをゆるゆる走る。

道は土佐街道で、高取城の城下町です(土佐は高取の旧名)


昔ながらの町屋が並び、さながら過去へタイムスリップしたよう。



辻には地図が設けられ、カカシたちが案内してくれます。

最初は、人影かと思ってビクッとしました。


ちなみに高取城ですが、日本国内では最大規模の山城で、日本三大山城のひとつに数えられます(残るは、岡山の備中松山城と岐阜の岩村城)



自転車で走っていると、ちょくちょくカカシたちに出会うのが案外楽しいです。

ここは、えらく賑やかでした。



小高い山を登りきったら、四神の館に到着。

ここは、かの有名なキトラ古墳の壁画保存管理施設です。


ちょうど天井(天文図)と西壁(白虎)公開期間でしたが、事前申込制だったので今回はスルー。



キトラ古墳は小さな円墳で、埋葬者については分かっていません。

石室内には四神・十二支・天文図の壁画があり、四神の図像全てが揃う古墳壁画はここだけと、近くにある高松塚古墳と並んで貴重な史跡となっています。


故にキトラ古墳と言えば、保存状態が悪化して度々ニュースに取り上げられた印象です...



現在、壁画ははぎ取られ施設に保存されています。

2019年には、壁画が国宝に指定されました。

石室も、調査が終わったため埋め戻されています。


建物内には、実物大で再現された石室のレプリカが展示されていました。

感想は、思っていたより小さかったです。



天井には、天文図が投影されています。

なるほどこれが世界最古の天文図かと、いにしえの夜空を見上げる。



再び、ペダルを漕ぎ出します。

すぐに道は下り坂となり、上がるスピードに少し緊張しながら風を切って走る。



そして、稲渕の棚田へと再び山を越えます。

山の斜面には、みかん畑が続いていました。


見晴らしが良い場所なので、たっぷりと太陽の光を浴びているのだろう。

今は葉っぱの緑に紛れているが、収穫時期になると綺麗なオレンジ色がたくさん実るのかな。



次回も引き続き、飛鳥をサイクリングです。

ではではノシ


その②へ



追伸...

新型コロナウィルスが流行しているので、しばらくは外出を控えるつもりです。

ちょうど過去の旅が溜まってきているので、良い機会だと割り切ってブログで消化していきます。

ホントは、すぐにでも出掛けたいんだけどね。

こればかりは、しゃーないです。