残存数は殆ど皆無に近い、三菱ふそうエアロクィーン・W。

貸切のお下がりで高速路線に転用した例はいくつか散見しますが、最初から高速路線仕様で採用されたのって、私の記憶が確かならば、JRバスグループ (関東、東海、西日本) と阪急バスと、そしてこの京阪バスだけじゃないでしょうか。JRバスが大量に導入したことから、高速路線としても活路を見い出すのかと期待を大きくしたのはいいんですが、すぐに後輪二軸のエアロクィーン・Mが登場しちゃって、こっちが高速路線仕様の本命に位置づけられてしまったことから、ホントに限られた採用例になってしまいました。まぁ、文字通り、高速道路では 「水を得た魚」 の如く、最強エンジンに物を言わせて本領を発揮したのですが、峠道とかカーブが連続する区間では一気に “でくの坊” と化してしまい、現場の評判はそれほど高くは無かったと聞きます。だからこそ、高速路線バスに使うのが一番適していると思うのですが、コスパ的にはSAⅡやAQMの方が明らかにリーズナブル。SAⅡはともかく、AQMに搭載される8DC11エンジンは、AQWの8DC9T6エンジンと比べても遜色ないパワーですし (8DC11が355PS、8DC9T6は380PS) 、それでいてNAですし (8DC9T6はターボ付き) 、燃費的にも財布に優しいエンジンですし、いくらバブル経済真っ只中とはいえ、軍配はAQMに上がってしまいました。

 

でも、私はAQWの方が好きでした。

残念ながら、その当時は京阪神へ行っていないので、この勇姿は見られませんでしたが、もしお目にかかっていたら興奮しまくりだったんだろうな。

京阪バスのAQWは、北陸高速バスに投入されました。1988年の運行開始時から参入していたのですが、2011年に撤退しました。また、北陸鉄道も参入していましたが一足早く2007年に撤退しています。今は西日本JRバスの単独運行になっていますが、関西対北陸はJRの特急 「サンダーバード」 が絶対王者ですので、バスは夜行便を主体にして辛うじて命脈を保っているに過ぎません。

 

所有事業者:京阪バス (京都)

仕様・用途:都市間高速路線仕様 (北陸道特急バスに充当)

登録番号:京都22 か 4574

社番:A-1708号車

シャシー製造:三菱自動車工業

搭載エンジン:三菱8DC9T6型

車体架装:三菱自工名古屋

車両型式:P-MU525TA (T)

車名:三菱ふそうエアロクィーン・W

 

この画像はクラリオン社 刊 「HIGHWAY BUS Graphic」 から転載させていただきました。