まだ暗がりの朝4時頃に、ダンナとともに目を覚まし、そのまま床を離れた。

今日はいい天気になるのかなあ。
6時頃に日が昇ったようだが、なんか雲が多めに感じる。

ここではCNNもBBCも見られるが、どこのチャンネルの天気予報を見ても、もちろんフランスの放送局のも、日本はもちろん、その前年に行った香港に比べても、あっさりとしている。

実質、パリ観光の初日。
今日は、前回見られなかったルーブル美術館など、シテ島かいわいの名所を中心に回ろう。

8時頃、階段を下り、1階の食事場所へ。
朝食はブッフェスタイルで、私がチョイスしたのはパン2個(クロワッサンとペストリー)、絞りたてのオレンジジュース、やたら塩辛いハム2種類。
ほかにも、コーヒーやミルク、ゆで卵などもあったが。

このホテルについてのネット掲示板(日本語)を出発前にチェックしていたが、結構多くの人が「朝食が美味しい」と書き込んでいた。
だからそれなりに期待したのだが、期待したほどでは…。
でもパンは、甘めで柔らかいのが主流で、ここんとこは、日本人の好みをよく掴んでる気がする。

だからというわけでもないんだろうが、食事場所でやたら目につくのが日本人。
軽く見積もっても3~4グループはいる。
私と同じく、掲示板を参考にしたのか、それとも「地球のナントカ」なんてガイドブックにでも載っていたのかな。

8時半頃、そのまま外に出てしまう。
道が濡れていたことから、どうやら朝方にひと雨あったらしい。
あらためてホテルの周囲を見渡して、ダンナ曰く「なんか東京でいえば、上野の旅館街みたいだな」
そう、まさしくそれ。

ホテルは多いし、下町のような庶民的な雰囲気もあるし。

メトロの最寄り駅は2つあるが(いずれもホテルから徒歩5分)、今日は北側、7号線のル・プルティエ駅へ向かう。
なんかクレジットカードで切符が買えるという自販機もあったが、要領を得ず、結局窓口で「アン・カルネ、シル・ヴ・プレ」と私が言って、10枚1セットのカルネ(10.50ユーロ)を難なく購入。
でもこの会話文、確かラジオ講座のテキストにあったなあ…。

ここからルーブルまでは1本。ちょうど通勤ラッシュの時間帯。
4駅で目的地のパレ・ロワイヤル駅へ。

し、しかし、9時の開館前というのに、ランドマークのガラスのピラミッドの前には、すでに長い列が。
しょうがない。別の入口から入ろう、と思ってたところへ係員が誘導してくれて、無事に入館(料金は8.50ユーロ)。

まず最初に見学したのは、ルーブルが建つ遙か以前の太古の歴史を紹介するエリア。
ちょうど英語ガイド付きのグループがいて、性別・年齢ともさまざまな15~20人ほどのメンバーが説明を興味深く聞いている。

その一方で、日本の中学生とおぼしきグループも(えー、なんて贅沢な! と思ってしまった)同じ場所にいたけど、日本語のほうは説明もあっさり、一つ所にじっとしていられず、あわただしく動いてる感じ。
もちろん言葉とかよくわからなかったけど、私たちは英語グループのほうになんとなく同行する形になった。

そのままギリシャ、ローマへと進み、ついにイタリア絵画のエリアへ。
そう、あの「モナ・リザ」が展示されているところである。

予想されたことだけど、微笑みの美女の前はものすごい人だかり。
たくさんのデジカメやビデオカメラにさらされ、疲れて、すっかりやつれているように見えました、というのが私の印象。

その後、ミロのヴィーナスや、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」、ジェリコの「メデュース号のいかだ」など、有名どころはひと通り見た。

広い館内、歩き回って、疲れて、お腹もすいてきた。
どこで食べようかな。
そこで見つけたのが、ピラミッドの下、いったん出口を出たところにある「カフェ・ドゥ・ラ・ピラミッド」という大きなカフェテリア。

パン、サラダ、デザート、飲み物、メインなどが並び、好きなものを取っていくセルフサービス。
だいたい10ユーロくらいで、それなりにちゃんとしたメニューが堪能できる。

言葉を交わす必要がほとんどないのも、外国人観光客にはうれしい限りだ。
(そう、ルーブル美術館の展示品の表示って、ほぼすべてフランス語オンリーなんですよ。英語訳でさえ、添えられてない)

美術館を出ると、真夏の陽射し。
暑い。こんな日に限って、長袖シャツの私。
その前年(2003年)、日本は冷夏だったが、ヨーロッパは連日40度超の記録的な猛暑。
それに比べ、この年は涼しいって聞いてたから、長袖主体のワードローブを揃えてきたのに。ひたすら後悔。
「ゆうに30度は超えてんじゃないの?」

ルーブルに隣接したチュイルリー公園へ。
豪奢な建物をバックに、午後の陽射しを浴びる観覧車、木陰に並ぶ十数台のマウンテンバイク、噴水で遊ぶ水鳥、花壇と白い彫刻…。
まさに絵になる、パリの夏の風景。

午後1時半になっていた。次はどこへ行こうかな。
水辺の涼風に誘われ、セーヌ川の流れを見ているうちに、橋の向こうにあるシテ島へと歩を進める。

川には何艘もの水上遊覧船が行き交い、ほとりには人工ビーチよろしく、ヤシの木が植えられ、パラソルやベンチが並べられたプロムナードも。

シテ島にあるサント・シャペルは、13世紀半ばにルイ9世の命により建造された聖堂。
規模はそんなに大きくないが、パリ最古といわれるステンドグラスがあることで知られている(入場6.10ユーロ)。
中に入ったとたん、空が曇っちゃったんで、光にきらめくステンドグラスの輝きは見られなかったが、確かに見事といえば見事だ。

ついでといっちゃなんだが、前にも行ったノートルダム寺院にも足を延ばす。
相変わらずの人混み。入口には各国語で書かれた歓迎の言葉が掲げられているが、日本語は「よこそう」…何それ?

今もこの掲示あるかしら。
私は残念ながら写真を取り損ねてしまったんだけど、ネットや雑誌の投稿欄で、このネタを扱ったものを何回か見たので。
誰か気がつかないのか? それとも、あえてそのままにして、この手のネタ提供に貢献しているのかも。

前回以上に駆け足で、ステンドグラスなどもササッと見て、シャトレ駅からダイレクトに、夕方4時半頃にホテルに戻る。

昨日に続き、ツール・ド・フランスをテレビ観戦し、ルーブルのカフェテリアから持ち帰ってしまったパンや飲み物を口にしているうちに、ダンナは疲れて、ベッドでぐっすり。
そういう私もクタクタ。今夜はよく眠れそうだ。