コロナウイルスとインバウンドと | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

日本でもコロナウイルスの蔓延の影響がはっきりとイベント中止などで出ている。それ以前にも、今月初旬から中国人などの訪日観光客の減少という傾向はあったが、まさか国内ファン向けのライブイベントなども影響が出るとは。訪日客が減り、日本人向けのイベントやスポーツ大会も中止となると移動需要が一層冷え込み公共交通業界には大打撃だろう。目に見えた線路や沿線観光地などの被災がないのに東日本大震災以上のダメージがありそうではある。

確かに、今月は新幹線も乗っていて空席が目立つし、在来線特急にはこの頃のっていないが「ひだ」「しなの」等も空席を照会してみると指定席が「X」の列車がめっきり減った。用事でマイカーで移動する時に思ったのは高速道路も訪日団体を乗せた観光バスを見なくなったし、SAPAの駐車場も空きが増えたなということ。先日ののぞみ315号惜別乗車の帰りは神戸まで足を延ばして三ノ宮バスターミナルから高速バスで名古屋に帰ったが3連休の最終日なのに高速道路の渋滞はあってもさほどのものではなく定刻から20分程度の遅れで終点に着いた。今までなら1時間は遅れる想定をしていなければいけなかったのに…。

 

そして、コロナウイルスによる訪日外国人の減少は観光地の入り込みに影響を及ぼす。頭の古い人は外国人というといかにも「外人さん」といった感じの白い肌に金髪に青い目の欧米人を連想するが、訪日客を増やすのに役立っているのはやはり日本と近いアジア、中国で中国人がごっそり抜けた影響は大きい。欧米系の人はバックパッカーみたいに個人移動でわりと寺社や景勝地を好むが、アジア系の人は団体で商業施設や博物館・記念館といった施設の訪問が人気で、東海地方、特に愛知県の訪日観光ビジネスは手つかずの自然というより工場見学や企業博物館などをめぐる「産業観光」中心なので(広島などが欧米系の人に人気などと違い)アジア系の人の観光需要に支えられているので今回の武漢発のコロナウイルスパニックは影響が大きいだろう。先日蒲郡の某温泉旅館が潰れたことが全国ネットのTVなどのニュースでも話題になった。蒲郡の温泉郷は大昔は交通手段が未発達なので名古屋の奥座敷としてにぎわったが今はわざわざ名古屋から泊りがけで訪れる人はあまりいない。しかしここは聞くところによればゴールデンルートを西進するバスツアーの途中で泊まる宿として中国人団体を受け入れてから息を吹き返していたようで、しかし中国政府が団体旅行での出国を規制してからは契約している中国人向け団体の旅行会社からキャンセルされてしまったのが破綻の原因という。それほど今の訪日観光は中国人の需要が占める割合が大きい。産業技術記念館は去年の訪日外国人の来館者のうち36.2%を中国・台湾人が占めるとのことで(http://www.tcmit.org/wp-content/uploads/170ebe9890c4dbfb8081b0e89c19a7a1.pdf)ほかに韓国からが8%、タイからが7%。ここはトヨタ系の施設だから旅館のようにはならないのは当然とはいえ外国人来館者のうち中国を始めアジア系の来館者割合が多く、今年は結構厳しい館の運営となるのではないのだろうか。愛知県内のトヨタ関連施設ではトヨタ博物館などがあって、名古屋市内の産業観光施設だとトヨタとは畑違いの分野だがたとえば他にリニア・鉄道館があるがサイトではこういうデータを発表していない。しかし似たような傾向だろう。