みなさんこんにちは。前回からの続きです。

「近鉄特急で令和最初の伊勢志摩を巡る」と題して、先月に伊勢志摩を日帰りひとり旅した際の様子をシリーズでお送りしています。

 

 

ただいま、県中勢部の主要駅「松阪駅(まつさかえき、三重県松阪市)」 です。

 

先日からの記事でも触れておりますが、この駅には「近鉄電車 山田線」と「JR東海 紀勢本線(きせいほんせん)・名松線(めいしょうせん)」が乗り入れています。

 

 

改札は東西にあるのですが、市内中心部に近い「西口」へ出ます。「JR線側」の改札です。 

 

 

ただし、駅構内は一体化されているので、改札も「JR・近鉄」の共用。

「会社ごとの別改札」でもなく、中間改札などもない、全国的に見ても珍しい「共同駅」と呼ばれるものです。 

 

 

ところで、この「松阪駅」を含む区間、伊勢湾沿いの「名古屋~伊勢~鳥羽間」では「近鉄(名古屋線・山田線・鳥羽線)」と「JR(関西本線・紀勢本線・参宮線)」とは、互いに激しいライバル関係にあります。

 

互いにつかず離れずといった具合で並走していて、名古屋から県下の主要都市である「桑名・四日市・鈴鹿・津・松阪・伊勢・鳥羽方面」への輸送は、近年になって殊に競合が激しくなっているようです。 

 

 

頃合い良く?両社の運賃表を見つけましたので比較してみたいと思います。

まずは「JR線」、ここ「松阪駅」から「名古屋駅」までは「1690円」

 

ただし、同じ額の運賃が二段になって表記されています。この理由については後述します。 

 

 

そして「近鉄」、「近鉄名古屋駅」までは「1290円」

JRより400円ほど安いのですが、これは運賃のみなので「特急列車」を利用しようとすると、別途特急料金が「1340円」

都合、「近鉄特急利用」では合計「2630円」

 

ということでJRと比較すると、「近鉄特急を利用するしない」でおよそ「マイナス400円、プラス1000円」と、結構な差が生じます。

ただ、「松阪駅」の時刻表を見てみますと…

 

 

こちらは「JR線・名古屋方面」の時刻表。

1時間当たり2~4本程度の本数というのは、意外に少ないように感じられます。

「名古屋方面」へは「快速みえ号」(時刻表中、オレンジで時刻表示という列車が主ですが、日中では1時間1本の設定。

指定席が設けられているものの、2両編成の列車も多いという状況のようです。

 

名古屋駅までの所要時間は、約1時間15分。

 

さらに、「特急 南紀号(時刻表中、赤地白抜きで時刻表示)」も1日4本ほどこの駅に停車するのですが、これは「紀伊半島」を東からぐるっと南下して「熊野市」や「尾鷲」、県境を越えた「新宮」「紀伊勝浦」(和歌山県)を行き来する「名古屋・伊勢~三重県南部・南紀方面」へのアクセスに特化した列車ということで、「名古屋~伊勢間のみの利用」という概念ではないのかも知れません(自由席料金は「1520円」。)

 

名古屋駅までの所要時間は、約1時間10分。

 

 

そして、ライバル「近鉄」のものはというと…

「伊勢~名古屋方面」の特急列車は通称「名伊特急(めいいとっきゅう)」と呼ばれているものですが、県下の主要都市を経由するこの列車の需要は高いものがあり、1時間当たり2~3本の設定がなされています。

 

近鉄名古屋駅までの所要時間は約1時間10分。

 

それに加えて「急行列車」も、日中では1時間当たり3本の設定。

さらに、この駅始発の列車(時刻表中、黄色のマーク)が大半を占めるので、「着席チャンスが高い」という点も大きなアドバンテージのように感じます。

 

近鉄名古屋駅までの所要時間は約1時間30分。

 

 

と、あれこれ比較をしてみるのですが、所要時間・運賃や特急料金などで多少の差異はあるものの、殊に列車本数の点を鑑みますと、やはり「近鉄電車」の方が圧倒的に利便性が高いようです。

 

ただ「JR」利用の場合でも「名古屋駅」から先であれば、伊勢方面への運賃は通し計算になりますし、また「新幹線」からの乗り継ぎですと「特急 南紀号」の利用では、特急料金が割り引きになったりするので、出発地や目的地の違いによって使い分けが出来そうです。

 

 

ヤフー地図より。 

ところで、先ほど「JR線」の運賃表を見ている時に、同じ運賃が二段標記になっているということを述べました。

 

その理由というのは、松阪から先の津や鈴鹿、四日市周辺の地図を見ますとよくわかります。

左から「JR線(オレンジ矢印)」「近鉄(赤い矢印)」と路線がある中で、中央にもうひとつ路線が並行しています(青い矢印)。

 

これは「伊勢鉄道」という「第三セクター」の鉄道会社で、従来は「亀山駅(同亀山市)」を迂回していた路線を短絡させるために建設されたものです。先ほどの「快速みえ号」や「特急南紀号」は、直線が連続し、高速運転が可能なこの「伊勢鉄道」を経由していて、これらの列車で鈴鹿、四日市、名古屋方面へ向かうには「伊勢鉄道」の別運賃が必要なために、二重の運賃表記がなされていた、という訳です(偶然にも、この駅から「名古屋駅」までは、亀山経由・伊勢鉄道経由とも同じ運賃、1690円でした)。

 

このあたりの事情も、趣味的には興味深いものです。ちなみに「伊勢鉄道」はあの「鈴鹿サーキット」の最寄りを走っています。

 

 

ところで、「松阪駅」から北へほど近い「亀山駅(同亀山市)」から西の「関西本線」は、運営会社が「JR西日本」へと変わります。

 

運賃表を眺めていますと「甲賀(こうか)」「貴生川(きぶかわ)」や「草津」、さらに「大津」など、わたしにとっては見慣れた滋賀県内の駅名がたくさんです。

 

 

これを見ますと、「三重と滋賀、京都は隣り合う府県」ということをはたと思い出すのですが、山々を越えないといけないとは言え、意外にも伊勢から大津や京都は割に近いところなのだなとあらためて感じます。

 

ただし、滋賀・京都方面から伊勢方面への直通列車がJR線にはまったく存在しないというのは、列車が頻発しており、早くて便利な近鉄特急の存在というのが、やはり大きく影響しているのだなとも感じます。

 

次回に続きます。

今日はこんなところです。