【赤胴車】阪神武庫川線7861形,7961形・7890形,7990形がもうすぐ引退

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長年、阪神武庫川線(武庫川~武庫川団地前)で活躍した7861形・7961形、7890形・7990形が2020年度に引退することが明らかになっています。

これらの車両はクリームとバーミリオンの「赤胴色」をまとっており、昭和時代の阪神電車を今日に伝える貴重な存在でした。

レトロな阪神電車を追うべく、武庫川線にお出かけしました。

7861形,7961形・7890形,7990形の生い立ち

7861形・7961形

7861形・7961形は1966年に製造された阪神の急行系車両で、急行系車両のコストダウン車7801形・7901形をベースにしています。7801形・7901形は4両編成が一番短い編成ですが、7861形・7961形は2両編成でも運転できるように設計されています。7861形・7961形は1968年までに2編成8本、計16両が製造されました。

塗装は登場時から急行系の標準色であるクリーム、バーミリオンを採用。製造当時の人気アニメ「赤胴鈴之助」から「赤胴色」と名付けられました。現在、ほとんどの急行系の車両は新塗装となっているため、「赤胴色」をまとっている武庫川線の車両は大変貴重な存在です。

かつては6両編成で本線の急行系列車や西大阪線(現阪神なんば線)で使用されましたが、現在は武庫川線用として2両編成3本が残っています。

7890形・7990形

7890形・7990形は1編成2両しなく、7861形・7961形以上に貴重な車両です。もともとは3901形・3801形でしたが、1986年に4両編成2本から6両編成と2両編成に組み換えを実施しました。このうちの2両編成が7890形・7990形を名乗り、武庫川線用として活躍しています。

3901形・3801形は西大阪線延伸向けに1974年から1977年にかけて製造され、抑速ブレーキを採用したことが特徴です。他にも3901形・3801形を起源とする改造車がありましたが、2009年までにすべて廃車となっています。外観は塗装を除くと「ジェットカー」5001形によく似ています。

昭和時代の阪神が感じられる武庫川線

引退前の赤胴車を追うべく、武庫川線の始発駅である武庫川駅まで足を伸ばしました。昼間時間帯は2両1編成が線内を往復しています。筆者が訪れた日は7861形・7961形7866Fが担当していました。本線では見られなくなったクリームとバーミリオンの組み合わせが懐かしく感じます。

先頭部では、阪神電車黎明期から続く、バンドン型密着連結器が維持されているのも特徴的です。

阪神なんば線開業・近鉄との相互乗り入れに合わせて一般的な柴田式密着連結器への交換が行われましたが、武庫川線は運用が独立しているため、交換されずに現在に至ります。

戦前には多く採用例があり、1971年には製造がされなくなったこの連結器も、この車両たちの引退で国内では見納めとなります。

側面では戸袋窓にある棒パイプが目にとまります。冷房装置は1970年代から設置されました。

方向幕からわかるとおり武庫川線はワンマン運転となっています。ワンマン運転を開始したのは2000年10月のこと。それまでは前面方向幕は「普通」で、オリジナルの行先方向板を掲出していました。

車内は8000形と同じベージュ系となっており、座席は阪急電車に類似した緑色となっています。登場時は緑色の内装と赤色の座席でした。また、車椅子スペースも設けられています。

7861形・7961形における内装面の最大の特徴は片開きのドアです。かつて、本線を走る肩開きの急行系の車両が多数存在しましたが、現在では武庫川線でしか見られません。

運転台は昔ながらの2ハンドルです。7861形・7961形では真ん中に小型の運行表を差し込みます。

鉄道ファンなら運転台にある行先・種別表示機の操作盤にも注目です。「特急梅田」などの表示があることから、現在でも本線系の行先・表示幕があることがわかります。

武庫川駅の奥にはラッシュ時用の車両が留置していました。

武庫川線向けの新車(5513F・5914F)が留置されていることもあるようです。

ところで武庫川線を訪れたら、武庫川駅北側も確認してください。武庫川線の車両は北側に伸びる引き上げ線を利用して本線に乗り入れます。もともと、武庫川線は武庫川駅の北にある国鉄西ノ宮駅(現JR西宮駅)まで線路が伸びていたので、その名残と言えます。

今後の武庫川線はどうなる? 

昨年末に阪神電鉄が発表した「移動等円滑化取組計画書」によると、武庫川線で使われている車両は2020年度に引退させる旨が書かれています。

代替車両として5500系の改造車5513Fと5914Fが武庫川線向けに登場、同線内で試運転を行っており、5月末の営業運転開始も発表されています。

5500系の塗装は青色と灰色の組み合わせですが、5513Fと5914Fは塗装を大幅に変更しています。5513Fは阪神タイガースを思わせる黄色に黒帯、5914Fは緑色を主体にしています。

すでに武庫川線沿線にはカメラを持った鉄道ファンがいました。7861形・7961形、7890形・7990形の撮影は早めに済ませておくことをおすすめします。

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