【SL検査】秩父鉄道C58 363がJR東 大宮総合車両セへ迂回で輸送

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2020年2月17日から19日にかけて、秩父鉄道「パレオエクスプレス」で活躍するC58 363が定期検査のため、JR東日本・大宮総合車両センターへ輸送されました。

関東・東北圏の蒸気機関車の近況とともに、従来とは異なる経路で輸送された背景などをお伝えします。

大宮総合車両センターではSL検査入場ラッシュ!?

JR東日本設立当初からD51 498の動態保存のため、大宮総合車両センター(旧・大宮工場)が蒸気機関車の定期検査を担ってきました。

国鉄時代から機関車の検査は大宮……という体制があったことに由来しますが、電気機関車・ディーゼル機関車などの機関車メンテナンスを秋田総合車両センターに移管してから10年以上が経過した現在もSLの動態保存機は年々増加しており、その業務は多岐に渡ります。

特に秩父鉄道では、復元工事よりC58 363号機のメンテナンスをJR東日本に委託しており、全般検査・重要部検査などの大規模検査だけではなく、交番検査などで日常的に高崎車両センター高崎支所に出入りをしています。

出場後の試運転では上越線・高崎駅以北で試運転を行ってきたほか、以前はD51 498号機との重連や、登場時には他線区の臨時列車のために遠方で活躍することもありました。

最後にこの運転体系が行われた2011年9月には、新たに復元されたC61 20号機との重連も実現して話題を集めました。

さらに、所属区である広瀬川原車両基地構内での脱線事故の復旧作業も大宮総合車両センターが担当しています。

同機の静態保存からの動態復元工事期間中は国鉄・JR東日本に車籍がありました。

以上の経緯からか、秩父鉄道に車籍があるものの、高崎の“高”を区名札に掲げています。

参考:大宮総合車両センターで定期検査を行なっている蒸気機関車

JR東日本 高崎車両センターD51 498
C61 20
JR東日本 新潟車両センターC57 180
JR東日本 盛岡車両センターC58 239
秩父鉄道C58 363
真岡鉄道C11 325
C12 66

このほか、真岡鉄道で活躍するC12 66号機のほか、東武鉄道への譲渡発表・ラストランを終えたC11 325号機の2機も同センターの担当です。

C11 325号機については、譲渡後は東武鉄道の手によってメンテナンスがされるかと思われますが、2019年12月に譲渡前の整備・検査のため、同センターへ入場中です。

JR東日本管内の走行は今回が最後となる可能性もありますが、東武鉄道の所有機が3機となりますので、真岡鉄道への貸し出しを含めて期待が持てそうですね。

さらに、D51 498号機が昨年から長らく入場中となっていますが、春の臨時列車での運行予定が発表されているため、こちらは出場まで秒読みでしょうか。

過去の実績から、大宮総合車両センターで一度に面倒を見られる蒸気機関車は2機と言われていますので、C58 363号機が昨年末の運行終了以降も入場せず、秩父鉄道線内で静かに待っていたのもD51 498号機の検査待ちだったものと考えられます

台風19号の被害?従来と異なる経路で輸送

以上のように、日常的に寄居駅・八高線経由で高崎まで行き来しているC58 363号機ですが、今回は高崎を経由せずに直接大宮総合車両センターまで輸送されています。

経緯などは推測の域を出ませんが、2019年の台風19号被害で八高北線は長期不通となっていました。

仮復旧こそされているものの、まだ徐行区間も残っており、超重量級の蒸気機関車の通過には耐えられないという判断でしょうか

尤も、既に春の臨時列車・群馬ディスティネーションキャンペーンにて八高線SL列車の運転が発表済となっていますので、出場試運転・回送は従来同様の経路となりそうですね。

秩父鉄道線内

従来は、広瀬川原車両基地から寄居駅まで一本道ですが、今回は熊谷貨物ターミナルを経由するため、武川駅で折り返し作業が発生します。

このため、2月17日に広瀬川原→武川で、翌18日に武川→熊谷貨物ターミナルで輸送するという短区間ながら手間をかけた輸送となりました。

2018年に登場したピンク色のデキ504号機がエスコートしています。

今年デビューしたばかりの黒色塗装のデキ201号機とC58 363号機のペアは検査終了までのお楽しみとなりました。

JR線内

JR線内は、EF64 1053号機が担当しました。

2020年3月改正で廃止となる石炭輸送・東武鉄道などの甲種鉄道車両輸送で機関車の付け替え作業をしていますが、いずれもJR貨物の機関車との付け替えです。

JR東日本の機関車との付け替え作業が熊谷貨物ターミナルで実施されるのもかなり久々のことかと思われます。

また、熊谷貨物ターミナル以降では、SLの地方貸し出し・定期検査入出場でお馴染みの伴走車、オヤ12 1も連結されています。

これ以降は従来の高崎経由同様に大宮操車場経由で回送され、朝の大宮総合車両センターの稼働開始まで留置している光景を見ることが出来ました。

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