【常磐線全通へ】E531系増備進行中!東北本線以外でもワンマン化準備?

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2020年3月ダイヤ改正では、東北本線黒磯以北の全列車電車化・ワンマン化のほか、常磐線全通にあわせた運用増加など、E531系についても大きな転機となります。

15年も製造が続けられているE531系の歴史を振り返りつつ、東北本線以外でもワンマン化を目指す動きが出てきましたので考察していきます。

マイナーチェンジを繰り返し増備

E531系は、旧来の交直流電車415系の代替車両として2005年にデビューした直流1500V・交流20,000V・50Hzに対応した近郊型車両です。

都内でよく見かけるE231系とE233系の間に開発された車両となっており、E231系世代の電動車の少ない編成構成であるものの、車内に入るとE233系同様の黒色つり革が並ぶという独特の車両となっています。

当初はグリーン車なしのモノクラス10両・5両で製造が開始されましたが、後に10両編成にはグリーン車連結を実施しています。

2006年11月には一通りの製造を完了し、翌2007年3月のダイヤ改正で上野発着の常磐線全列車がE531系に統一されました。

常磐線の特別快速運行開始・全列車のスピードアップ・ドア数増加による乗降遅延減少と多大な変化をもたらしました。

……ここまで基本10両が22編成(K401-K422)・付属5両が16編成(K451-K466)という体制が組まれており、E531系の製造は完遂かと思われていました。

しかし、ここから細々とした増備が続けられます。

まず、2010年には常磐線の先輩であるE501系機器更新工事の予備車として、付属2編成(K467,K468)が増備されました。

続いて、2014年には上野東京ライン開業・常磐線の品川駅乗り入れ開始に合わせた増備として基本1編成(K423)が製造されたほか、常磐線北部で余生を過ごしていた415系1500番台の淘汰を目的に付属7編成(K469-K475)が2015年までの2年間に増備されました。

この時点で付属編成の方が多いという特有の形勢となりましたが、付属編成の増備はまだまだ続けられます。

黒磯駅直流化と3000番台の登場

大量製造がされているE531系ですが、異端車として唯一番台区分がされているのは3000番台が特徴的です。

この3000番台では、準耐寒耐雪構造として、スノープラウの設置がされているほか、床下機器への吸気口がボディに設置されている点が特徴的です。

また、主要機器類についても、これらの対応と年次変化により型番変更がされています。

これらの3000番台は、当初は415系代替や常磐線・水戸線普通列車で共通運用されていましたが、本領発揮となるのは数年後のこととなりました。

並行する東北本線では、黒磯駅を境に南側が直流電化・北側が交流電化という体制が長らく続いていました

境界駅となる黒磯駅では、交流・直流を切り替えられる線路が複数用意されており、日本で唯一常用していた特徴的な設備となっていましたが、2018年初めに高久駅寄りにデットセクションを設ける形に変更されています。

地上設備の老朽化・更新時期となっていたことや、可変構造により“き電区分”が複雑化していることなどの設備上の課題は以前からありました。

ただし、近年特筆できる点として、黒磯駅で日常的に行われていた貨物列車の機関車事情が大きく変化しました。

南北を直通する貨物列車から交流専用のED75形が淘汰されたこと、北海道新幹線関連で東北地区を中心に運用されている交直流機関車EH500形が都心直通運用を大幅に増加=貨物列車の機関車付け替えが削減できたことなどの列車運行状勢の変化が大きく後押ししています。

作業員の感電事故・切り替えミスによる車両故障などのトラブルも絶えませんでしたので、妥当な更新とも言えそうです。

ただし、旅客列車については、それぞれ黒磯駅を境に交流専用・直流専用車両が運行されていましたので、普通列車の車両は新たに用意する必要がありました。

このため、東北本線黒磯駅〜新白河・白河間で運行される車両として、既存の交直流対応車であったE531系が朝夕活躍することとなったほか、日中などの閑散時間帯にはディーゼルカーのキハ110形を投入しています。

交直流電車には多くの機器搭載が必要で、JR西日本の521系のような2両編成の製造例こそあるものの、JR東日本では羽越本線の交直流区間でもディーゼルカーでの運行としていますので、同様の対応となりました。

余談ですが、黒磯駅直流化は利用客の乗り換え増加・本数減便などのデメリットも大きいものの、これらの複雑な運用が解消したことで、黒磯駅が首都圏で採用されているATOS圏内となったことによる旅客案内の向上といったメリットも少なからず存在します(同様に末端駅が対応できなかった例としては、東海道線が湯河原駅までの対応となっています)。

東北本線ワンマン化とE531系の改造

JR東日本では、中期経営計画などで、無人運転やワンマン運転などの合理化を積極的に押し進めることを明らかにしており、従来は3両編成までだった短編成ワンマン運転に加え、7両編成程度までの中編成ワンマン・都心部の10両編成などの長編成ワンマンなどを検討していました。

そのうち、中編成ワンマン運転の最初の路線として、東北本線の黒磯〜新白河駅間=E531系3000番台を使用した区間が選定されており、2020年3月改正でのスタートに向けて安全確認カメラを設置する車両試験・改造を終え、現在は乗務員訓練が続けられています。

これに際し、日中時間帯に実施されていたキハ110形を使用した短編成の気動車列車もE531系で代替されることとなり、利用者にも一定のメリットが生まれることとなりました。

輸送力としては過剰であることは明らかですが、車種統一・ワンマン方式の統一(短編成=料金収受をする・中編成=全ドア開閉)による削減費用が大きいのでしょうか。

また、3000番台7編成のみの改造で済むため、実験的な投入の環境としては最適だったものと推測できるほか、カメラ映像を伝達するにはシステムも新しい車両の方が電送能力が高いので安心です。

千葉地区でも従来車の209系ではなく新形式=E131系とされるようですので、MON8世代(209系など)は中編成ワンマン化改造対象外・TIMS世代(E231系など)は可能性あり、となりそうです。

なお、3000番台7編成の登場以降、2017年度に基本3編成(K424-426)・付属2編成(K476,K477)、2019年度に付属4編成(K478-K481)が製造されましたが、いずれも従来形式である0番台での製造となりました。

次のワンマン化はどこ?

以上のように、E531系の増備は0番台に戻っているものの、2019年度増備車のうち、2020年2月に落成したK480,K481編成では3000番台同様の安全確認カメラが設置されて注目を集めました。

2019年7月に落成したK478,K479編成では従来車同様の外観となっていましたので、設計変更が加えられたものと考えられます。

そもそも、現在のワンマン線区である東北本線黒磯以北では、3000番台に施した準耐寒耐雪構造が求められることを考えると、これらの編成は現行のワンマン化線区以外でのワンマン化を想定しているものと推察できます

妥当な線区としては、E501系の故障頻発もあって既にE531系5両編成で統一されている水戸線でしょうか。

車種統一がされていること、送り込みをかねて3000番台限定運用も多いこと、改造完了を待たずに運用区分で対処できることなど、中編成ワンマン化が容易な体制が揃っています。

常磐線については、E501系やE531系基本編成が混用されている水戸駅周辺では実施は難しそうです。

長編成ワンマン化も方式が異なりますので、こういった区間は後回しにするのが無難でしょう。

そのため、現在は基本編成が乗り入れない高萩駅以北・震災復旧区間あたりが可能性としては考えられます。

大穴としては、宇都宮線の宇都宮〜黒磯駅への投入でしょうか。

黒磯以北直通便は3000番台・それ以外は水戸線と共通運用で……ということであれば、あり得ない話ではないかもしれません。

同区間では205系600番台が活躍していますが、VVVFインバータ制御への更新を見送りにした背景があり、日光線との共通運用ではあるものの効率のいい輸送体系とは言えません。

ここまでするのであれば、小山車両センターか郡山総合車両センターに配置される車両が登場するかもしれませんね。

特に福島第一原子力発電所周辺の運行再開区間などは、組合・地域住民からの反発も生まれそうです。

今後も他線区の例に倣えば組合発表が最速かと思いますので、引き続き新たな情報に注目したいところです。

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